【経営計画】営業プロセスの標準化による組織力の向上
「営業の当たり前」を見直す!「営業プロセスの標準化」でムラなく成果を出す秘訣
人事制度構築士として、顧問先の企業様から様々なご相談をいただきます。
先日、「【経営計画】を進める上で、『営業プロセスの標準化』には、どのように取り組めばよいか」
というご質問をいただきました。
「優秀な営業マンはいるけれど、他の社員がなかなか育たない…」
「営業活動が『個人の技』になっていて、会社全体としてどうなっているか見えにくい…」
今回は、この「営業プロセスの標準化」という、
会社の営業力を底上げするための重要な戦略について、
顧問先様からのご質問も踏まえながら、
特に中小企業がどう取り組んでいけば良いのかを、
分かりやすく解説していきます。
1.「営業プロセスの標準化」って何? なぜ今、この取り組みが必要なの?
「営業プロセスの標準化」とは、お客様を見つけてから契約を結び、
その後も関係を続けていくまでの一連の営業活動を、
「誰が」「いつ」「何を」「どのように」行うかを、会社全体で統一し、
仕組みとして明確にすることです。
多くの中小企業では、営業活動が「個人の経験や勘」に頼ってしまいがちです。
ベテランの営業マンは素晴らしい成果を出すけれど、
そのやり方が他の社員にはなかなか伝わらない、
という状況によく遭遇します。
これでは、その人がいなくなったらどうなるかという不安がつきまといますし、
新しく入ってきた社員が一人前になるまでにも時間がかかってしまいます。
「営業プロセスの標準化」は、
このような「営業の属人化(個人の能力に頼りきりになること)」を解消し、
「営業活動の見える化」と「効率化」を進めることで、
営業社員一人ひとりの成長を促し、
結果として会社の業績を大きく向上させることを目指します。
誰が担当しても、一定のレベル以上のサービスをお客様に提供できる。
それが、会社の「信用」となり、お客様からの「信頼」へと繋がっていくのです。
2.「営業のムダ」をなくし、成果を出す!「営業プロセスの標準化」2つの手順
では、実際に「営業プロセスの標準化」をどのように進めていけば良いのでしょうか?
顧問先のご相談にもあったように、次の2つの手順で進めていきましょう。
① 営業プロセスの現状整理と標準プロセスの設計・決定
まず最初のステップは、今、あなたの会社で行っている営業活動を一度すべて「見える化」することです。
今の営業活動を洗い出す
・お客様をどうやって見つけていますか?(ホームページから、紹介、飛び込みなど)
・お客様に最初にどうアプローチしていますか?(電話、メール、訪問など)
・商談はどんな流れで進んでいますか?(ヒアリング、提案、見積もり提示など)
・契約はどのように結ばれていますか?
・契約後のお客様へのフォローはどうしていますか?
・成功している営業マンは、どんな工夫をしていますか?
・うまくいかなかった時は、どんな課題がありましたか?
これらの情報を、営業部のメンバー全員で出し合い、
紙やホワイトボードに書き出して、営業活動の「地図」を作りましょう。
成功事例も失敗事例も含めて、率直な意見を出し合うことが大切です。
理想的な「標準プロセス」を設計する
今の活動を洗い出したら、次に「お客様にとって一番良い形で、
スムーズに、そして確実に成果が出る」営業の流れを考えます。
これが「標準プロセス」です。
・お客様が「この会社と出会えてよかった」と感じてもらえるような、最適な「お客様体験」とはどんなものか?
・営業社員が「迷わず、自信を持って」お客様と向き合えるような、分かりやすい手順とは?
・成功した経験に基づいて、どの段階でどんな情報を集め、どんな提案をすべきか?
