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2025年9月読書記録

移動時間が多かったので、しっかり読めた一ヵ月だった。

 表紙のデザインがとっても素敵だしインパクトのある書き出しにつながるタイトル。ゆる言語学ラジオファンとして水野さんの言葉を文章として読めるのは喜ばしいし、VBの新刊発売祭を盛り上げたくて生まれて初めて発売前予約をした。
内容ももちろんいいんだけど、巻末の「言語学をもっと知りたくなった読者のための30冊」というリストもとても有用。時間はかかるだろうけど、いつか全て読破したいと思う。しかし改めて、水野さんは会社員しつつラジオ収録して執筆作業してイベントもこなすなんて何者なんだ本当に…。やはりしごできの条件は体力お化け。

 久しぶりの金原ひとみ!積読チャンネルで紹介されていたので、えいやっと買った。分厚さを感じさせず一気に読まされる。同じ事件をいろんな視点で切り取る系の話大好きなんだけど、これから藪の中系小説と呼ぼう。まずは芥川のほうを読まなければ…。

 推し、燃ゆのほうで気になっていた作家さん。とてもいい文章だった。強めの方言で一章書き通してしかも読ませるのはすごい。毒親系のお母さんが出て来る話は大体好きなんだけど、主人公がやっぱり母親を深く愛しているのは切ない。

 YABUNONAKAを読んだ直後、Kindleのおすすめに出て来て、カバーデザインにひかれて即読み。タイトルのデクリネゾンは「一つの食材を異なる調理法で複数に加工し、一皿に盛り合わせる技法」という意味らしい。食べ物の描写が多くて楽しかったけど、出て来る女性はみんなきつかったな~。恋愛の話しかしないし。金原ひとみがあんまり好きじゃない理由を思い出させられる本だった。でもさくさく読めるので結局最後まで読んでしまう。赤ん坊を育てることは宗教であるという一文が好きだった。

 この作家好き!ってなるトリガーのひとつである「何喰ったらこんな文章書けるん?」代表作家。久しぶりの再読。何度読んでも好きすぎる天才。この本に載っている一文字一文字すべてを愛している。いけ三郎、いけ!ランランランランラン!ゴーゴーゴーゴーゴー!

 海外で日本文学の評価が高まっているという文脈でよく名前を見ていたのだが、ストーリーに関する前情報は一切なしで読んだ。結果的に先入観なく読めたので良かったと思う。前半と後半はまったく違う展開だけど、どちらも好きだし、主人公の体型と心境の変化は好ましかった。

 また、こんな変な小説を書いちゃって…。世界99を読んで以来、村田沙耶香の既刊をゆっくりゆっくり読み進めている。どの本にも世界99にちりばめられていたキーワードが繰り返し出て来るので、改めて世界99は村田沙耶香の世界観の結晶なんだなと。変な人ばっかり出て来て、たまに出て来る「普通」の人もどんどん染まって変になってしまうので、読み終わるころには自分の頭もいよいよおかしくなってきたかなと不安になるこれが村田本の醍醐味である。現代社会に馴染めなくて辛いな、早く洗脳して楽にしてくれよ、は時々思うよね正直。

 短編集なのでじっくりゆっくり読んだ!うそのバスと鮫が好き。1995年出版らしいので、久しぶりに古の本を読んだなという感じ。女性の描写に古さがあるけれど気にしたら読めなくなるので頑張ってスルーした。

 今月2冊めの村田沙耶香。これも短編集で、表題作の生命式が一番好きだった。あと素晴らしい食卓。食べ物の好みは人それぞれだし、押しつけとジャッジは良くない。

 Butter読了後、木嶋佳苗事件に興味が湧いて、本人の自伝小説を見つけたのでさっそく読む。よく考えたら自伝のタイトルが礼賛なのもめっちゃ面白いな。内容はまあなんとも言えず。急にぶっ飛んだ行動する主人公は面白かった。おじさんとの性描写が多くてやや食傷。でも男性のことを徹頭徹尾持ち上げて書いているあたりが、キャラクターとしっかり合致している。実在のお店の名前がたくさん出て来て、久しぶりに空也の最中食べたいなとか、松戸のツオップも行きたいなとか次東京行くときに立ち寄る場所リストが潤った。あと舟和の芋ようかんも美味しそうなので食べてみたい。

 2017年1月、モロッコのシェフシャウエンにあるカフェで、青空文庫アプリで読んだことをはっきり覚えている。貴族の没落という内容が暗すぎるし、弟が自殺する部分が辛過ぎて再読を避けていた。けれど、ずっと心に残ってた本。久しぶりに再読したら、記憶より全然暗くない、というかパワフルな文章にびりびり痺れた。主人公が人間は恋と革命のために生まれてきたと思うのですとか言ってるの全然忘れてたよ…!とにかく、主人公の書く手紙や、セリフの一つ一つがぐりぐりと琴線に触れて、ハイライトしまくっていた。太宰の書く女性の一人称で書く文章が一番美しくて、力強いと思う。

 斜陽を読んだ勢いで、次は津軽。こちらは初読。旧字体が多いし、青森の土地勘もないので、やや読み辛かった。最後に女中さんと再会するシーンがかわいい。そして雪の描写が美しくて、すでに青森の旅館を調べ始めている。今年はもう間に合わないかもしれないが、来年は東北旅行に行きたいな。「トンネルを抜けると雪国だった」を体感してみたい。最後の一文は、かっこいいので刺青したい。絶望するな。

まだまだ書きたい事が、あれこれとあつたのだが、津軽の生きてゐる雰囲気は、以上でだいたい語り尽したやうにも思はれる。私は虚飾を行はなかつた。読者をだましはしなかつた。さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行かう。絶望するな。では、失敬。

太宰 治. 津軽 (pp.374-376). 青空文庫. Kindle 版.

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