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【治療初期の落とし穴】薬を飲み始めて抜け毛が増えるのは「順調な証拠」です

こんにちは。 おもろまちヘア美容Clinicの毛髪診断士です。

勇気を出して髪のケアや治療をスタートし、「これから髪をすこやかに育てていこう」と前向きな一歩を踏み出したばかりの頃。ふと毎日のシャワーやドライヤーの際、鏡の前で「あれ?なんだか始める前よりも、むしろ抜け毛が増えている気がする……」と、不安な気持ちになったことはありませんか。

「このままケアを続けていて本当に大丈夫なのだろうか」「自分にはこの治療方法が合っていなくて、かえって薄毛が悪化してしまっているのではないか」と、焦りや不安を感じていらっしゃる方は少なくありません。

特に、髪のボリュームを取り戻したいと願う方にとって、初期段階での抜け毛の増加は、大きなプレッシャーに感じられますよね。

毎日を心穏やかに、安心してこれからの変化を見守っていただくためにも、治療初期に一時的に抜け毛が増えるように感じられるミクロのメカニズムについて、毛髪科学のエビデンスに基づいて紐解いてみましょう。

ヘアサイクルの「新旧交代」:古い髪が新しい芽に場所を譲る瞬間

結論から申し上げますと、治療や正しいケアを始めてから一時的に抜け毛が増えるように見える現象は、髪の毛が衰えているわけではありません。むしろ、頭皮の奥深くにある毛包が活性化し、ヘアサイクルが新しく力強く回り始めた「前向きな兆し」である可能性が高いのです。

ここで、私たちの髪がどのように生え変わっているのか、ミクロの領域を優しくのぞいてみましょう。

私たちの髪の毛は、絶えず伸び続けているわけではありません。髪の毛一本一本には、「成長期」「退行期」「休止期」という、繰り返される生え変わりの周期(ヘアサイクル)が存在します。

成長期(男性で約3〜5年、女性で約4〜6年):毛母細胞が細胞分裂を繰り返し、髪が太く長く成長する時期。

退行期(約2〜3週間):成長を終え、毛球部が縮小して細胞分裂を停止する時期。

休止期(約3ヶ月):髪が毛包に留まり、次の成長の準備をしながら抜け落ちるのを待っている時期。

自然に脱落していく抜け毛の多くは、役目を終えて角化した「休止期毛(棍棒毛)」です。

ヘアサイクルが乱れ、髪が細く短くなってしまうAGAなどの状態では、成長期が短くなる一方で、この「休止期」に留まっている髪の割合が通常(全体の約10〜15%)よりも多くなっています。

そこに、頭皮の血流を促すケアや、毛母細胞のエネルギー源である「ATP(アデノシン三リン酸)」の合成阻害に働きかけるお薬などが作用し始めると、眠っていた毛包が一斉に目覚め、「新しい成長期」の活動をスタートさせます。

このとき、毛包の奥で新しく育ってきた柔らかな「新しい成長期の産毛」は、同じ毛包の入り口付近に留まっていた「古い休止期の棍棒毛」を下からそっと押し上げるようにして、外へと押し出していきます。

例えるなら、「春になって新しい若葉が芽吹くとき、それまで枝に残っていた古い落ち葉が、押し出されるようにしてハラハラと舞い落ちる」ようなものです。

古い落ち葉が落ちるのは、木が枯れているからではなく、新しい生命が下から芽生えている証拠です。

これと同じように、初期の抜け毛の一時的な増加は、ヘアサイクルが「休止期」から「新しい成長期」へと切り替わった、ミクロのバトンタッチが行われているプロセスのひとつと考えられています。

