空き家問題に「継続対応」だけでいいのか通学路の危険に行政はどう向き合うべきか
先日、郡山市に寄せられた空き家に関する投稿と、それに対する市の回答を確認しました。
投稿の内容は、以前から植物が生い茂っている空き家について、
「この1か月でガラスが破られ、窓も開けられた状態になった」
というものです。
しかも、その場所は小中高生の通学路で、人通りも多い。
投稿者は、火災や防犯上の不安を感じ、
「一度現場を確認していただき、せめていたずらに手を出せないように、市で一定の対策をしていただくことはできませんか」
と求めています。
これは単なる「空き家が汚い」という景観上の問題ではありません。
安全上のリスクが新たに発生していることへの相談です。
市の回答はどうだったのか
郡山市によれば、この空き家については平成28年、つまり2016年に近隣から相談を受け、所有者を調査し、通知を送付するなど継続的に対応してきたとのことです。
また、所有者に管理状況を確認したところ、不動産事業者に売買や解体について相談しており、現在は売却に向けて対応中だとしています。
そして今後も、所有者などの関係者と連絡を取りながら、売却の進行状況や管理状況を確認していくとのことです。
行政が所有者を調査し、連絡を取り、売却に向けた動きを確認している。
この点については、一定の評価はできます。
しかし、私はこの回答だけでは不十分だと思います。
「売却に向けて対応中」と「現在の危険」は別問題
今回の相談者が心配しているのは、空き家がいつ売れるかという問題ではありません。
今、窓が開いている。ガラスが破られている。
そして、そこは子どもたちが通る道です。
売却が決まるまでに数か月かかるかもしれません。
その間、窓が開いたまま、ガラスが割れたままということであれば、住民の不安は解消されません。
行政が確認すべきなのは、
「売却が進んでいるか」
だけではなく、
「売却されるまでの間、この建物を安全な状態に保つにはどうするのか」
ではないでしょうか。
そもそも現地を確認したのか
今回の回答を読んで、私が特に気になったのはここです。
投稿者は、
「一度現場を確認していただきたい」
と明確に求めています。
ところが、市の回答には、今回の投稿を受けて市職員が現地を確認したのかどうかが書かれていません。
2016年から継続して対応していることと、今回発生した新しい危険を確認することは別の話です。
これまで普通に管理されていた空き家であっても、
・ガラスが割られた
・窓が開けられた
・人が出入りできる状態になった
のであれば、状況は変わっています。
だからこそ、まず現場を確認し、危険度を再評価する必要があると思います。
「法律に書いてある」だけでは問題は解決しない
市は回答の中で、「空家等対策の推進に関する特別措置法」第5条を引用しています。
そこでは、空き家の所有者または管理者が、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切な管理に努めることなどが定められています。
法律を根拠として所有者に適切な管理を求めること自体は当然です。
しかし、住民が求めているのは法律の説明ではありません。
「では、市として今回の危険に対して何をするのか」
ということです。
例えば、所有者に対して、破損したガラスの応急措置や窓の閉鎖、侵入防止措置などを求めることはできないのか。
必要であれば、警察や消防など関係機関と情報を共有することはできないのか。
こうした具体的な対応について、市の回答からは見えてきません。
「継続対応」という言葉だけでは不十分
今回の回答には、
「継続対応中」
「今後も継続して対応してまいります」
という表現が出てきます。
しかし、この空き家について最初に相談があったのは2016年です。
つまり、すでに約10年が経過しています。
もちろん、空き家問題は簡単ではありません。
所有者が分からないケース、相続問題を抱えているケース、所有者に資力がないケースなど、行政だけではすぐに解決できない問題もあります。
だからこそ私は、「10年間も何をしていたのか」と単純に批判するつもりはありません。
問題は、
10年近く対応しているにもかかわらず、現在、新たな危険が発生している
ということです。
そのときに、
「継続して対応します」
だけでは、住民からすれば「では、今は何もしてもらえないのか」と感じてしまうのではないでしょうか。
危機管理とは「事故が起きてから」ではない
政治や行政において、私は危機管理というものを非常に重要だと考えています。
事故や犯罪、火災が起きてから、
「このようなことが起きるとは想定していなかった」
では遅いのです。
もちろん、今回の空き家から実際に火災や犯罪が起きると決まっているわけではありません。
しかし、
ガラスが割れて、窓が開いていて、子どもたちの通学路に面している。
こうした状況が確認されたのであれば、
「何か起きる可能性はないか」
と考えるのが危機管理ではないでしょうか。
私は行政には、問題が発生してから対処するだけではなく、危険の芽を見つけた段階で被害を防ぐ姿勢を求めたいと思います。
私なら市に何を確認するか
この件について、行政に確認するのであれば、私は次の点を確認したいと思います。
まず、今回の投稿を受けて、実際に現地確認をしたのか。
次に、ガラスの破損や窓の開放について、所有者に伝えたのか。
そして、侵入防止などの具体的な措置を所有者に求めたのか。
さらに、この場所が小中高生の通学路であることを踏まえ、火災、不法侵入、放火などのリスクをどのように評価しているのか。
そして何より、
「売却されるまでの間、誰が、どのように、この空き家を管理するのか」
を確認する必要があります。
行政の仕事は「対応している」と言うことではない
行政が所有者に連絡している。
不動産事業者との売却の話が進んでいる。
これは大切なことです。
しかし、行政の仕事は「対応しています」と説明することだけではありません。
住民が抱えている具体的な不安を、できるだけ具体的に取り除いていくことが重要です。
今回であれば、
「売却に向けて対応しています」
だけではなく、
「今回の状況を踏まえて現地を確認しました。そして、危険箇所について所有者に○○を求めています」
という回答があれば、住民の受け止め方も大きく違ったのではないでしょうか。
私は政治家の仕事とは、行政をただ批判することではなく、こうした一つ一つの住民の声を拾い上げ、
「本当にこれでいいのか」
と行政に問い続けることだと思っています。
空き家問題は、これから人口減少が進む社会では、ますます身近な問題になります。
だからこそ、「空き家をどうするか」だけではなく、
「空き家によって周辺住民に危険が及ばないよう、行政はどう管理し、どう対応するのか」
という視点から、これからも現場を見ていきたいと思います。

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