通院日記074_地域病院_通院67日目 早朝から、妻が残尿感があると訴える。 時計を見ると4時半。カテーテル・・・
20250526(月) 地域病院 通院67日目
付き添いの28日目。
早朝から、妻が残尿感があると訴える。
時計を見ると4時半。
カテーテルを見てみると、昨夜尿処理をしてもらってから流れていないようで、管内が乾いているような状態だ。
ナースコールを押す。
3日ほど前から妻は、尿カテーテルを抜けないかと話していた。
歩けるようになってきて、できるだけ煩わしいものは、取っていきたいと考えている。
手隙の看護師がやってきて、シリンジで吸引する。
引けない。
その後しばらく待って、超音波検査機で、尿が溜まっているか確認していく。
溜まっている。
妻が聞く。
「もう動けると思うので、抜いてもらえませんか?」
「それはちょっと判断できないですね。先生はいませんし。」
今日のチーフと、相談して決めると言って出ていく。
次に、夜勤の担当の看護師がやってきた。
「もう一回引っ張ってみますね。それでだめだったら、抜いちゃいます。」
かなりきつく、シリンジを引いていたように思う。
先ほどの時には、空気が入ってきたけれど、挿入口から入ったのかもしれない。
今回はシリンジが引けない。しばらく繰り返す。
「あ、出てきましたね。」
のぞき込むと、チョロリという感じで出てきていた。
さらに引っ張ると、少しずつ尿が出てきた。
結構力を入れている。
紙コップを取ってきて、それに引っ張った尿を入れていく。
繰り返し引いて、合計400ml弱。
昨晩、深夜からの尿の量だ。
「たぶん、詰まっていたんだと思います。ちょっと、浮遊物が出てきていたので。」
それからは、これまで通り、ちょろちょろと流れだした。
「付けたのが結構前ですからね。詰まっていたんですね。」
取り付けた日付には、4月27日とメモが書かれている。
1か月弱だ。
採血を行う。
血圧が低いので、2本目がなかなか一杯にならなかった。
妻は、もう体が動けるようになって、こうするつもりの行動を頭に描き始めている。
おむつじゃなくて、紙パンツのようなものなら、動きやすいかも。
抗生剤がストップしているので、この状況なら退院があるのかも。
家に帰ったら、ゆっくり味見ができそうだ・・・等々。
回診がやってきたときに、尿カテーテルを抜くことについて聞く。
「トイレに行くときは、家族が付き添いますので。」
きりっと、宣言する。
これで僕は、夜中に2回は起きることが確定する。
けれど、妻のサポートに徹するのだから問題はない。
昼寝をすればいいだけだ。
「そうですね。もう取ってもいいかもしれませんね。」
そういって何かメモを取っていた。
日勤の看護師が、挨拶に来る。
「これを取ってもいいって聞いたんですが、先生からオーダーがまだ入っていないんですね。確認してるんですけど。」
尿カテーテルを取った後に、尿が出なくなることがあるらしく、その場合は再び入れなければならないという。
だから、早めに抜きたいとのことだ。
「出なくなるって、そんなことがあるのかな。」
妻の心配はもっともだ。
排泄機能が、麻痺してしまって出せない。
そんな心配を口にする。
リハビリの看護師がやってくる。
直後に、体拭きを頼まれた、隣の病棟の看護師がやってくる。
今日の日勤は男性なので、同期の女性看護師に頼んだようだ。
結局、リハビリが優先される。
となりの病棟でも、暗黙の了解のようだ。
やはり、力関係を感じる。
今日、妻は病棟を2周回した。2周目は逆回り。僕もついて行った。2周目が終わっても膝がガクガク来るようなことはなく、足取りも軽い感じだった。けれど筋肉は落ちているので、すぐにバンビになりそうではある。
歩きがてらの看護師の話で、IPS細胞が一般化してくると、自分たちの仕事がなくなるかもしれないというのがあった。脳梗塞などで、必要なリハビリがなくなるということらしい。
病室に戻ってから妻と話す。
「どういうことかしらね。」
「壊れてしまった神経細胞なんかを、IPS細胞を使って治療的に修復できる、ってことかな・・・」
医療技術の進歩は日進月歩。
癌の治療も昔と違うと、2人で話す。
リハビリの後、腸カテーテルから50ml程液体が出てくる。
実に久しぶりのことだ。
リハビリと重なってしまった体拭きは、もう来ないだろうと妻はいう。
やって来てくれたのは、B棟の看護師。
以前はA棟にいて、妻の担当をよくしてくれた方。
忙しくて手がまわらないのだろうと話す。
体拭きを僕が行い、着替えは日勤の看護師がやってきたタイミングで、カテーテルの付け替えをやってもらった。
尿カテーテルを抜くということで、日勤の看護師がまたやってきた。
医師に確認してくれたようだ。
「僕がやっちゃってもいいですか?」
若い男性の看護師なので、妻に気を使ってくれている。
「大丈夫です。ただの病人なので。」
簡単に抜けるという。
もう半分抜けているような状態で、チューブを取りまとめるついでに、するっと抜けてしまった。
「私がいじり回していたからかな。」
かなり気になっていたらしく、ここ2日ばかりは確かにいじり回していた。
ちなみに、男性の場合は引き出すのは、もっと大変らしい。
あまり入れてもらいたくない。
緩和ケアの担当医師がやって来る。痛み止めの様子について聞いていく。ここ2日ばかりはレスキューも1回しかしておらず、追加の痛み止めも求めていない。よいことです、といって戻っていく。