この標準プロセスは、決して「がちがちのマニュアル」ではありません。
お客様の状況に合わせて柔軟に対応できる
「基本的なガイドライン」と考えるのが良いでしょう。
営業部のメンバーと一緒に議論し、
みんなが「これならできる!」「これならもっと成果が出せる!」と
納得できるプロセスを作り上げることが重要です。
【ポイント】
「お客様は今、何を求めているか?」
「お客様に一番喜んでもらうにはどうすればいいか?」
というお客様目線で考えることが、良い標準プロセスを作る鍵です。
② 標準プロセスを運用するためのルールの策定
標準プロセスを決めただけでは、絵に描いた餅になってしまいます。
それを日々の営業活動で実行するための「ルール」を具体的に決めましょう。
「誰が」「いつ」「何を」「どのように」やるかを明確にする
「お客様と初めて会った時は、必ず名刺交換後〇分以内に〇〇ツールに情報を入力する」
「商談後は、〇〇日以内に提案書を提出する」
「週に一度、〇〇会議で進捗状況を共有する」
「お客様への提案書は、〇〇のテンプレートを使用する」
「お客様からの問い合わせがあった場合は、〇時間以内に一次連絡を入れる」
使うツール(CRM/SFAなど)の入力ルールを決める
お客様の情報や商談の進捗を管理するシステム(CRMやSFAと呼ばれます)を使っている場合は、
その入力ルールを統一することも非常に重要です。
情報の抜け漏れや表記揺れを防ぎ、常に最新かつ正確な情報が共有されるようにしましょう。
定期的な見直しと改善の仕組みを作る
一度決めた標準プロセスが、ずっと完璧であるとは限りません。
お客様のニーズや市場の状況は常に変化します。
「月に一度は、営業部でプロセスの運用状況を確認する」
「半年に一度は、プロセス全体を見直し、改善点がないか議論する」 といった、
定期的な見直しと改善の仕組みを組み込むことで、
常に最適な標準プロセスを維持できるようになります。
【ポイント】
ルールは、「守らせるもの」ではなく
「みんなが円滑に仕事を進めるための手助け」です。
最初は完璧を目指さず、運用しながら試行錯誤し、
社員の声を取り入れて改善していく柔軟な姿勢が大切です。
3.「営業プロセスの標準化」と「経営計画」の各要素を連携させる!
「営業プロセスの標準化」は、会社の進むべき道を示す「経営計画」と密接に結びついています。
「経営理念」「ビジョン」との連携
標準化された営業プロセスを通じて、
お客様に提供したい「価値」や「お客様体験」は、
会社の「経営理念」(何のために存在するのか)や
「ビジョン」(どんな未来を目指すのか)から自然と生まれてくるはずです。
「こんなお客様に、こんな形で価値を提供する」という一貫性が、営業活動に説得力と深みを与えます。
「5か年事業計画」「戦略」との連携
「年間売上〇〇円達成」「新規顧客獲得率〇%向上」といった
「5か年事業計画」の具体的な目標は、
標準化された営業プロセスを通じて達成されます。
そして、「ターゲット顧客層へのアプローチを強化する」「提案資料の質を統一する」と
いった具体的な「戦略」は、標準プロセスの中に落とし込まれていきます。
「人事理念」「人材育成目標」との連携
「営業プロセスの標準化」は、社員一人ひとりの成長を促すための重要なツールでもあります。
「人事理念」で「お客様から信頼されるプロフェッショナルな営業人財を育成する」と掲げ、
「人材育成目標」で
「標準プロセスを確実に実行できる能力」
「お客様の課題解決能力」などを
具体的に設定することができます。
4.「営業プロセスの標準化」を日々の現場に落とし込むには?
せっかく作った仕組みも、日々の業務に浸透しなければ意味がありません。
「ワークルールブック」で行動指針を明確に
策定した標準プロセスや運用ルールを、「ワークルールブック」に分かりやすくまとめましょう。
マニュアルとして活用できるだけでなく、新しく入ってきた社員が、
会社の営業のやり方を体系的に学ぶための教育ツールとしても非常に有効です。
常に最新の状態に更新し、社員が困った時にいつでも参照できる状態にしておくことが大切です。
「A4一枚評価制度」で標準化への貢献を評価
社員の評価基準に、「営業プロセスの標準化」への貢献度を明確に盛り込みましょう。
「標準プロセスを確実に実行し、一定の成果を出した」
「プロセスの改善提案を行い、営業効率向上に貢献した」
「ノウハウを積極的に共有し、他の社員の育成に貢献した」と
いった項目を評価することで、社員は単に「個人の成績」だけでなく、
「会社全体の営業力向上」に意識を向けるようになります。
これにより、チームとしての成長が促進され、さらなる業績向上に繋がります。
まとめ:個人技から「チームの力」へ!
「営業プロセスの標準化」は、
単に業務を効率化するだけでなく、
営業社員一人ひとりが自信を持ってお客様と向き合い、
チーム全体として安定した成果を出し続けるための重要な経営戦略です。
個人の経験や勘に頼る「個人技」の営業から、
誰もが一定の成果を出せる「チームの力」へと進化させることで、
あなたの会社は、
お客様から「常に安定した質の高いサービスを提供してくれる会社」として、
より一層信頼される存在になるでしょう。
ぜひ、あなたの会社の「経営計画」の中心にこの「営業プロセスの標準化」を据え、
社員の皆さんと共に、お客様との関係を深め、輝かしい未来を築いていってください。


