便利になったからこそバレる、“ヘッドアンプ雑い問題”。Danteを使ったLIVE録音レポ。
おはようございます!MaCoです。
今日は、最近Danteシステムで行ったライブ録音のレポートを書いてみようと思います。
結論から言うと
録音オペレーターとしては圧倒的に楽になった
だけどその分、「ヘッドアンプってやっぱり偉大だな…」と、アナログ一段目のありがたみを改めて思い知った
そんな現場でした。
今回のライブ録音セッティング
細かい型番の話は一旦置いといて、構成はざっくりこんな感じでした。
ステージ上
マイク → ステージボックス(内蔵ヘッドアンプ)
FOH(客席側のミキサー位置)
デジタルコンソール(ステージボックスとDante接続)
録音
Dante Virtual Soundcard → ノートPC → DAWでマルチトラック録音
イメージ的には、
マイク → ヘッドアンプ → A/D → Danteネットワーク → 録音PC
という流れです。
アナログのスプリッターで分岐して録音するのと違って、
ステージからFOHまで
FOHから録音PCまで
ほとんどネットワークケーブルの世界で完結している構成です。
Danteシステムで「めちゃくちゃ楽になった」と感じたポイント
実際にやってみて、「うわ、これはもう戻れないかも」と思ったポイントを挙げてみます。
1. ケーブル地獄からの解放
これまでは、
ステージ側からマルチケーブルでFOHへ
さらに録音用にアナログスプリット or ダイレクトアウト
その先をオーディオインターフェイスに接続……
みたいな配線で、物理的なケーブルが本当に多い状態でした。
今回のシステムでは、
ステージボックス → FOH:ネットワークケーブル
FOH → 録音PC:同じネットワーク上でパッチ
という形で、太いマルチケーブルがネットワークケーブル1本に置き換わる 感覚です。
取り回し的にも、作業負担的にも圧倒的に早く仕込めて、本当に楽になりました。
2. 録音側の配線・チェックがシンプル
録音PC側でやることは超シンプルで、
Dante Controllerでルーティングを確認
DAWのインプットとチャンネルを一括で割り当て
メーターを見ながらレベル確認
これで全チャンネルの録音チェックまで一気にできます。
「このケーブルどこに刺してたっけ?」 みたいな、アナログあるある迷子タイムがほぼゼロになったのは、本当に大きいポイントです。
3. パッチやルーティングの切り替えがスムーズ
Danteのいいところは、
ルーティングをほぼそのままの状態で維持できる
ちょっとした変更もPC上で完結する
という点もあります。
「録音チャンネルだけ別に…」とか、「この曲だけ構成が変わるからチャンネルを差し替えて…」みたいな状況でも、パッチ画面で落ち着いて整理できるのは、メンタル的にもかなり助かりました。
それでも痛感した「ヘッドアンプってやっぱり偉大」
一方で、今回の現場ではDanteの”便利さ”とは別方向の学びもありました。
それが、
「アナログ一段目=ヘッドアンプのクオリティと扱い方が、録音のすべての土台になる」
という、ある意味当たり前だけど、改めて刺さった事実です。
Gainノブ1つで、録音の表情が全部変わる
Danteはあくまで”デジタル信号を運ぶインフラ”であって、音の表情そのものを作っているのは、やっぱり
・マイクとマイキング
・ヘッドアンプ
・A/D変換までのアナログステージ
このあたりでした。
ヘッドアンプのゲインを1〜2dB上げるだけで演奏のニュアンスが前に出たり、逆に少し下げてデジタルトリムで持ち上げると急に冷たく感じたり。
「あ、ここでの判断がこのままマルチトラックに焼き付くんだ」 という重みを、Dante経由の録音だからこそ余計に感じた気がします。デジタルで”何とかする”の考えが変わる
もちろん、後でミックスのときに
・EQで整える
・コンプレッサーやサチュレーションで太さを足す
みたいな対処はできます。
でも、
ヘッドアンプ段階でクリップしてしまったり、
逆に、ビビってゲインを下げすぎてノイズっぽくなったり、
そもそもマイキングが甘くて音の芯がなかったり。
こういう音は、後のミックスでの「修正」というより、どうしても「誤魔化し」に近い作業 になってしまいます。
今回は特に、
・ライブの熱量
・会場のアンビエンス
・演奏者の一瞬のニュアンス
みたいな”生の感情”をできるだけそのまま録りたい現場だったので、ヘッドアンプのゲイン決めとマイキングには、本当に神経を使いました。「ヘッドアンプ」のありがたみを再確認
今回使ったヘッドアンプは、いわゆる”PA用コンソールのプリアンプ”だったことも大きかったのかなと思います。
・強めに入れても、嫌なガリガリ感にならない
・ほんの少しだけ押し込んだときの、中域の張り出し方が気持ちいい
Danteでそのまま録音しても、「あ、このまま作品に出来そうだな」と感じる質感でした。
ネットワークでいくらスマートに運んでも、入り口の音がそもそも気持ちよくないと、やっぱりしんどい。
逆に、
・マイク
・マイキング
・ゲイン設定
この入り口さえ良ければ、Danteはその良さをちゃんと運んでくれる印象です。
この「役割分担」が、今回はっきりと見えました。
Danteのライブ録音で意識したいこと
自分へのメモも兼ねて、今後も意識したいポイントをまとめておきます。
ヘッドアンプで”気持ちいい表情”を探す
→ ただ安全マージンを取るのではなく、「どこが一番その人らしいか」を探るDanteは「運ぶ・分ける」の専門家として信頼する
→ ルーティングと命名をきちんと整理して、迷子をなくす楽になったぶん、最初の一段目に時間を使う
→ 録音オペレーションに余裕ができた分、会場の鳴りや演奏者の出音に耳を使う
技術が進んだおかげで、むしろ 原点の”マイクとヘッドアンプ”にちゃんと向き合う余裕 が生まれたな、という感覚でした。
楽になったからこそ、“最初の一段”を大事にしたい
Danteのおかげで、ライブ録音の現場は本当に楽になりました。
ケーブル地獄から解放されて、ルーティングもPC上で見通しよく管理できて、マルチトラック録音のハードルも下がった。
その一方で、
「ヘッドアンプまでで決まる部分って、思っている以上にデカいな」
という、当たり前だけど大事な事実を改めて思い知った現場でもありました。
技術が進んで、便利になっていくのは本当にワクワクします。
その分、その便利さを「音楽の芯を太くするために」どう使うかは、やっぱりエンジニア側の責任でもあるなと感じています。
一番最初の一段目=マイクとヘッドアンプには、これからも一番時間と耳を使っていきたいなと、改めて思いました。
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