No.2055 四六がよろしいようで…
大分には、頓智の利く「吉四六噺」というのがあります。
ある日、吉四六さんは、村人たちと正月に使う薪を拾いに山へ入りました。ところが、村人が薪を拾う間、なぜか吉四六さんは薪を拾わずにずっと寝ています。
夕方になって、村人に起こされた吉四六さんは、村人たちが集めた薪を見て、
「こりゃあ椎ん木じゃ。椎ん木は悲しい(椎)ん木ちゅうち、正月ん縁起がわり(悪)い木じゃ。」
と言いました。これを聞いた村人たちは、
「縁起ん悪(わり)い木なら、要らん!」
と薪を全部捨ててしまいました。
すると吉四六さん、村人たちの捨てた薪を拾い集めて、持ち帰ろうとします。村人が、
「そん木は縁起が悪いんじゃろが!」
と聞くと、
「こん木は悲しい(椎)ん木じゃのうて、嬉しい(椎)ん木じゃ!」
と言って、唖然とする村人たちを尻目に持って帰ったとか…。
この吉四六さん、抜け目のない智恵者として描かれる民話の主人公ですが、江戸時代前期の豊後国野津院(現、大分県臼杵市野津地区)の庄屋であった初代廣田吉右衛門がモデルだと言われています。
1715年(正徳5年)に88歳で亡くなったので、没後300年以上が経っています。「きちえもん」の名が「きっちょむ」に訛ったという事でしょうか?
大分県日出町には、1972年(昭和47年)に発売された「吉四六」(二階堂酒造)という本格麦焼酎があります、命名は「吉四六さん」にあやかっているようです。
吉四六さんを人物名とは知らず、都市部の飲み屋では「四六で飲むのが吉」とその焼酎名を理解されたとも聞きます。ネーミング効果というのでしょうか、焼酎が四分なのか六分なのかは分かりませんが、酒飲みの心理をくすぐる上々吉の名前のように思われます。
酒屋さんで麦焼酎「吉四六」を見つけて、こんな話でも思い出していただけたら有り難く存じます。
※画像は、クリエイター・ともともさんの「麦焼酎で酔っ払い猫」の1葉をかたじけなくしました。麦常駐「吉四六」も、お気に召せば幸いです。お礼を申し上げます。
