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骨盤の3Dの動きを引き出すヒント― コアコントロールから考える骨盤・腰椎の動きの連動 ―

先日、やよいがおか鹿毛病院で、one-step研修会を開催しました。

今回のテーマは、

「骨盤の3Dの動きを引き出すヒント」

サブテーマとして、

「コアコントロールから考える骨盤・腰椎の動きの連動」

について、評価と実技を中心にお話ししました。

今回の研修では、骨盤を「大きく動かす」ことだけを目的にするのではなく、

必要な安定性を保ちながら、骨盤の動きを選択的にコントロールできる状態

を目指すことをゴールにしました。


① まずは「支える」ことから考える

骨盤の動きを考えるとき、つい

「骨盤を前傾させる」
「骨盤を後傾させる」
「骨盤を回旋させる」

といった、動きそのものに目が向きやすくなります。

しかし、その前に考えたいのが、

「その動きを支えることができているか?」

という視点です。

そこで今回取り上げたのが、インナーユニットです。


② インナーユニット ― 4つの筋肉の協調

今回、特に新人の受講生に伝えたかったのが、

「4つの筋肉を知っている」ことと

「4つの筋肉が協調して働くことを理解している」ことは違う

ということです。

インナーユニットとして、

  • 横隔膜

  • 腹横筋

  • 多裂筋

  • 骨盤底筋群

の4つを取り上げました。

これらは、それぞれが単独で働くというよりも、腹腔内圧や体幹・腰椎の安定性を調整するために協調して働くという視点が重要になります。

イメージとしては、

横隔膜

上から支える

腹横筋

前・側方から支える

多裂筋

後方から腰椎を支える

骨盤底筋群

下から支える

という関係です。

つまり、

「体幹を固めるための筋肉」ではなく、「動くための土台をつくる筋肉」

として捉えることが大切です。

インナーユニット・イメージ図

③ 骨盤は「前後傾」から3Dへ

今回の研修では、骨盤の動きを

  • 前傾・後傾

  • 側方傾斜

  • 回旋

という3つの方向から考えました。

いわゆる「骨盤の3D」です。

ただし、最初からすべての方向を複雑に考える必要はありません。

まずは、

「骨盤を前傾・後傾できるか」

という基本的な動きを確認します。

前後傾の動きがある程度コントロールできたところで、

側方傾斜 → 回旋

へと広げていきます。

重要なのは、

骨盤を大きく動かせることではなく、必要な方向へ必要な量だけ動かせること。

そして、その動きが腰椎や脊柱とどのように連動しているのかを確認することです。


④ 骨盤と腰椎は「別々」ではなく「連動」で見る

骨盤を評価するときに、骨盤だけを見てしまうと、実際の動きを捉えにくいことがあります。

そこで今回は、

「骨盤が動いたとき、腰椎はどう動くのか?」

という視点を大切にしました。

例えば座位で骨盤を前傾・後傾させたとき、

  • 骨盤だけが動いているのか

  • 腰椎も一緒に動いているのか

  • 胸郭まで連動しているのか

  • 右と左で動き方に違いがあるのか

を確認します。

骨盤は一つの塊に見えますが、実際には左右の骨盤が完全に同じように動くわけではありません。

そのため、

「右と左、それぞれの骨盤がどのように動いているか」

を見ることも評価のポイントになります。


⑤ 臨床で使えるランドマークを触る

今回の触診では、骨盤と体幹を理解するためのランドマークを確認しました。

主に触診したのは、

  • ASIS

  • PSIS

  • 腸骨稜

  • 恥骨

  • 仙骨

  • 肋骨弓

  • 浮遊肋(第11・12肋骨)

