なぜ「楽しいことをしている人」は若いのか——気の巡りと老化の関係
「この人、若いな」と感じる人がいます。肌がきれいとか、シワが少ないとか、そういう見た目だけの話ではありません。表情がよく動く。話していると目が生き生きしている。新しいものに興味を示す。よく出かける。そして何より、「次はこれをやりたい」という話が出てくる。
反対に、実年齢は若くても、なんとなく老け込んで見えることがあります。この違いを中医学から考えると、ひとつ面白いキーワードがあります。それが「気が動いているか」です。
もちろん、楽しく暮らせば老化しない、という単純な話ではありません。老化には遺伝、病気、睡眠、運動、食生活など多くの要因が関係します。ただ、「楽しみを持つ」「人と関わる」「新しいことに興味を持つ」といった行動が、健康や認知機能と関連することは現代医学でも研究されています。そしてこれを中医学の言葉で眺めてみると、昔から言われてきた「気を巡らせる」という考え方と重なる部分があります。
老化は「減る」だけではなく「滞る」
中医学で老化を考えるとき、まず重要になるのが「腎」です。
腎には、生まれ持った生命力の土台である「精」が蓄えられていると考えます。年齢とともに腎精が少しずつ衰えていく。白髪、足腰の弱り、耳の衰え、生殖機能の低下など、加齢による変化を説明するときには欠かせない考え方です。
ただ、老化を「腎精が減ること」だけで考えると、少し足りません。なぜなら同じ70歳でも、ずいぶん違うからです。旅行の予定を立てている人もいれば、「もう歳だから」と何もしたくなくなる人もいる。新しいものを楽しそうに触っている人もいれば、変化そのものを避ける人もいる。
ここには「減る」という老化だけでなく、「滞る」という変化も関係しているのではないかと思います。中医学では、気が滞れば血や津液も動きにくくなり、気滞から瘀血や痰湿なども生じやすくなると考えます。つまり老化への養生は、何かを「補う」ことばかりではありません。今あるものを、ちゃんと動かすことも大切です。
「喜ぶこと」は気を動かす
『黄帝内経素問』には「怒則気上、喜則気緩、悲則気消、恐則気下……」とあり、さらに「喜則気和志達、栄衛通利、故気緩矣」と説明されています。簡単にいえば、適度な喜びによって気が調和し、気持ちがのびやかになり、営衛も通じやすくなるという考えです。
もちろん、中医学では喜びも度を越せば身体を乱すと考えるので、「楽しいほど健康になる」という単純な話ではありません。それでも、適度な喜びや楽しさによって心身の緊張がほどけていく、という見方は面白いと思います。
現代人は「健康のために何を食べるか」にはかなり熱心です。でも、「何を楽しみにしているか」「誰と笑っているか」「何に夢中になっているか」は、健康法としてあまり語られません。でも実は、こちらもかなり大切なのかもしれません。
現代医学でも「楽しみ」と健康の関係が研究されている
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