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常用漢字に採用されなかった漢字-大正時代のフォント-

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左:書道家タケウチ 右上:書道家板谷栄司with鯖大寺鯖次朗 右下:ジャズギタリストタナカ



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近代日本の文字の改革


以前、YouTube動画で、現在の日本で使用される漢字の話をしました。


近代日本の文字改革において特筆すべきは、明治時代に、
公式書体が楷書体
● ひらがな1音1字
となったことが挙げられます。
このとき漢字については特別な取り決めはありませんでした。

※江戸時代までは草書体が基本、平仮名は1音につき複数あった。

江戸時代の文字のイメージ
1782年『萬寳料理秘密箱』より

明治の変革後、大正・昭和の戦前までは、大きな変更はありませんでした。そして戦後、紆余曲折ありつつ、膨大な漢字を整理することとなり、「当用漢字」を経て現在の「常用漢字」(いわゆる「新字体」)となりました。

これにより使わなくなった漢字を「旧字体」「異体字」「俗字」などと呼びます。

略字
「正式な文字から点画を省略した字体」。

異体字
漢字の字体のうち、「標準字体以外のもの」。広義で言えば、新字体において旧字体は異体字。略字・俗字も異体字。

俗字
世間で通用するが正式ではない字体。また別に、正式な文字に対する異体字を指すこともある。

大正時代は、国として漢字を整理しておらず、一方で活版印刷も盛んになり、煩雑な漢字の略字が多く作られました。旧字体と新字体の狭間であり過渡期と言えます。

大正時代に使われていた漢字は一体どんな感じ??


大正略字フォント


今回「大正略字フォント」というフォントを見つけました。こちらのフォントは、主に大正期の一部の書物に使われていた活字を参考にしているとのこと。

ちなみに、現在使われている「新字体」の漢字ですが、「旧字体」を簡略化したものも多く、「新字体は旧字体の略字」であるものも多くあります。
「學」⇒「学」、「榮」⇒「栄」 など

漢字はそもそも古代中国で生まれた時から色んな形があり、淘汰・集約されてきています。

秦の始皇帝の時代に統一された「馬」の文字

それまで一般的に使われていた「異体字」「略字」「俗字」を「正」として採用するということも多々ありました。日本の新字体も然り。

「大正時代の略字」には
⇒「新字体」として”正しい”漢字へと昇格したもの
⇒ 惜しくも「新字体」に選ばれず、忘れ去られているもの
があるというわけです。

今回は、惜しくも「新字体」に選ばれず忘れ去られそうな(もしくは忘れ去られた)漢字に焦点を当ててみます。

ちなみにこの「大正略字フォント」が少しおどろおどろしいかのように欠けているのは昔の活版の欠けを表現したものとのことです。

それでは問題!
スグに答えを知りたくない方は、少しずつスクロールしてください!


Q1.大正略字【初級編】

ヒント

これは分かるかな・・・!「鯖」という漢字ではなぜか今もこの字体が使われています。そうです、「」。


Q2.大正略字【初級編】

ヒント

これもそれ以外に読めない気もします。
」です。「足」「是」という漢字も下部が同じですが、このようになります。

現代でも行書体ではこのように書く

Q3.大正略字【初級編】

ヒント
漢字の一部に利用されていてもこうなる

「魚」のようだけれど・・・・
はい、「」です。通常この4つの点は「連火・烈火」と呼ばれますが、「魚」という文字には関係がありません。4つの点が面倒だから、寿司のネタとしての魚は大きい方が良いから、など、この略字を使うのは諸説あるようです。


Q4.大正略字【初級編】

ヒント

うーん、何だろう・・・?
これは「」という漢字。この文字は元々門構えではなく、「とうがまえ」と言って「王」を2つ書きます。「トウ」と読むので「斗」の音を借りて略字にしたのでしょう。

とうがまえ

Q5.大正略字【中級編】

ヒント

お正月などに見かけたことがある人もいるのでは・・・?
」です。これは、「正」の草書体そのものですが、知らないと読むことは難しいですね。


Q6.大正略字【中級編】

ヒント
これを食いたい

「笑(*´艸`)」なんていう顔文字で見かける・・・・!
笑・・・草・・・そう「」です。草冠の篆書体(最も古い書体)を用いて作られています。

「草」の篆書体

Q7.大正略字【中級編】

ヒント
「野」も略字・・1889-1936年(まさに大正を生きた作家)

何これ・・・!?!?!「林」に「夕」・・・
正解は「」。
夢野久作氏がこの略字を使っていたかは分かりません。


Q8.大正略字【中級編】

ヒント

どこかで見かけた漢字の上部分・・・
そうです、「」。この省略の仕方は昔はよくあり、今でも書道の世界では使われることがあります。


Q9.大正略字【上級編】

ヒント

ただの「口」ではなく。
」の略字です。数ある国構えの文字の代表として、この字が構えだけをとって「くに」と読みました。


Q10.大正略字【上級編】

ヒント
二字目も略字・・

あぁん・・・??井伐、イバツ・・・???
これは「」。ヒントで書かれているのは「意識」です。現代ではほぼ見かけることがなさそう。


Q11.大正略字【上級編】

ヒント

ヒントから類推はできるけども・・・「占」・・?
正解は「」。読めるかーーー!!


Q12.大正略字【上級編】

ヒント

国構え同様に、雁垂れの代表格は何の文字か・・・!
答えは「」。随分スッキリした歴史です。


Q13.大正略字【超上級編】

ヒント
中国の簡体字「乐」

これは「」。旧字体は「樂」なので、今の「楽」も略字と言えます。
中国の簡体字は、略字を正しい文字として採用したということですね。


Q14.大正略字【超上級編】

同じパーツが3つ「品字様」

これはそれぞれ、「晶」「磊」「犇」「品」「森」
この省略形が新字体として採用されても良さそうな気もします。


Q15.大正略字【超上級編】

ヒント

「殺」・・・・・?
送り仮名から考えると、正解は「」。小篆あたりから来ていそうな略字です。


Q16.大正略字【超ド上級編】

ヒント

締め?〆?ではありません。
答えは、「」という漢字の略字。下の画像は、「貫」の草書体ですが、これの一部を用いた略字と考えられます。


Q17.大正略字【超ド級編】

ヒント

「ア」にしか見えない・・!!筆者も今回記事にするまで全く知らなかった略字。
答えは「部」。「ア」の他に「マ」と書く略字もあったようです。



いくつ読めたでしょうか。
これらは、ともすれば現在”正しい漢字”として使われていたかもしれないと考えると、感慨深いですね。



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