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第5話 初恋

ろくに勉強もしてなかったので、現役での大学受験は見事に全敗した。今思えば、無駄な受験料を払って頂いた両親に申し訳なくて仕方がない。
浪人した小生は、予備校に入って、人が変わったように勉強した。中学の頃のような異常な勉強の仕方こそしなかったものの、予備校に毎日通い、自習室にこもって勉強に励んだ結果、模試でE判定しか出たことのない関西学院大学の社会学部に合格することになる。
関西学院大学と言えば、当時合コンしたい大学No.1と言われている大学だった。自然と小生の胸は高鳴った。しかし、世の中そんなに甘くない。小生の周りに集まった面子は、麻雀とファミスタが好きな、合コンとは無縁のメンズばかりであった。しかし、その生活もそれなりに楽しかった。
そして、小生は、恋をした。
大学4年の時である。その時、小生はカラオケBOXでアルバイトをしていた。そのバイトに入って来たのがいくちゃんだった。いくちゃんは、とても話しやすくて、すぐに仲良くなった。
ある時、ドラマの話をしていて、いくちゃんがその週のドラマを見逃したという話を聞いた。たまたまそのドラマを録画していたので、小生はいくちゃんにそのビデオテープを貸してあげることになった。
ビデオテープを貸してからしばらくしたある時、小生のロッカーにビデオテープが入っていた。一緒に手紙が添えられている。
「ビデオテープ貸してくれてありがとうございます!貸してくれたお礼に、今度ご飯に連れて行ってください!お礼になってないか笑」
やった。いくちゃんとデート。。
小生は天にも昇る気持ちになって、いくちゃんを食事に誘った。バイトに入っているのが同じ日に、バイトが終わってから、僕の車で行くことになった。周りのバイト仲間に知られたくなかったので、いくちゃんとは、周りのバイト仲間には内緒にしようということになった。
デートの当日、バイトが終わった僕は、高鳴る気持ちを抑えながら、いくちゃんの準備が終わるのを待った。
ところが、である。
いくちゃんの姿が見えないのである。どこに行ったのか?まさか、帰った??いや、いくちゃんに限って、そんなことはないはずだ。僕は、時間を潰しているフリをして、30分ほどバイト先で待っていた。しかし、どれだけ待ってもいくちゃんは現れない。ずっとバイト先に居座っていてもバイト仲間に怪しまれるので、僕は諦めて帰ることにした。
車に乗り込もうとした時、「◯◯さーん!」と小生を呼ぶ声が聞こえる。いくちゃんだ!
「どうしたん?探してたよ」と言うと、「バイトの人に内緒って言ってたから、バレないように隠れてました!車の近くで待ってたら◯◯さん来ると思って!」と笑いながらいくちゃんは答えた。
思わず抱きしめたくなった。
しかし、その時点で結構遅い時間になっていた。どうする?ご飯行く?と聞くと、「行きたい!」と言う。そこから僕の車でご飯に行き、ドライブをした。遅い時間になってしまい、いくちゃんを家まで送った。家に着いたいくちゃんは、「もう少しいっしょにいたいです」と言った。
「もう遅いけど、大丈夫?」
と聞くと、大丈夫だと言う。僕らはしばらく車の中で喋り続けた。
その後もデートを重ねた僕は、思い切っていくちゃんに告白をした。とてもいい感じだったので、正直、断れることはないと思っていた。
「付き合ってほしい」
僕の告白に対し、いくちゃんはこう言った。
「◯◯さんは、いちばん話してて楽しくて、いちばん会いたいと思う人で、いちばん大切です。でも、好きかどうかわかりません」
まさかの答えだった。
でも、僕は、一度考えて、また返事をほしいと言った。
それから、なぜかいくちゃんから距離を置かれている気がした。いくちゃんから、その後返事を聞くことはなかった。そのまま、いくちゃんの気持ちがわからないままアルバイトを続けていたある日、バイト仲間から衝撃の事実を告げられる。
「いくちゃん、××と付き合ってるらしいで」
え。。
なんといくちゃんは同じバイトの別のバイト仲間と付き合っているとのことだった。しかも、付き合い始めたのは最近だと言う。
僕はその日にカラオケBOXの店長に「辞めます」と伝え、そのまま、1人で北海道への傷心旅行へと旅立った。

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