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インスピレーションは降りてこないので、探しにいくしかない

先日、とある企業における採用促進のためのインタビュー記事作成を支援させていただきました。内容としては、その会社内の若手エース社員数名に対して、60~90分程度のインタビューをさせていただき、その会社の特徴や強み / 弱み、隠れた魅力などをインタビューを通じて発掘し、それを記事として仕立てる、という内容でした。

このインタビューの内容が非常に面白くて、話を聞いているだけで、採用記事のコンテンツの見出しや中身、会社のパーパス、ブランディングの方向性、採用サイトのコンセプトなどなど、さまざまなアイデアが次々と浮かんでくるんですね。

(今回は採用記事作成の案件でしたが)もしインタビューをせずして、この会社のリブランディングの提案をしろと言われたら、おそらく難しかったと思うのです。それくらい、話を聞く前と聞く後で見える世界が変わってくるし、一人では辿り着けない気づきをたくさんもらえたのです。

仕事や日々の暮らしの中で、何かしらアイデアを必要とするとき、よく言われる「(インスピレーションが)降りてくる」という表現がありますが、それって偶然に頼りすぎだと思うのです。まあ時間が有り余っているならそれでよいのですが、特に仕事で必要なときは待ってはいられないわけですね。


なぜ人に話を聞くと、新たなアイデアの気づきにつながるのか?

なぜ人に話を聞くとアイデアが思いつくのか、それは他人に話をきく中で、新しい情報を取得し、その新しい情報と関連づけられる / 照らされる形で、今自分が考えているアイデアを考えないといけないテーマに関する、新しい気づきや捉え方の視点が生まれるからです。

私たちはAIのように、莫大な情報を記憶できませんし、それらを短時間で網羅的に探索することはできないのです。


例:自社のブランディングの方向性を検討する

じゃあ実際にインタビューをするとどういうメリットがあるのかを、架空の事例をもとに考えてみましょう。

例えば、あなたが会社の新しいパーパスなりミッションなりを策定するプロジェクトに関わっているメンバーだとして、インタビューを行うと、例えば、こんな感じになるわけです。(架空の内容です)

あなた:この会社のらしさってなんだと思いますか?
相手:頑固なのに、変に柔軟なところですかね。
あなた:頑固なのに柔軟?それってどういうことですか?
相手:うーん、うちの会社って歴史も長いし、結構古いしきたりもあるのに、昔からある商品のパッケージを急にガラッと変えたりするじゃないですか、そういうところがうちの会社の面白いところだなと思うんですよね
あなた:確かに、あの商品をリニューアルした時はとてもびっくりしましたね。うちの売れ筋一位だったのに、売上下がったらどうするんだろうと思っていました。
相手:ですよね、私も当時そう思ってました。でも、後からあのリニューアルの裏側を上司に教えてもらったんです。というのも、開発当時は人々の暮らしが〜〜〜だったらしいから、当時の成分配合にしていたらしいんですけど、時間も経って、私たちの生活も変化する中で、このままでは良くないのではないか、というのが開発担当の若手からあがってきて、それが上にエスカレーションされて、結果リニューアルの決断になったらしいんです。

架空インタビュー(相手:現場で活躍する中堅社員)

例えば、インタビューする前に、プロジェクトチームの中でのブレストで自社のらしさについて、ブレストした際に、

  • 歴史が長いこと(創業70年)

  • 長らく愛されてきた商品がある

みたいな案があったとして、これ単体だとある種当たり前というか、事実そのまんまという形で、会社のパーパスやビジョンのもとになる方向性としては少し弱いわけですね。

ですが、その後に上記のインタビューを挟むと、単に歴史や伝統がある、という状態から、歴史や伝統という軸だけでなく、柔軟という軸も新たに加わります。ある種歴史や伝統という言葉のもつ、古さやとっつきにくさ、頑固さという要素に対して、相反する柔軟さという要素を手にいれることができるわけです。

この話だけでも、歴史や伝統がありつつ、時代に合わせて柔軟に変化していく、というブランディングの軸が見えてきますよね。さらには、変化し続けているからこそ、生き残ってこれた、という軸も使えそうです。

また、その開発エピソードを聞く中で、現場の一社員からリニューアルの提言があったことも聞けたことで、ちゃんと現場の声を聞いて、それを経営層が真摯に受け止めて経営や会社全体に関する意思決定ができる、懐の広い / 風通りの良い会社という軸も考えられそうです。


良いインスピレーションを得るために必要なこと

あくまで上記のケースは、私が過去に経験した実際の事例をベースにした架空の話ですが、このように話を聞くことで、新たなアイデアに辿り着けた経験はたくさんあります。

特に、前職のデザインファーム在籍時には、企業や大学のサイトのリニューアルを数多く行っており、その際にも、経営者 / 学長といったエグゼクティブ層から、現場のリーダー層から、若手社員/職員、さまざまな方に話を聞いていき、そこからブランディングの方向性や具体的な施策アイデアなどを生み出していました。

ただ、こうしたアプローチにもいくつか注意点があります。それは良い話を引き出すためには、それなりの準備が必要であること、また、良い話を引き出すためのテクニックがあるということです。

文字量の観点から細かいテクニックまでは紹介できませんが、シンプルに説明するなら、
① 誰に話を聞くべきか?をよく考える
② 相手から良い話を引き出せるようにする
の2点が非常に大事です。

特に②については、それ単体でテクニック論やマインドセットについて本が何冊も出てるくらい、難しい領域です。私自身も述べ数百人にこれまでインタビューしてきましたが、テクニックの言語化も非常に難しく、いつかnoteにまとめたいと思っていますが、なかなか手につきません。

ただ、1つ言えることは、自分1人で、もしくはチームで良いアイデアが出ないと悩むくらいなら、テクニックなんて気にせずに、いろんな人の話を聞きにいくほうが、はるかに効率的で良いアイデアに辿り着けるということです。

1回ではなかなか難しくても、何人も話を聞いてるうちに、インスピレーションをきっと得られるはずです。

やってみて、どうしても難しいとか、失敗できないから不安、、という方は私や、それ専門にやっている会社もあったりするので、ぜひそういった専門の人や会社にお声がけください。

ちなみに、大学時代の友人と、そういったチームを作って仕事を引き受けておりますので、もしお悩みの方がいれば、ぜひご相談ください(宣伝)

※主には新規事業開発におけるアイデア検証がメインですが、アイデアの立ち上げのところもやっています。会社のブランディングみたいなことも、別の友達と支援しているので、そちらもよければ。


まとめ

こういう話を書くと、よく「ユーザーに聞いても答えは出ない」「答えは自分の中にしかない」という類の反論をいただくことがあります。これ自体の議論をするとめちゃくちゃ長くなるので触れはしませんが、こうした反論に関しても非常に理解できます。

なので全ての場合において、誰かに話を聞くことが優れた解決策や施策のアイデアに辿り着ける唯一の方法というわけではないです。

ただ、一人で考えて悩んで時間を過ごすくらいであれば、発想の起爆剤として、思考をスタートするきっかけとして、誰かに話を聞いてみる、インタビューやらヒアリングを試してみる、というのは良いのではないかと思います。

ということで、また最後に宣伝です。2月24日に初の書籍を出版しました、今日書いたようなアイデア創出にまつわる悩みや、そもそもアイデアというものはどのようにして生まれるのか、について書いています。

今回の内容にいいねと思ってくれた方は、ぜひ書店で手に取ってみてください。それではまた!

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