ものごとって、みんなとてもあいまいなのよ〜トーベとムーミン展によせて
いつも非二元論のことばかり書いているのだけど、先日訪れたトーベとムーミン展がとても素敵だったので、記録の意味も込めてここに残しておこうと思う。
もともと私はムーミンが大好きで、仕事場にもお気に入りの絵を飾っている。
可愛いムーミングッズを見かけると、ついつい手が伸びてしまうのだけれど、今回の展示会は、これまでとは少し違った視点で彼らと出会う時間になった。
ただ実は、その前に盛大にやらかしてしまった。
展示会へと向かう途中で、街中で派手に足首を捻り、すっ転んでしまったのだ。
右足はひどい捻挫で、しばらく立ち上がれないほどの激痛。
「せっかく来たけれど帰ろうか…」と本気で悩んだ。
でもやっぱり諦めきれず、根性で会場へ向かうことにした。
どんどん腫れてくる右足に気を取られ、左足を軽く見ていたのだけど、左膝にも擦り傷があった。
念のために、途中で絆創膏を買って何枚か重ね貼りし、展示室に入った。
そうして穏やかに原画を眺めていたのだけど、ふと足元に違和感を感じて下を見てみると、ジーンズが血だらけになっている。
重ね貼りした絆創膏も、意味をなさない勢いで血が染み出し、完全にホラーな状態に。
そこからはもう、展示場の職員さんの視線が、私の足元に釘付けになっているのをヒシヒシと感じながら、流血のジーンズでムーミンの世界を歩き回るという、忘れられないシュールな体験となった。
それでも展示会は、本当に素敵だった。
私はあまり写真をたくさん撮るタイプではないので、ここに載せられるものは少ないのだけれど、本当はもっとすごかった。
機会がある人は、ぜひ実際に足を運んでみてほしい。
これまで私の中でのムーミンやスナフキンの立ち位置は、あくまで「可愛いキャラクター」だったのだけど、今回は何というか、そこに生命や祈りのようなものが注がれた気がした。
作者にとって、彼らは何か大切なメッセージを人間に伝えるためにやってきた、使いのようなものだったのかもしれない、と感じた。



とくに心奪われたのは、トーベが描く「線」の暖かさだった。
原画を間近で見つめると、その一本一本の線がとても繊細で優しい。
その優しさの奥から、ムーミンたちへの愛と、彼らを介した世界への平和の祈りが伝わってくるようだった。



そして絵だけでなく、そこに飾られた言葉もまた、本当に素敵だった。
そのひとつひとつが、私たち人間にとってすぐ近くにありながらも忘れがちな何かを伝えてくれるようだった。



展示の最後には、言葉のカードの中から好きなものを一枚選べるとのこと。
私が迷わず選んだのは、トゥーティッキのこの言葉。

私たちは生きていると、つい何にでも白黒をつけたがる。
どれが正しくて、どれが間違いか。どちらが優れていて、どちらが劣っているか。
だけど、「正しさ」を見つけようとするそんな心が、いつしかお互いの相違となり、分断を生み、憎しみや争いへと繋がっていく。
本当は、何が正解で何が不正解かなんて、最初から決まってはいない。
街中で派手に転んで流血した私のハプニングも、最悪な災難だったのか、このnoteや思い出を彩る小さなスパイスなのか、その意味なんて実はとてもあいまいなのだ。
そうして私は、血を流しながらも最後にはしっかりとお気に入りのグッズをゲットして、ホクホク顔で帰路についた。
定義せず、ジャッジせず、あいまいであること。
そこにあるグラデーションをそのままにしておくこと。
そんな本当の強さと優しさを、トゥーティッキの言葉があらためて思い出させてくれた気がする。


