婚活男性の何気ない休日。ぼーっとSNSを眺めていて気付いたこと
休日の朝。特に予定はない。
起きたのは9時過ぎ。
ベッドから出るでもなく、とりあえずスマホを手に取る。
LINEを確認。
特に何もない。
ニュースを少し読む。
そして、なんとなくXを開く。
これがよくなかった。
気付けば30分くらい経っていた。
普段から婚活関係の投稿を見ているせいなのか、おすすめ欄には婚活中の人が次々と出てくる。
「今日もアポ行ってきます」
「仮交際終了しました」
「マッチングしたのに返信来なくなった」
「いい人だったけど、何か違った」
見ているうちに思った。
(……みんな大変だな)
そして、俺もこの中の一人か〜
と、少し笑ってしまった。
婚活していると、どうしても自分だけが苦戦しているような気分になる。
マッチングしない。
返信が来ない。
会っても続かない。
周りは普通に結婚しているのに、なんで自分だけ。
でもSNSを開けば、同じようなことを書いている人が山ほどいる。
ある男性の投稿。
「昨日まで普通にやり取りしていた女性から突然返信がなくなった」
分かる。
ものすごく分かる。
別の男性。
「初デート楽しかったのに、その後連絡が途絶えた」
これも分かる。
さらに別の男性。
「マッチングしたけど最初のメッセージに返信なし」
……それもある。
いいねを押したくなる。というか押した。
婚活男性同士、謎の連帯感が生まれる瞬間である。
お互い顔も名前も知らない。
でも、「分かるぞ、その気持ち」だけで繋がっている。
そのまま眺めていると、今度は婚活女性の投稿が流れてきた。
「質問してくれない男性との会話が疲れる」
「ずっと自分の話をする人だった」
なるほど……。
「初対面なのに距離感が近すぎた」
なるほどなるほど。
だんだん姿勢が正しくなる。
人の失敗談なのに、自分の答え合わせをしている気分になってきた。
俺、大丈夫だったかな。
質問してるよな。
自分の話ばっかりしてないよな。
距離感……たぶん大丈夫だよな。
急に過去のデートを思い出す。
あの時、余計なこと言ったかもしれない。
あの沈黙、もしかしてそういうことだった?
休日の朝から一人反省会が始まった。
さらにスクロールする。
「こんな男性はやめたほうがいい」
「こんな女性は地雷」
「40代でこれはありえない」
「年収○○万円以下は厳しい」
「奢らない男はナシ」
「○○する女性は結婚向きじゃない」
だんだん疲れてきた。
婚活って、こんなに減点方式だったっけ。
プロフィールを見て減点。
メッセージで減点。
初デートで減点。
服装で減点。
店選びで減点。
会話で減点。
会計で減点。
100点から始まって、お互いに間違い探しをしているようにも見える。
もちろん、譲れない条件は誰にでもある。
違和感を無視する必要もない。
でも全部チェックしていたら、誰も残らないんじゃないか。…俺も含めて。
SNSには失敗談が多い。
「普通に会って、普通に楽しかった」というだけでは、あまり投稿することがないからだと思う。
でも、「とんでもない人が来た」となれば書きたくなる。
そして、そういう投稿ほど目に入る。
だからずっと眺めていると、婚活市場にはヤバい人しかいないんじゃないかと思えてくる。
男性側は、「女性は条件しか見てない」と言う。
女性側は、「男性は若さしか見てない」と言う。
お互いに警戒している。
なんだこれ。
まだ会ってもいないのに、すでに戦いが始まっている。
そんな中、ある投稿が流れてきた。
内容は普通だった。
婚活中の男性が書いている。
「今日は何も予定がないので、一人で昼飯食べてきます」
なんとなくプロフィールを見てみた。
仕事して、休日に婚活して、うまくいったり、落ち込んだり、たまに弱音を吐いたりしている。
なんだ、俺とほとんど同じじゃないか。
そして女性の婚活アカウントもそうだった。
「またうまくいかなかった」
「普通に好きになれる人と出会いたい」
「一緒にご飯食べて笑える人が欲しい」
書いていることは違っても、結局みんな欲しいものは似ているのかもしれない。
SNSを閉じる。
気付けば昼前だった。
休日の午前中を、他人の婚活事情を見るだけで使ってしまった。
でも、一つだけ思った。
婚活をしていると、「男性」「女性」
「年収」
「年齢」
「見た目」
「条件」
そんな言葉で相手を見ることが増える。
でも、そのプロフィールの向こうには普通に生活している人がいる。
仕事で疲れて、返信するのを忘れたり。
会う前に緊張したり。
デートで変なことを言って後悔したり。
返信が来なくて落ち込んだり。
休日にベッドでSNSを眺めていたりする。
たぶん自分とそんなに変わらない。
婚活って条件に合う人を探す作業だと思っていたけれど、本当は「普通に一緒にいられる人を探す作業」なのかもしれない。
……などと少し真面目なことを考えながら、もう一度Xを開いた。
「あと5分だけ」
そう思ってスクロールする。。
気付けば13時。
婚活について一つ学んだ。
そして休日を無駄にする方法についても、また一つ詳しくなった。
