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「できない」には、理由がある。子どもを見るときに大切にしていること



「どうして、うちの子はできないんだろう」

子育てをしていると、そんなふうに思ってしまうことがあります。

同じ年齢のお友達はできているのに。

何度教えても、うまくいかない。

練習しているのに、なかなかできるようにならない。

もう少し頑張ればできるのかな。

家での関わり方が悪いのかな。

そんなふうに、子どものことを心配するうちに、いつの間にか自分を責めてしまうこともあるかもしれません。

でも、作業療法士として子どもたちと関わっているわたしが、大切にしていることがあります。

それは、

「できない」という結果だけを見ないこと。

です。



「できない=やる気がない」ではありません

例えば、

「鉛筆をうまく持てない」

という子がいたとします。

大人から見ると、

「持ち方を教えてあげればいいのかな」

と思うかもしれません。

でも、作業療法士はその前に、

「どうして持ちにくいんだろう?」

と考えます。

もしかすると、

姿勢を保つことが大変なのかもしれない。

肩や肘をうまく安定させられないのかもしれない。

手首を動かすことが難しいのかもしれない。

指先に力を入れることや、力を抜くことが苦手なのかもしれない。

目で見たものに合わせて手を動かすことが難しいのかもしれない。

あるいは、そもそも「書く」という課題そのものが、その子にとって少し難しすぎるのかもしれません。

同じ「鉛筆が苦手」でも、
その理由は一人ひとり違います。

だから、

「できないから、もっと練習しよう」

だけではなく、

「何が難しくて、できないのかな?」

と考えることが大切なんです。



「できない」を細かく見てみる

例えば、はさみが苦手な子。

「はさみが使えません」

と聞くと、一つの困りごとに見えます。

でも実際には、

* はさみを開くことが難しい
* 閉じることが難しい
* 紙を反対の手で持つことが難しい
* 両手を一緒に使うことが難しい
* 線を見ることが難しい
* 紙を動かすことが難しい
* 力加減が難しい

など、いろいろな可能性があります。

だから作業療法では、

「はさみができない」

で終わらせるのではなく、

「はさみの、どの部分が難しいのか」

を見ていきます。

これは、はさみに限った話ではありません。

着替えも、食事も、鉛筆も、運動も同じです。



「できない」を「できる」に変える前に

わたしは、療育で子どもたちと関わるとき、

「どうしたら、この子ができるようになるだろう?」

と考えるだけではなく、

「どうしたら、この子がやりやすくなるだろう?」

と考えることも大切にしています。

例えば、椅子に座っていることが難しい子。

「ちゃんと座って」

と声をかけ続けるより、

足が床についているかな?

椅子の高さは合っているかな?

身体を支えやすい姿勢になっているかな?

と、環境を見直してみる。

すると、

今まで落ち着いて座れなかった子が、
少し長く座れるようになることがあります。

これは、

子どもが頑張ったからできるようになった

だけではありません。

「できる条件」を整えたから、力を発揮できた

とも考えられます。



子どもは「できない」のではなく、「今は難しい」のかもしれない

わたしが保護者の方に伝えたいのは、

「できない」という言葉を、少しだけ違う言葉に置き換えてみてほしい、ということです。

「できない」

ではなく、

「今は難しいのかもしれない」

と考えてみる。

すると、見えるものが少し変わります。

「なんでできないの?」

から、

「何があればできそうかな?」

に変わる。

「もっと練習させないと」

から、

「少し簡単にしたらできるかな?」

に変わる。

そして、

「この子は苦手なんだ」

から、

「この子に合った方法が、まだ見つかっていないのかもしれない」

と考えられるようになる。

この視点は、療育の中でもとても大切だと感じています。



そして、もう一つ大切にしていること

子どもの「できない」を見るとき、

「できるようになったか」だけを見ないこと。

例えば、鉛筆を持てるようになった。

はさみで切れるようになった。

一人で着替えられるようになった。

それはもちろん、とても嬉しいことです。

でも、

「どんな姿勢ならできた?」

「どんな環境ならできた?」

「どれくらい頑張ればできた?」

「疲れずにできた?」

「本人は楽しそうだった?」

そんなところも、わたしは見ています。

なぜなら、

「できる」ことと、「楽にできる」ことは、少し違うから。

子どもが無理をしなくても、自分の力を使ってできる。

そんな「できる」に近づけていくことも、作業療法士の役割だと思っています。



子どもの「できない」の中には、

まだ見つかっていない「できる方法」がある

子どもの発達を見ていると、

「この子にはできないんだ」

と思っていたことが、

やり方を変えたらできた。

環境を変えたらできた。

少し簡単にしたらできた。

得意な方法を使ったらできた。

そんな瞬間に出会うことがあります。

だからこそ、

「できない」という結果だけで、その子の可能性を決めないでほしい。

と、わたしは思っています。

そして、保護者の方にも、

「どうしてできないんだろう」

と悩んだときには、

一度だけ、

「何が難しいのかな?」

と考えてみてほしいです。

それだけでも、子どもの見え方が少し変わるかもしれません。



おわりに

子どものできないことが気になると、
つい「できるようにしてあげなきゃ」と思ってしまいます。

わたし自身も、子育てをしているとそう思うことがあります。

でも、子どもに必要なのは、
いつも「もっと頑張ること」ではないのかもしれません。

その子ができる方法を一緒に探すこと。

その子が安心して取り組める環境をつくること。

そして、

「できない今」も、その子の大切な一部として受け止めること。

それも、子どもを支えることだと思っています。

作業療法士として、
これからも「できない」の奥にある理由を、一緒に探していきたい。

そして、保護者の方が

「うちの子は、どうしてできないんだろう」

と悩んだときに、

「もしかしたら、何か理由があるのかもしれない」

と、少しだけ違う角度から子どもを見られるような発信をしていきたいと思っています。


今日も、子育てお疲れさまでした。
明日も、笑顔があふれる一日になりますように🌿



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