コンテンツの「ツ」の正体を探る
「コンテンツ(content/contents)」という言葉。
普段何気なく使っていますが、英語にしようとすると少し迷いませんか?
「内容」という意味のこの単語、実は単数か複数かで、その背後にある「視点」がガラリと変わるのです。
1. "t" で終わるか、"ts" で終わるか
面白いことに、日本語の「コンテンツ」という響きでは、末尾の「ツ」を「t」と捉えても「ts」と捉えても成立してしまいます。
しかし、英語の世界では明確な線引きがあります。
結論から言うと、
電子的な情報を指すなら:content(単数・不可算)
物理的な中身を指すなら:contents(複数)
というのが、多くの辞書(英辞郎 on the WEBなど)の指針です。
2. 「サイト」と「メール」の境界線
ここで興味深いのが、「電子メール」という存在です。
Webサイトの内容であれば、デジタルな情報の集合体として "content of the website" と単数で使うのが自然です。
では、メールはどうでしょう?
「メールの中身」というとき、私たちは「メールソフトという箱に入った情報の束」を想像するのか、それとも「メールに書かれたメッセージという情報そのもの」を想像するのか。
contents of the email: サーバー上のメールボックスという「箱」に入っているデータ(添付ファイルや本文の塊)を物理的にイメージする場合。
content of the email: そのメールが伝えている「情報の内容」そのものに焦点を当てる場合。
日本語の「中味」と「中身」がどちらも正解であるように、英語もまた、どのレイヤーに焦点を合わせるかで選択肢が変わるのです。

3. 「名詞」に頼らないという逃げ道
とはいえ、実務の現場では「どっちを使えばいいんだ?」と頭を抱えることは少なくありません。そんなとき、プロの翻訳者はあえて「中味(content)」という言葉自体を使わないというテクニックを使います。
The email says... (メールには〜と書いてある)
The information in the email... (メール内の情報)
The details of the email... (メールの詳細)
無理に「コンテンツ」という言葉に収めようとせず、事実関係を動詞で語る。これもまた、言葉の「中身」を大切にする一つのアプローチかもしれません。
皆さんは、「電子メールの中味」と表現するとき、頭の中でどんな風景を思い浮かべていますか?

