コーヒーブレイク②:水上の煙
昔からずっと好きな曲がある。Deep Purpleの「Smoke on the Water」。
ロックを聴き始めた人間なら、誰しも一度はこのリフを聴いたことがあるはずだ。
曲の由来は、1971年、スイス・モントルーのカジノで起きた火災だ。
この夜、会場ではフランク・ザッパ&マザーズ・オブ・インベンションのライブが行われていた。観客の一人が撃った信号拳銃がきっかけで、会場は瞬く間に炎に包まれた。歌詞にもザッパの名前がそのまま登場する。
「水上の煙」というタイトルは、対岸から見た、レマン湖の上に立ち上る煙の景色から生まれたのだという。
自分も若いころ、バンドでこの曲を歌ったことがある。ギターも一生懸命コピーした。イントロのリフを、ようやく自分で弾けるようになった日の高揚感は、今でも覚えている。
あの曲は、自分にとって"青春そのもの"と言ってもいい存在だ。
先日、その曲にまつわる出来事があった。
リッチー・ブラックモアが、実に33年ぶりにディープ・パープルのステージに立ち、「Smoke on the Water」を演奏したのだ。長年にわたる確執を経て、ようやく実現した一夜限りの共演だった。
正直に言えば、演奏そのものは、往年の切れ味とは少し違っていたかもしれない。それでも、80歳を超えたメンバーたちが、再びひとつのステージに立っている――その事実だけで、胸が熱くなった。
火災の煙から生まれた曲が、33年の時を経て、今度は確執の"雪解け"をそっと包み込む煙になった。そんな気がしてならない。
ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。
前回のコーヒーブレイクもよろしかったらご覧ください。
