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ある特攻隊員の遺書を読んで

この文章は、知覧特攻平和会館デジタルアーカイブで公開されている、穴澤利夫大尉の遺書を読んで書いたものです。
まずは、穴澤大尉ご本人の言葉に触れていただければ幸いです。
知覧特攻平和会館デジタルアーカイブ「穴澤利夫大尉の遺書」
 
この遺書を、
何度も読み返してしまう。
そのたびに、
最後で止まる。

「穴澤は現実の世界には、もう存在しない。」
そう書いた人が、
最後に書き残したのは、
「智恵子 会ひ度い。話し度い。無性に。」

この遺書は、検閲制度の下で書かれている。
「生きたい。」
その一言を書けたのか、
書けなかったのか。
あるいは、
書こうとしなかったのか。
本当のことは、
もう誰にも分からない。

だから、
書かれていない言葉ではなく、
書き残された言葉を読む。

「私は、もう存在しない。」
そう言い切った人が、
最後に、
「会ひ度い。」
と書き残す。

この言葉が今日まで残され、
今も読むことができることに感謝するとともに、
最後まで恋人の未来を願い、
それでも最後に、
「会ひ度い。」
と書き残した穴澤利夫大尉に、
心より敬意を表します。

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