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半島暮らし

今朝の散歩でも、最近海の波が荒くて、ざっぶ〜んとしぶきが飛んでいる。自然は生きてるなあ、と思いながら、海を眺めながら朝陽を浴びる。かーっと照り返している太陽に、まともに光を浴びて、朝からエネルギーを感じる。


一週間ほど前、初めての図書館へいってきた。適度な散歩になる距離でありがたい。

思っていたより新しい本がそろっていて、楽しんで棚を見ていて、なんだかほっとしてしまった。好きな作家、メイ・サートンもずらりと並んでいて、今度ゆっくり読もうと目論んでいる。

6冊選んで借りてきて、書店で買った本も含めて乱読しているけれど、図書館へいけたことは、なんだか少し気が休まった。


海へ散歩に出かけると、斜め向かいの90歳を超える杉山さんとばったり会うことがよくある。いつだったか、一生懸命目に手をあてて海を眺めている。

声をかけると、
今日は三浦半島がよく見えますねえ、あっちは房総半島ですよ。
ほんとですね、よく見えますねえ。

母と3人で水平線の方を眺める。

杉山さん、目がよくてお元気だな、奥さん入院してるのに、よく一人で暮らしてる、すごいね、そう母と話してる。

いつだったか、ばったり会ったとき、
僕ね、スーパーで100グラム1200円の牛肉買ってきて、週に一回はすきやきするんですよ。
えー、あの高級スーパーで買うんですか?

もう母も私もびっくりで、この物価の高い土地でよくやっている。そりゃあ、駐車場3台貸してるし、元公務員だし、余裕があるんだろうけれど、でもそれだけではない、窓からジャズが聴こえてきたことがあるから、

ジャズお好きですか?
いやあ、ボリューム落としてるけど聴こえてましたか。ジャズもクラシックも好きでレコード2000枚持ってますよ。道楽しちゃってね。かみさんには感謝してよくしてやらないと。

そんな話を聞いた。生まれたときからこの土地で生きてきて、海を眺める様子がうれしそうで、そんな杉山さんの姿に感動する。

いろんな人がいるなあ。


ついこないだ、この半島に越してきて以来、はじめて半島を出て、地元方面にいってきた。通院でいったんだけれど、今回クリニックにいって主治医に会ったら、もうここへ通うことはしなくていいと、執着が消えた。

ずっとそのもやもやの中にいて、遠くのクリニックに通う不安や、ここでは書ききれない問題をかかえていて、長年診てもらっている主治医を変えるっていうのには勇気がいるけれど、もう未練はない。次にいったときに、紹介状をお願いしようと決意がついたら、ずっともやもやしていた胸のうちが晴れてきた。

やっぱり動かないと見えてこないことがある。

クリニックから帰ってきたら、もうこの半島の駅にほっとしてしまい、いつの間にか、ここが私の暮らす場所っていう感覚に変わった。

そしたら、なんだか肝がすわってきたみたいで、ここで生きていくっていう感覚になっている。


我が家は7月盆で、でも引っ越しと同時に離檀したものだから、住職にお経をあげてもらうこともなくなり、ばたばたしているうちに、お盆が過ぎていった。

この8月は、今も叔母のところに従姉妹の家族がきていて、今日はバーベキューに呼ばれている。久しぶりに従姉妹に会えてうれしかったり、本当はバーベキューは苦手な部類なんだけど、楽しまないと損だなって気になったりしている。

ここでの暮らしをまるごと受け入れる気持ちになってきた。

お盆だから、うちの妹たちや弟もばらばらに帰ってくるからもう大変。


この半島暮らし、悪くないな、そう思いはじめてきてほっとしている。環境を受け入れてないと、それは基本の基本だから。目が覚めてきた感じがする。そんなお盆休みに入ったところ。

花火も観光客寄せに平日からどんどこ上がる。海の近くだから、音のすごい迫力に時々ベランダから眺めている。

新しい夏がきている。


空川ナオ


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