強い人、よわい人。※1話完結。ショートストーリー
※このお話はノンフィクションです。登場人物の名前は仮名です。
「何名様でしょうかー?」
「7人です。」
私(ななにん?!)
夜ご飯を食べていたら、高校生の男の子たちがぞろぞろと入ってきた。私は、5人とか6人とか、ましてや7人とか、そんな単位で行動したことってなかった。3人とか4人は、まぁ、たぶん、なんとかあると思うけど。振り返るといつだってそうだった。最初は大所帯のグループに所属していても、いつのまにか抜けてる。中学のときも、高校のときも、大学のときも、まぁ言っても子供だから、今ほどの明確な意思決定はなかった。いや、今は機会がそもそもないのか。
合わないなぁって考えての行動、というよりは、(・・・話に入れない。え?今の笑うところなの?なにがおもしろいの?あ、また人の悪口だ。つまんないなぁ…)という「輪に入れない状態」が続くと、そりゃあ出ていくよね。飛んでいくよね、ふわふわと。
そんな風に生きてきた私は、高校生の集団を眺めながら、友達にLINEした。「ねえ?7人って単位で行動したりしてた?学生の頃。それって普通?」って。なんだろうね、この人類の行動は。要するに自分は普通なのか、異常なのか、の確認をして、どうするっていうんだ。食事を終えるころ、友達からは「んー、どうだろう。あるっちゃあるけど、そのうち4,5人になるよね。」と返事が来た。その画面を見てまた私は「そういえば4,5人すらないわ。」と思ったものだ。
そんな私でももちろん友達は居るし、こういうのも何なのだが慕ってくれる子たちもいるし、いたりした。ちょっと年下が多いかな?前の職場や前の前の職場にだって、私に懐いてくっついてくれる子がいた。振り返ると3人は顔が浮かぶ。そういえば、その3人には似たようなこと言われたなぁ…。
「山田さんは、強いから。」
私は別に強くない。何をもって強い、と思うのかはあるかもしれないけれど、強さってなんだろう。私にはわからないけど、自分に素直に、自分から逃げないか、とか?心の声に素直に正直に行動できる強さがあるか、とかだろうか。
と、申しますのも、前の職場で仲良かった女の子が上司のモラハラというか、付きまといに悩んでいた。その子の愚痴を聞いたり、相談に乗ったりしていたときによく言われたんだ。私は強い、自分は弱いって。
「でさぁ、もう、マジで限界。吐きそう。」
「お疲れ様。毎日、大変だね。こっちから見ててもまぁおかしいわね。」
「でしょ?なんであんなベッタリついてくるわけ?ひとりでもうできるし、やらせてほしい!」
「なんか決まりでもあるのかね?ないよね。」
「ないないない。でさ、ちょっとひとりで出掛けられたとおもっても、すぐ電話。LINE。どこ?いまどこ?って。」
「きついよね。」
その子の話はいつもそんな感じだった、ここまでは。私は聞いてあげて、なんとかしてあげたいという気持ちと、この子が気持ちよく働けるようにするにはどうしたらいいのか、を自分なりに言葉にしていた。
それが結果、強いという彼女の言葉を引き出すのだけど。
「あのさ、毎回いうけど、言ってあげようか?」
「いや、、、大丈夫です。」
「じゃあ、言いなよ」
「無理」
「・・・じゃあ、終わんないじゃん。」
「・・・・・我慢する」
「それじゃあ、愛ちゃんが可哀そうだよ。なんでそんなことでこっちが損しなきゃいけないわけ?しかもさ、仕事だから、これは。業務の邪魔なわけでしょ?」
「うん、まじ邪魔」
「まぁでも言うにしたって、どういえばいいのかとか難しいと思うけど。」
「ひとりでできるもんって?」
「ひとまず、ジャブ的に ひとりでやらせてもらえませんか? とか」
「うーーん、、、それとなくこないだ言ってみたんだけどねぇ、、、」
「まぁそれでも 今どこ? が来るのか」
「そう。だってそれこそ仕事だから、出ないと怒られるやん?」
「あたしだったら、もうガツンと言うけどなぁ…」
「山田さんは、強いから。強いからそんな風に言えるんだよ。私は強くないもん。」
「うーん、、、強い弱いって話なのかな。」
「そうだよ。だって、山田さんは思ったこと感じたことはっきり割と言えるでしょ?こないだだって、、」
「ん、あ、まぁ、言うね。サラっとでてくるわけではないよ?一応、ちょっとは我慢を・・・」
「私たちはそもそも言えない、言えるわけない。そんな勇気ないもん。」
「(私たち・・・)」
この子も、あの子も、その子も、いつもこうだな。私だってわかっているよ?この子たちは「話を聞いて欲しいだけなんだって」こと。でも私は話を聞いてあげるだけでは解決しないって思ってるから行動を起こすことを促すんだけど、できない、勇気がない、って言う。この日もそうだった。それに相手の上司にもムカついてくる。なんで若くてか弱いこの子がこんなに苦しまなきゃいけないんだって。この日は、その怒りで私の中のなんらかの線をプチンと切れちゃったんだよね。
「あのさ、強い弱いってのはわかったからさ、勇気がないのもわかる。じゃあどうしたいの?」
「・・・。」
「厳しいこと言ってごめんけど、これはゲームみたいなもんだよ。私は強いから近接フルボッコでゴリゴリインファイトする。じゃあ、あなたは?私みたいには戦えないんでしょ?」
「近接フルボッコ??」
「近くにいって直接敵を叩きまくるってこと。あなたが私みたいにできないのなら、違う戦略を考えて実行するしかないじゃん。」
「なるほど・・・」
「例えば、されていることを記録して部長に報告、相談する、とか。違う先輩に頼んでくっついてもらう、とか。奴宛てに彼氏のフリして怪文書送る、とか。」
「彼氏いないし・・・」
「彼氏でもなんでもいいんだよ、怪文書なんだから。ツキマトイヤメロ、みたいな。」
「うーーーん…」
「まぁ、とにかく 弱いなら弱いなりのやり方 が絶対あるはずだよ。なんかするなら手伝うからさ、がんばろうよ。」
「うん、、でもいい。山田さんに聞いてもらうといつもスッキリするから。」
「・・・・。」
「ありがとうございます。」
「いや、、、え、、まぁ、いいの?もう。」
「うん」
結局、彼女はとくに何のアクションを起こすことなく月日は流れ、それから3か月後に退職した。
私は、わからなくなった。
自分に何かできなかったのか。彼女はどうしたかったのか。悔しくないのか。
ところが、しばらくして一緒にご飯にいったら、元気そうな明るい表情をしていたから本当にホッとした。
強くなくてもいい。
戦い方が違うだけだったんだと思う。
そしてきっと、
居続けることだけが、正解じゃない。
ありがとう、また会おうね
そういって私たちはお店を後にした。
ーおしまい🐾
