見出し画像

かつらで変装、木造船で脱出 ベネズエラ野党指導者マチャド氏、オスロに到着

2025年12月12日 朝刊 国際面

ノーベル平和賞受賞者が命がけの亡命劇 トランプ政権関与の情報も

【オスロ=共同】ベネズエラ野党指導者で2025年ノーベル平和賞受賞者のマリア・コリナ・マチャド氏(58)が11日未明、ノルウェー・オスロに到着した。マドゥロ政権による1年以上の潜伏生活と海外渡航禁止処分をものともせず、かつらで変装し木造漁船でカリブ海を渡るという映画さながらの「秘密作戦」で母国を脱出した。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「トランプ米政権が裏で支援した」と報じており、国際的な波紋が広がっている。

マチャド氏は10日のノーベル平和賞授賞式には間に合わず、長女が代理で受賞スピーチを行ったが、11日未明にプライベートジェットでオスロ入り。ホテルバルコニーで数百人の支持者に応え、家族と約2年ぶりに抱き合った。公の場に姿を見せたのは今年1月以来。

同紙によると、脱出は2カ月以上前から計画された。
8日夜、潜伏先の首都カラカス郊外から支援者2人と車で10時間かけ海岸へ移動。軍・警察の検問所10カ所をかつらと変装で突破した。
9日早朝、荒波の中を木造漁船で出航。カリブ海を約10時間航行し、オランダ領キュラソー島に到着。
その間、米軍戦闘機2機がベネズエラ領空近くで旋回し、政権側の注意をそらす「陽動」を行ったという。

関係者によると、トランプ政権はマチャド氏の船が「麻薬密輸船」と誤認され米軍の空爆対象になるのを防ぐため、出発地点を事前に調整。政権派遣の民間業者がキュラソー島で出迎え、米国本土経由でノルウェーに移送した。

マチャド氏は11日の記者会見で「米国政府から助力を得た」と事実上認め、「ベネズエラはすでにロシアのスパイや国際犯罪組織に侵略されている」と述べ、トランプ政権が進めている対ベネズエラ軍事圧力を容認する姿勢を示した。

マドゥロ政権はマチャド氏の出国を「犯罪人の逃亡」と非難。一方、野党側は「独裁からの解放」と歓迎し、帰国後の大統領選再実施を求める声が高まっている。マチャド氏は「適切な時期に平和賞を祖国へ持ち帰る」と語ったが、帰国すれば即時拘束される可能性が高く、今後の動向は不透明だ。

ベネズエラは昨年7月の大統領選をめぐり混乱が続いており、マチャド氏の脱出劇は同国危機の深刻さと、米国など国際社会の介入が新たな段階に入ったことを象徴する出来事となった。

(了)

いいなと思ったら応援しよう!