4歳児が恋した、まだ飲めないもの。
夏になると、冷蔵庫を開ける回数がぐっと増える。
冷たい麦茶を飲んで、アイスを食べて、保冷剤や氷を出したり。
そんな何気ない夏の毎日に、今年はもう一つ増えたものがある。
「みっつやっさいだぁーー!!」
去年の夏頃、保育園から帰ってきた当時3歳の娘が突然歌い始めた。
「あんまり〜♪ つめたくしないで〜♪」
そう歌いながら胸の前で腕をクロスし、少し困ったような、なんとも言えない表情で私を見つめる。
……かわいい。
かわいすぎる。
歌が終わると、最後は全力で、
「みっつやっさいだぁーー!!」
と決めポーズ。
その勢いに、私も主人も思わず笑ってしまった。
「えっ?三ツ矢サイダー?」
「なんで急に?」
家で飲んだことはないし、教えた覚えもない。
娘は得意げに何度も踊る。
こちらも何回もリクエスト。
気になって調べてみると、この歌はもともと三ツ矢サイダーのラジオCMで使われていた曲だそう。
今では保育園や幼稚園の手遊び歌として親しまれているらしい。
ぜひみなさんにも一度YouTubeで見てほしい。
子どもたちが一生懸命踊る姿は、それだけで笑顔になれる。
そして一度聴くと、不思議なくらい頭から離れない。
親の私たちも気付けばよく口ずさんでいた。
今年の夏前、4歳の誕生日近くのある日、4歳になったらシュワシュワ飲めるかな?
シュワシュワとは炭酸飲料のことだ。
突然長女から言われた。
クラスの友達の中に、すでに飲める子が何人かいるらしい。3歳頃から飲むのかと少し驚いたが、兄弟がいる家庭なんかでは避けられないだろう。
シュワシュワを飲めることイコールかっこいいと思っているようだ。
私はまだ少し早い気がした。
その時はその場しのぎの返事をしてやり過ごした。
次の週末、スーパーの飲み物売り場で
「あっ!!」
「シュワシュワ買って!!」
指差した先には、いろんな飲み物が並んでいた。
少し悩んだが、これも経験だと思い、娘に馴染みのある三ツ矢サイダーを手に取った。
最初に飲むなら三ツ矢サイダーだと
私は勝手に思っていた。
「これがみつやサイダー?」
娘はペットボトルを両手で持ちながら、じーっと見つめる。
それまで娘にとって「三ツ矢サイダー」は歌の最後に出てくるただのワンフレーズだった。
三ツ矢サイダーがシュワシュワの飲み物だということは保育園で教えてもらってたかもしれないが、あまりわかってなかったようだ。
三ツ矢サイダーには三本の矢が描かれていることも教えてみた。
ほんとだ、3つの棒がある〜と納得していた。
しかしそんなことは娘にとってどうでもいい!
気になるのはとにかく中身だ。
帰るなり「飲んでみたい!」
でも相手は炭酸。
まだ4歳には少し早い。
「これはシュワシュワだからね。ちょっとお口の中がびっくりするかもしれない。無理に飲まなくていいからね。」
と前置きをしてから、グラスに三ツ矢サイダーを注いだ。
娘は目をキラキラさせながら、炭酸の泡を眺めていた。初めてのシュワシュワへの期待感、なんとも愛おしい表情を見せてくれた。
待ちに待った一口目!
おそるおそる口に含んだ娘は
「おっいし!」と少し大袈裟に言った。
多分少し強がって無理してる。笑
みんなが飲めるのに自分だけ飲めないのが悔しいのだ。
二口目。さらにびびりながら口にコップを運ぶ。
「なんか口の中がピリッとするね!でもおいしい!」
そのあとはママの前にコップが置かれ、娘はどこかへ行った。
初のシュワシュワ体験。
やっぱりまだうちの娘には少し早かったみたい。
娘が知っている炭酸飲料は、今のところ三ツ矢サイダーだけ。
だから娘の中では、
炭酸=三ツ矢サイダー。
なんともかわいらしい公式が出来上がった。
その夜、娘はお風呂で三ツ矢サイダーの歌を全力で歌って踊っていた。私にはいつもより気合が入っている気がした。
暑い日に飲む炭酸は特別だ。
氷を入れたグラスに注ぐと、細かな泡が一斉に立ち上って、シュワシュワと音を立てる。
あの音を聞くだけで、「夏が来た」と感じる。
今はその爽快さとおいしさだけじゃなく、娘との思い出まで一緒に増えていく。
まだ娘は飲めない。
それでも、歌って、踊って、見つけて、シュワシュワ〜と叫んで。
あと数ヶ月から数年したら飲めるようになるんだろうな。そんな未来を楽しみに待てるのも、家族で過ごす「飲み物のある時間」の醍醐味なのかもしれない。
この投稿企画がとてもいいタイミングで開催されたので、娘の炭酸デビューは私の記憶にしっかり残るだろう。