焦りは禁物:バトンタッチ期を安心して乗り越えるための3つのアクション

頭皮の下で健やかな新旧交代が行われている間、焦って自己判断でケアを中断してしまうのはもったいないことです。

途中でやめてしまうと、整い始めていたサイクルが乱れ、徐々に元の状態に戻ってしまう可能性があります。

バトンタッチがスムーズに完了するのを静かに見守るために、今日からできる優しいホームケアを一緒に整えていきましょう。


①ぬるま湯(38℃前後)での「2分間の予洗い」

髪が抜けやすいデリケートな時期こそ、頭皮の等電点(最も安定する弱酸性pH4.5〜5.5)を優しく守るための洗髪を心がけましょう。シャンプーの前に38℃前後のぬるま湯で約2分間、地肌を優しくすすぐ「予洗い」を行うことで、ほこりや余分な油分の約7〜8割は落とすことができます。これによりシャンプーの摩擦刺激を減らすことができますよ。

②指の腹を使った「地肌を優しく動かす」もみ洗い

髪をごしごしとこすり合わせる洗い方は、抜けかかっている休止期毛に負荷を与え、成長しようとしているデリケートな新しい産毛まで傷つけてしまうことがあります。爪を立てず、「指の腹」を地肌に密着させ、頭皮全体を優しく動かすようにマッサージしながら、泡で包み込むように洗い上げましょう。

③過度なブラッシング摩擦を避ける

洗髪後やスタイリング時の強いブラッシングは、頭皮に物理的な引っ張り負荷(毛包を傷める原因になります)を与えてしまいます。目の粗いブラシを使用し、摩擦を抑えるブローローションなどを取り入れて、力を抜いて毛先から丁寧に整えてあげてくださいね。

毎日のシャンプーやお手入れの際、「今日も頭皮の下で、新しい若葉が育とうとしているんだな」と、そっと温かい気持ちで髪に触れてあげることが、すこやかさの土台を形作っていきますよ。

もしご自身で髪を見てみて、何か気になることや「気のせいかな?」と思うようなお困りごとがあれば、いつでもご相談くださいね。

当コラムでは、毛髪科学や頭髪ケアに関わるさまざまなヒントをお届けしています。読者の皆さまが、いつまでも健康で美しい髪を保ち、前向きな毎日を過ごせるよう、少しでもお役に立てましたら幸いです。

現状の頭皮や髪の状態を正しく知ることが、解決への第一歩です。一人で抱え込まず、いつでも私たちにお話ししに来てくださいね。


【次回予告】お気に入りの洋服を着て、すっきりと健康的にスマートな体型を目指すために、日々の食事制限やダイエットに励んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。しかし、体重が減った喜びの裏で、「なぜか最近、髪のボリュームやハリ・コシまで一緒に減ってしまった気がする……」と、新たな髪の悩みに直面することがあるのですよ。

実は、極端な食事の偏りやエネルギーの制限は、髪の成長に必要な原料の供給を滞らせ、髪全体の固定力を弱めてしまう「髪の栄養失調」を引き起こす可能性があることが分かっています。

次回のテーマは、【体重は減ったのに髪まで減った?】極端な食事制限が招く「髪の栄養失調」についてお届けします。健康的に美しくボディラインを整えながら、豊かな美髪バリアも守っていくための、正しい食事と栄養の科学について詳しくご紹介する予定です。

次回もぜひ、ゆっくりとお付き合いいただけましたら嬉しく思います。どうぞお楽しみに。

\今月のポイント/

1⃣治療初期の抜け毛の増加は、サイクルが「新しい成長期」に入った兆し お薬やスカルプケアが効き始めると、眠っていた毛包が一斉に活性化します。下から新しく生まれた成長期毛が、古い休止期毛(棍棒毛)を押し上げることで一時的に抜け毛が増えることがあります。

2⃣「新芽が古い落ち葉を押し出す」ミクロのバトンタッチプロセス この新旧交代は、髪を育む毛包の奥でバトンタッチが行われている一つのプロセスと考えられます。効果の現れ方や一過性の抜け毛の期間には個人差があります。

3⃣摩擦と刺激を抑える優しいセルフケアでデリケートな頭皮を守る 38℃前後のぬるま湯による丁寧な2分間の予洗い、爪を立てず指の腹で揉むような優しい洗髪を心がけ、自己判断での急な治療中止は避け、髪の等電点(弱酸性pH4.5〜5.5)を守るケアを継続しましょう。

このコラムを執筆
おもろまちヘア美容Clinic 毛髪診断士
▼ 公式ホームページ
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