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あの子が大好き

朝、同じ時間に、同じ場所で見かける犬がいる。

モップみたいな犬。

犬と一緒に歩いているのは、つえをついたおばあさん。

おばあさんはゆっくり歩く。

犬もゆっくり歩く。

私は車で、娘を駅に送ったあとで。

赤信号だと、私は車を止めて、
おばあさんと犬が横断歩道を渡る様子を見る。

青信号だと、私の車は交差点で止まらずに、
おばあさんと犬が信号待ちをしている横を通り過ぎる。

だから私は、赤信号も好き。


ときどき、いない日があって、心配になる。

わたしは車に乗ったまま、
首を左右に動かして、おばあさんが通る道を見る。


道の向こうで、
おばあさんは誰かと立ち話をしている。

その足元で、
犬はだらっとした感じで横座りをしている。

犬の足の裏が見えて、得した気分になる。


あの子が大好き。

おばあさんと一緒に信号を待っている、
あのモップみたいな犬が大好き。

おばあさんの歩くスピードで歩いている、
顔がよくわからない、
いつも少しうつむいている、あの子が大好き。


あのね、
あのモップみたいな犬はね、

お正月前に一度だけ、
床屋に行ったんだ。


シーズーだった。