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ファミコンでの思い出(セガ SG-1000Ⅱ)

1980年代小学生の頃、任天堂からファミリーコンピュータ:通称ファミコンが発売され、社会全体が熱狂していました。「家でゲームセンターのゲームが遊べる」という衝撃は、子どもの私には夢のようでした。

しかし、我が家にはファミコンがなく、持っている友達が羨ましくて仕方ありませんでした。何度もおねだりした末に母親が買ってきてくれたのは、ファミコンではなくセガ SG-1000Ⅱというゲーム機でした。おそらく当時ファミコンは品薄で手に入らず、「ゲーム機なら何でも同じであろう」と考えたのだと思います。

ファミコンではなくてがっかりしたものの、セガ SG-1000Ⅱを箱から出したり、テレビにつなげたり、家でゲームができるワクワク感は確かにありました。しかし、実際に遊んでみると、ファミコンとの性能差は歴然で同じタイトルでも、グラフィックも音も動きも、明らかにファミコンのほうが上でした。そのたびに、胸の奥で落胆していたのを覚えています。

同一タイトル(ロードランナー)比較画像

当時の小学校では、休み時間になるとファミコンの話題で盛り上がることが多かったのですが、私は話がよくわからずにその輪にうまく入れませんでした。そもそもゲーム機本体が違うので、友達とのカセットの貸し借りもできません。

さらに、友達の家に集まってファミコンで遊んでも、家ではセガのゲームしかできないため操作に慣れておらず、すぐにゲームオーバー。みんなが楽しそうに盛り上がる中で、自分だけ下手で、なんとなく居心地の悪さを感じていました。

私と同じようにファミコンを買ってもらえず、セガ SG‑1000Ⅱを持っていたのは同じクラスの佐藤くんだけでした。
たった一人ではありましたが、同じ境遇の佐藤くんがいてくれたおかげで、ファミコン勢が楽しそうにしているゲームの会話や、カセットの貸し借りといったことを私たちもすることができました。

ゲーム(SG-1000Ⅱ)について語り合える相手がいるというのは本当に嬉しくて、 攻略方法を話したり、どのソフト(SG-1000Ⅱのソフト)が面白いかを語り合う時間は、とても楽しいものでした。

そんなある日、教室の一角がいつもより少しだけ賑やかになっていました。 なんだか楽しそうな空気が漂っていて、みんながワイワイ盛り上がっている様子が目に入りました。

「なんだろう?」と気になって近づいてみると、どうやら話題の中心は佐藤くんのようでした。 近くにいたクラスメートに「どうしたの?」と尋ねてみると、興奮気味にこう教えてくれました。

佐藤がファミコン買ってもらって、〇〇と××(新作カセット)も買ってもらったんだって!!」

その言葉を聞いた瞬間、私は頭の中が真っ暗になりました。唯一のゲーム(SG-1000Ⅱ)仲間である佐藤くんがファミコン側に行ってしまったのです。

唯一、同じ セガ SG-1000Ⅱ を持っていた仲間。
唯一、同じゲームの話ができた友達。
その佐藤くんが、ファミコン側に…
この先どうすれば良いか絶望を感じました。

そのあと、佐藤くんとも話をしました。 彼はファミコンでやりたいこと、遊びたい新作ソフトのことを、まるで堰を切ったように楽しそうに語ってきました。 私は、自分の悲しみを悟られないよう、相づちを打ちながら聞いていました。 もちろん、佐藤くんに悪気なんてありません。
ファミコンを買ってもらった喜びが最高潮となっており、セガ SG-1000IIの仲間の私が落ち込んでいるなんて、考えが及ぶはずもありません。

あの当時、もし逆の立場であれば私も佐藤くんに喜びながらいろいろと語ったであろうと考えております。

今回この記事を書いてふと海援隊の贈る言葉の歌詞が頭に浮かんできました。

人は悲しみが多いほど、人には優しくできるのだから

贈る言葉:海援隊

今でも、自分にうれしいことがあったとき、そのことで逆に不快に感じている人がいないか気になることがあります。
もしかしたら、このときの出来事が頭の片隅に残っていて、大きな声ではしゃいだりするのを自制しているのかもしれません。

愛するあなたへ(当時の自分へ)贈る言葉

贈る言葉:海援隊

令和となった現在、私はSwitch2を所有し昔のファミコンゲームができるサービス(Nintendo Switch Online)にも加入しております。
「ファミコンがなくても大丈夫。将来、数十倍もスペックの高いゲーム機を買うことができて、ファミコンゲームも遊べるようになっているよ。絶望に感じているものも絶望でもなんでもないよ。逆にSG-1000Ⅱのゲームをやる方法はあまりないから、よく遊んでおけよ。」
そう伝えてあげたいです。

その後


セガ SG-1000Ⅱ勢としてクラスでただ一人取り残された私は、佐藤くんがファミコンを買ってから数か月後、自分のお年玉2万円で「ファミコン+機動戦士Ζガンダム・ホットスクランブル」という抱き合わせ販売のセットを購入しファミコン勢になりました。




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