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〈朝30秒/週1回〉で、あなたのお店の未来が変わります。

【著者プロフィール】
片岡宏明|(株)スカイダイニング代表
経歴: 飲食店長10年/経営25年/システム開発12年(導入店舗2,000店舗以上)
「飲食業界を子供たちの憧れの職業に」をテーマに、飲食店専用「ワンレジ」を開発、販売。 役に立つ現場目線の経営ノウハウを発信中✨

赤字が続いてしまうお店には、ある明確な共通点があります。

それは「数字を見ていないこと」ではありません。「比べるための数字」を持っていないことです。

毎日の売上は把握している。仕入れの金額もわかっている。しかし、「今月、本来いくらであるべきか」という指標(予算)がないため、どれだけズレが生じているのかに月末まで気づけません。そして気づいたときには、その月はもう終わってしまっているのです。

店舗経営25年の現場経験から言えるのは、難しい会計知識は一切不要だということです。今回は、実際の店舗データをもとに、営業利益15%を確実に目指す予算の組み立て方と、そのズレをたった1分で見つけるシンプルな仕組みをお伝えします。


1. 営業利益15%から逆算する予算の作り方

まず、皆さんに質問です。「利益」とは何でしょうか?

多くの方は「売上から経費を引いて、最後に残ったもの」と答えます。しかし、実はこの考え方こそが赤字への入口です。残ったものが利益という捉え方では、「残らなかった月は仕方がない」という思考に陥ってしまいます。

利益とは、残すものではなく「最初に取り分けるもの」です。

例えば、月商500万円(60席・客単価6,000円)規模の焼肉店を例に考えてみましょう。最初に目指すべき営業利益15%(75万円)を確保し、そこから逆算して各費目の予算上限を割り振っていきます。

  • 原価:全体の34%(170万円まで)

  • 人件費:全体の30%(150万円まで)

  • 家賃:全体の13%(65万円)

  • 水道光熱費・雑費など:全体の8%(40万円)

  • 営業利益:全体の15%(75万円を先取り)

このように全体の比率を先にはっきりと決めてしまうことが極めて重要です。「原価はここまで」「人件費はここまで」という上限が明確になれば、日々の発注やシフト管理における迷いがなくなります。予算とは我慢するための道具ではなく、経営の判断に迷わないための「地図」なのです。

ここで一つ重要なポイントがあります。飲食店において、人件費は固定費ではなく「変動費」として扱うべきです。シフトの組み方次第で売上に合わせて調整できるため、金額ではなく「30%」という比率で管理します。売上が下がった月にも金額ベースのまま放置してしまうと、人件費率がはね上がり、あっという間に利益を圧迫してしまいます。

2. 予算と実績のズレを1分で見つける仕組み

理想的な予算を作成したら、次に必要なのは「ズレの早期発見」です。多くのお店は、月末になってまとめて集計し、そこで初めて赤字に気づきます。しかし、月末に判明した赤字を後から取り戻すことは不可能です。

そこでおすすめしたいのが、「毎週月曜の朝に3つの数字だけを予算と見比べる」という習慣です。

やり方は非常にシンプルです。月間の予算を4分割(4週間分)にします。先ほどの例であれば、週あたりの予算は以下のようになります。

  • 週の売上予算:125万円

  • 週の原価予算:42万円

  • 週の人件費予算:37万円

毎週月曜日の朝、前週の実際の数字とこの3つの予算を見比べます。確認にかかる時間は、慣れればわずか1分程度です。

ここで「5%ルール」を設定しておきます。予算から5%以上のズレが生じていた場合、その週のうちにすぐ対策を打ちます。売上が5%届いていなければ、今週の仕込み量と発注を即座に絞る。人件費が5%オーバーしていれば、今週のシフトを30分単位で再調整する。

大切なのは、その場で長々と原因分析に時間をかけないことです。1分でズレを見つけたら、実際の行動(発注やシフト調整)ですぐに修正する。詳細な分析は月に1回で十分であり、毎週の仕事は「見つけて、直す」これだけで足ります。これなら忙しい現場の店長でも無理なく継続できます。

3. 赤字のお店が見落とす致命的な数字

最後に、赤字店舗が共通して見落としがちな最も危険な数字について触れます。それが「FL比率」です。

FL比率とは、売上に対して原価(Food)と人件費(Labor)が占める割合のことです。

先ほど挙げた適正予算の例では、原価34%と人件費30%を合わせた「64%」が目安となります。なぜこの数字がそれほどまでに致命的なのでしょうか。

家賃やその他の固定経費は、いくら努力してもすぐには下げられません。家賃13%とその他経費8%(合計21%)が固定されている場合、FL比率が目安の64%を超えて高くなった分だけ、そのまま営業利益15%がダイレクトに削られていくことになります。

FL比率が数パーセント悪化するだけで、手元に残る利益は大幅に減ってしまうのです。だからこそ、この比率だけは月の途中であっても常に意識しておく必要があります。

また、売上が好調な時期ほど陥りやすい罠が存在します。「今月は売れているから大丈夫だろう」と気が緩み、発注の精度が落ちたり余分なシフトを入れてしまったりして、FL比率が悪化するケースです。売上と利益は全くの別物です。売上調子が良いときこそ、週次での1分チェックが効果を発揮します。

まとめ:明日から始める最初の一歩

今回お伝えしたポイントは以下の3点です。

  1. 営業利益15%を先に取り分け、逆算して予算を組む

  2. 毎週月曜日に「売上・原価・人件費」の3つだけを1分で比較する

  3. 基準となるFL比率をしっかり守り抜く

まずは明日の最初の一歩として、電卓を叩いて「先月の売上・原価・人件費の3つの数字から、自店舗のFL比率を算出してみること」から始めてみてください。たった30秒で終わる作業ですが、現状の課題がクリアに見えてくるはずです。

毎週月曜の朝、温かいコーヒーを飲みながら前週の3つの数字を確認する。数字が良い週のコーヒーは格別ですし、もし数字が悪ければ、気持ちを切り替えてシフト表を開けば良いのです。

売上を追うことと同時に、数字を正しく管理する仕組みを持つこと。小さな習慣の積み重ねが、時代に左右されない強い店舗作りの第一歩となります。

💡動画でもっと分かりやすく!(YouTube:ワンゼミ)


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