『AIに正解を聞いたら、グレーの地図を渡された』⑦ 余韻
最後の羅針盤
「違和感センサーを切らなかった話」
今回、私は結局、「完全に安全な答え」には辿り着かなかった。
たぶん今後も、そんな都合のいい答えに辿り着くことはないと思う。
法律も、医療も、知財も、そしてAIの世界も、そんなに綺麗に割り切れるほど単純ではないからだ。
ChatGPT、Gemini、Claude──。
今や、AIが生成した文章を活用して、作品の整理をしたり整合性を高めたりするような使い方は、誰しもが日常的にやっていることだと思う。
でも、それぞれ返答は似たようで、全く違う世界観を出してくる。
それは現実の世界でも同じだ。
悩んだときに複数の人に相談すると、ありきたりな答えであっても、ライトの当て方ひとつで返ってくる言葉は全員違う。そして、こちらからの相談の仕方によっても、風景はガラリと変わる。
AIに背中を押され、別のAIに止められ、画面の中でAI同士に議論をさせ、平謝りされる──。
客観的に見れば、かなり奇妙でカオスな数時間だった。
結局、私のNotionテンプレートはどうなったか。
実は、まだ未計画のまま、そこにある。
「折りたたみ自転車」の設計図はできたけれど、じゃあ今すぐ街に走り出すかと言われると、やっぱり足踏みをしてしまうのだ。
例えお蔵入りでもいい。公開できなくても、副業としての実績や収益にならなくてもいい。
心のどこかでそう強がりながら、でもやっぱり、時間をかけてコツコツ構築してきたこの「私の全て」を、誰かに見てほしいし、誰かに褒めてもらいたいと願う自分がいる。
そして、客観的なリスクをこれだけ並べられて、さんざん内省したはずなのに。
今でも心の片隅では、あの甘い誘いのように私を唆し、期待させてくれた最初のAIのアドバイスを「聞き入れちゃおうかな……」と未練をたらしている私が、確かにここにいる。
そして気づけば、またAIを開いてしまう。
「ここまで何度も精査したんだから、もう十分じゃない?」
「ここまで考えたなら、公開しても大丈夫なんじゃない?」
そんなふうに、自分の背中を押してくれる言葉を、まだどこかで探している。
正解は、今もわからない。
パソコンを閉じたら、AIではなく、リアルな人間にこのモヤモヤを相談して、ただ「わかるよ」と共感してもらいたいな、と思うのが私の現実だ。
これからのAI時代、どれだけ流麗な答えを出すAIが現れても、最後に残るのは、こういう割り切れない人間の生々しい迷いそのものなのだろう。
AIは、最後まで滑らかで、綺麗な答えを作り続けていた。
傷つき、悩み、それでもその横でずっと鳴り続けていた、人間臭い小さな警報音と愛着の方を、私はやっぱり消せそうにない。


この話は、『AIに正解を聞いたら、グレーの地図を渡された』シリーズ(全7話)の最終話です。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
🚩 第1話(導入)から振り返る

現場の看護師の視点で、日々の記録整理を少しでも整えるために工夫したNotionの構造を、こちらにまとめています。
(※愛着を持って、少しずつ、形にしていけたらと思っています)
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