「治療に戻れそうっていった時に、おやって顔してたよね?」
妻が僕に聞く。
僕はよく分からなかった。というかもやもやしていた。
「そうだったかな。」
尿カテーテルが取れて、早速試行錯誤。
おむつ代わりのショーツを選び、パッドを選ぶ。
本人が行けないので、妻の注文が出る度に院内の介護ショップへ。
落ち着いたのは、Lサイズの尿取りショーツと200ccのパッドになった。
Lサイズのショーツを追加で3つ注文しておく。
ぶかぶかしていた方が、圧迫感がなくていいらしい。
下着とパッドが決まると、すぐにトイレに行くという。
最初のトイレは看護師と一緒に、と聞いていたのでナースコールを押して、看護師を呼ぶ。
機器の電源の外し方をおさらいし、バイタルのセンサーは、ジャックのところから抜いておく。
トイレの入り口まで付き添う。
尿の量の計測も復活することになる。
今回は50cc。
トイレから戻って、ベッドに妻が横たわり、コンセントやジャックを接続して終了。
そのうち点滴機器の配線に慣れてくるだろう。
ファイナル・テーブルを見ていたら、途中でレントゲンの呼び出しがかかった。ベッドでの移動となって、看護師を手伝う。
僕は再び部屋の床掃除。
一昨日くらいに拭いたと思ったけれど、また汚れがひどくなっている。
注意しているつもりでも、食事や飲み物なども落ちていた。
今日の昼食
とんかつ弁当、キャベツの千切り、生姜焼き
とんかつは妻が味見する。おにぎりの残りも妻が。とにかく食欲がすごい。パックに入った生姜焼きを千切りキャベツと一緒に食べる。最近のパック入りの総菜は、そのままで温めやすく食べやすい。生姜焼きは少々味が薄いと感じる。
食後に妻が、暇だとこぼす。
それほどに、今日は調子がいい。
塗り絵はしたくないらしい。
もし食べられるようになったら、もし歩けるようになったら・・・。
そんな話を2人でする。
「普通の生活に戻りたい。今までそういうのをありがたく思っていなかったけど、今ならそれがわかるから。」
義姉の作った餃子、僕の作るハンバーグ、近所にあるラーメン・・・。
「ウナギは、あっても別にいいけど。」
高級なものより、いつでも食べられるようなものがいいという。
「モスでもいいよ。」
そして、涙ぐんでしまう。
「そんな風に戻りたい。」
僕も同意する。
「そこを目指して行こうよ。」
妻がうなづく。
看護師がまた2人でやって来て、腸カテーテルの吸引器を取り外すという。医師からのオーダーが出ているという。
2人で顔を見合わせてしまった。
確かに抜きたいといったのはこちらで、それを抜けると判断してくれるのはいい。けれど、さっきからまたポンプがせっせと、腸液を排出していたところだった。
とはいえ、看護師としてはオーダーが入ると、それをする必要がある。
「たまったような感じがしたら、いつでもシリンジで抜けますので。」
ということで、鼻から20cmくらいのところで繋がっていたポンプは、チューブのところから取り外されてしまった。尿カテーテルも抜いているので、後はブリッジに繋がっている点滴類だけになった。
かなり身軽になったといえる。これで痛みを緩和する麻薬を、錠剤なんかにできれば、以前の状況―エルネオパNF2号のみ―に戻ることになる。そうなれば、体調次第だけれど、散歩に出かけることも夢ではない。
夕方の回診時に妻が聞く。
今日は担当医師はいないようだ。
「鼻のこれなんですけど、ポンプを外してもらったんですけど、リハビリのあとから腸液が出てきていて、ちょっと心配なんですけど。」
「(胃から大腸まで)繋がってはいるので、流れていくと思います。」
ということだ。
僕と2人でいる時に、トイレに行っておきたいという。
手順の確認と練習だ。
特に問題なく済ませることができた。
義姉が来る。
妻のぶかぶかのショーツを見て、使い捨ての紙パンツがあるからと、ファミマへ買いに行く。Mサイズはお腹が圧迫されて気になるようで、ショーツを再びはく。Lサイズの給水機能のあるもので、その中に容量200ccまでのパッドを入れている。肌色のものなので、いかにもという感じ。
様子を見て、変えていこうということになる。
「なんかお腹に腹水が出ちゃってるみたいで、締め付けられると気になるから。」
再びトイレに行く。
今度は義姉に説明して、2人でできるかの確認。
特に問題なく終わるけれど、便座に座った時に安定しなくなると妻がいう。貧血で倒れた時も、便座の上でのことだったので、次からは僕もトイレに入って付き添おうと思う。それからベッドからの移動で歩く時も、サポートを欲しがっていたので、そうする必要がありそうだ。
家に戻る。
近所のパティスリーでフィナンシェを3つ、ケーキを2つ買って帰る。
シャワー、夕食、洗濯を済ませて寝転がってアニメを見る。
あまり集中できない。
治療に戻るのかどうなるのか。
妻のがんが、進行しているイメージが頭から離れない。
数回寝落ちする。
回を重ねるにしたがって、アニメは面白さが上がって、結局最終話まで見てしまった。
その後、なかなか眠りにつくことができなかった。
寝ておかないとと思うのに、悲しい気持ちが僕を圧し潰してくる。
治療に戻れるなら1秒でも早くしてほしい。
暗闇で、誰も聞くことがない独り言をつぶやいている。
目が腫れて重く痛い。