などです。

触診は、単に「場所を覚える」ために行うものではありません。

実際に身体に触れることで、

骨盤・腰椎・胸郭がどのような位置関係にあるのか

を理解することができます。

特に新人のうちは、教科書の図だけでは身体の立体的な位置関係をイメージすることが難しいものです。

だからこそ、

見る → 触る → 動かす

という経験が大切だと感じています。


⑥ 座位で骨盤の動きを感じる

今回、評価の中心にしたのが座位での骨盤コントロールです。

座位は、臥位よりも重力の影響を受けながら、自分自身で姿勢をコントロールする必要があります。

そのため、

「骨盤を動かしたときに、脊柱全体がどう反応するか」

を感じてもらいやすい方法だと考えています。

骨盤を前傾・後傾させながら、

  • 腰椎の動き

  • 胸郭の動き

  • 頭部の位置

  • 左右差

  • 骨盤と脊柱の連動

を確認していきます。

ここで大切なのは、

「正しい姿勢を作る」ことではなく、「自分で姿勢を調整できること」

です。


⑦ アプローチは「一つの筋肉」から「動き」へ

臨床では、必要に応じて筋や関節に対する徒手的なアプローチを行います。

今回も、

  • 仙腸関節周囲

  • 腰椎周囲

  • 腹部周囲

  • 骨盤周囲

などへのアプローチを行いました。

ただし、ここで終わりにしないことが重要です。

徒手的に動きを引き出した後は、

「その動きを自分で使えるようにする」

必要があります。

そこで、

  • 骨盤の前後傾

  • 腰椎の分節的な運動

  • 座位での骨盤コントロール

  • ドッグ&キャット

などを利用して、運動の再学習を行いました。

つまり、

徒手的に「動かす」

自分で「動かせる」

実際の活動で「使える」

という流れです。


⑧ 最終的には「活動」につなげる

骨盤の動きを評価・練習すること自体がゴールではありません。

骨盤は、

  • 座位姿勢

  • 起き上がり

  • 立ち上がり

  • 立位

  • 荷重移動

  • 歩行

など、さまざまな活動の土台になります。

そのため、

「骨盤が動いた」

だけではなく、

「その動きが活動の中で使えるようになったか」

まで考えることが重要です。

今回の研修でも、最後には骨盤の回旋などを取り入れながら、歩行などの実際の動きへつなげる視点についても確認しました。


今回の研修で改めて感じたこと

今回、受講生の人数が比較的少なかったこともあり、実技の時間にはたくさんの質問が出ました。

「実際に担当している患者さんの場合はどうしたらいいですか?」

というように、目の前の臨床と結びつけた質問も多くありました。

こうした質問が出てくることは、研修をする側としても非常に嬉しいことです。

知識を知識のまま終わらせるのではなく、

「明日の臨床でどう使うか?」

まで考えてもらう。

今回の研修では、そこを大切にしました。


骨盤を「動かす」ために、まず「支える」

今回のテーマは、

「骨盤の3Dの動きを引き出すヒント」

でした。

しかし、研修を通して改めて感じたのは、

骨盤を動かすためには、骨盤を支える能力も必要になる

ということです。

横隔膜・腹横筋・多裂筋・骨盤底筋群によるコアコントロール。

そこから、

骨盤の前後傾

側方傾斜

回旋

腰椎・脊柱との連動

起き上がり・立ち上がり・歩行

へとつなげていく。

骨盤は、単に「姿勢を見る場所」ではなく、

その後の活動・運動を支える土台

として考えることができます。

PT・OTに関わらず、骨盤の動きを改めて見直すことで、患者さんの動作を見る視点が少し変わるかもしれません。


おわりに

月1回の定期勉強会。

今回も受講生の皆さんと一緒に身体を動かしながら、私自身も多くの学びがありました。

「教える」というよりも、

一緒に考えて、一緒に身体で感じて、一緒に臨床へつなげていく。

そんな時間を、これからも大切にしていきたいと思います。

来月も、また臨床につながるテーマを準備していきます。

ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。


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荒木康浩 | 理学療法士 ✕ キャリコン よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!