しっぽんと、四匹の猫。
夜、二冊の絵本を開いた。
にわのともこさんの『ハッカにゃん』。
第1巻と、第2巻。
じつはこの方のnoteを、
何度も読んでいた。
『しっぽんは、宮古島にいる。』を作っていた頃。
絵本の作り方も、進め方も、何もわからなかった頃だ。
その方の絵本が、いま手元にある。
発売の時期は、しっぽん絵本とほぼ同じ。
そして、にわのさんも、しっぽんの絵本を手に取ってくださった。
だから今夜は、
作った人としてではなく、
一人の読者として読む。
そう決めて、ページをめくった。
最初に笑ったのは、モナカ姉さんだった。
いきなりハッカに猫パンチ。
そして、ひとこと。
「どけっ!!!」
ハッカがあわてて場所を空けると——
モナカ姉さんは、
そのまま歩いていってしまった。
残されたハッカが叫ぶ。
「入るわけじゃにゃいんかい?!」
作り話なら、こうは書けない。
これは、実際の猫たちの記録なのだ。
猫は、何も回収してくれない。
ツッコミはいつも、はたかれた側の仕事になる。
あまりの理不尽さに、声が出た。
うちにもこういう顔をする猫が、一匹いる。

読み始めた頃は、
「モナカ姉さんが一番好きだな」と思っていた。
でも、二冊を読み終える頃には、
誰が一番か、答えられなくなっていた。
ハッカ。
ニッキ。
モナカ。
アズキ。
四匹全員がいて、はじめてこの物語になる。
誰が欠けても、成立しない。
一番心に残ったのは、
四匹で炬燵に入って「満員御礼」になっている場面だ。
宮古島には、炬燵がない。
ファンヒーターもない。
それでも、
「きっと猫は、こうなるんだろうな」
と思いながら読んでいた。
見たことのない光景なのに、
知っている気がする。
逆に、第2巻には、
「これは、うちだ」という場面もあった。
シャワーの出待ち。

ママがお風呂に入っている間、
四匹がドアの前で待ち構えている。
うちも、まったく同じだ。
Mちゃんがシャワーを浴びている間、
しっぽんはドアの前に座って、
じっと待っている。
四匹でも、一匹でも、
猫のやることは変わらないらしい。
多頭飼いを考えている人が読んだら、
きっと、これからの暮らしが想像できると思う。
途中から、少しだけ、
作る側の目にも戻った。
にわのさんは、サインペンと色鉛筆で描く。
私は、AIと一緒に作った。
描き方は、まったく違う。
その違いが、面白かった。
ページの中にはQRコードがあって、
YouTubeへ飛ぶと、
絵を描く様子や、猫たちが遊ぶ姿が見られる。
本を閉じても、世界が続いていく。
よく考えて作られているなあ、と思った。
この仕組みは、いつか私も取り入れたい。
しっぽんの世界への入口として。
一冊140ページを超えるボリュームにも驚いた。
しっぽん絵本の、三倍以上ある。
『ハッカにゃん』は全7巻予定の、
レインボープロジェクトなのだという。
一冊で終わらせず、
長く世界を育てていく。
その作り方に、
少し先を歩く人の背中を見た気がした。
本を閉じる。
窓辺には、いつものしっぽん。
一匹で、いつもの場所で、丸くなっている。

四匹には、炬燵がある。
うちの一匹には、私が作った窓辺の棚がある。
一年半、無視され続けた棚だ。
四匹の暮らしを見たあとだったからか、
思わず、心の中で話しかけた。
「兄弟、欲しかった?」

でも、すぐに思い直した。
いや。やっぱり君は、ひとり自由が似合ってる。
なにせ君は、猫が嫌いだからね。
四匹の夜も、一匹の夜も、
どちらも、いい夜だった。
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読んでくれてありがとうございます。チップは今後の記事を書き続けるための資金にします。宮古島からぼちぼち書き続けます。