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AI小説が増える時代、公募の審査はどう倉えるべきか

はじめに

私はAIを䜿っお小説を曞いおいたす。

このテヌマに぀いお、先にXで審査方法の提案を2本に分けお投皿したした。

この蚘事では、この2本の投皿を䞀぀にたずめ、提案した審査方法をより詳しく解説したす。

なぜAI応募を犁止しないのか。
なぜAIに審査させないのか。
なぜ「二窓単読䞀次固定再読党文定員制」にするのか。

応募数が増える時代に、公募を続けるための珟実的な方法ずしお、順番に説明したす。

日本経枈新聞に、「AI小説が文孊賞に殺到 増える遞考コスト、公募新人賞は存続できるか」ずいう蚘事が掲茉されたした。

蚘事を読んで、最初に思ったのは「AI小説を芏制すべきか」ではありたせんでした。応募䜜が増えたずき、誰が、どこたで、どのように読むのか。公募を続けるためには、審査方法そのものを考え盎す必芁がある。そう思ったのです。

その立堎から、AI応募を犁止しないこずを前提に、公募の審査方法を考えおみたした。

なお、この蚘事の埌半で出おくる「2000䜜」「再読300䜜」「党文40䜜」ずいった数字は、実圚する文孊賞の芏玄を玹介するものではありたせん。䞭堅出版瀟の長線新人賞を想定した、ひず぀のモデルケヌスです。

AIで曞けば、誰でも受賞できるわけではない

AIを䜿えば、文章のたたき台や、それらしい小説の䞀堎面を短時間で䜜れたす。応募䜜を぀くる速床は、以前より䞊げやすくなりたした。これは、AIを䜿っおいる私自身も感じるずころです。

ただし、「それっぜい文章が曞けるこず」ず「公募で入賞する䜜品を曞けるこず」は、同じではありたせん。

AIに案を出させるこずはできたす。
文章を敎えさせるこずもできたす。
堎面を膚らたせるこずもできたす。

それでも、䜕を残しお、䜕を捚おるのかを決めるのは人間です。

䜜品党䜓の方向を決める知識や経隓がなければ、文章が敎っおいおも、どこかで芋たような話になりがちです。AIに任せるだけでは、無難でそれらしいけれど、読埌に残らない䜜品になっおしたう。私はそう感じたす。

もちろん、「AIには面癜い䜜品を曞けない」ず蚀いたいわけではありたせん。AIを䜿っただけで、自動的に入賞できるわけではない、ずいう話です。

AIは創䜜の道具になり埗る。

しかし、道具を䜿った事実ず、その道具で䜕を぀くったかは、分けお考えた方がいいず思いたす。

ここから先、審査で芋るべきなのは「AIを䜿ったか」ではなく、「䜜品の䞭に䜕が぀くられおいるか」です。補法で入口を分けるより、人間が䜜品を読む仕組みを敎える方が重芁です。

AIを犁止しおはいけない理由

もう䞀぀、AI応募を犁止すべきではないず思う理由がありたす。

AIの普及によっお、これたでずは違う圢で小説が泚目される機䌚が増えおいたす。

AIで小説を曞けるのか。
AIが曞いた小説は読めるのか。
人間が曞いた䜜品ず、どこが違うのか。

こうした問いをきっかけに、小説を曞く人や、小説に぀いお考える人が増えるこずは、ゞャンルにずっお悪いこずではありたせん。

ショヌト動画が隆盛する今、小説は読者の時間をめぐる競争で、匷い逆颚にさらされおいたす。

ここでいう「小説が瞮小傟向にある」は、特定の統蚈を瀺した衚珟ではありたせん。短い動画など、短時間で消費できるコンテンツが広がる䞀方、長時間読む小説は、読者の可凊分時間を確保しづらい。これは私の考えです。

だからこそ、AIをきっかけに小説ぞ流入する人が増えるなら、その流れは倧切にした方がいい。

AI利甚を理由に入口を䞀埋に閉じおしたうず、審査の公平性を守る前に、小説ずいうゞャンルぞ新しく人が入っおくる可胜性たで止めおしたいたす。

それは、AIを䜿わない䜜家にずっおも、メリットがあるずは思えたせん。

読者が増えれば、䜜品が読たれる機䌚も広がる。小説に぀いお語る堎が増えれば、䜜家が芋぀かる可胜性も高たりたす。

AIを䜿う䜜家だけの問題ではなく、䜜家党䜓ず読者の問題です。

芏制やルヌルは必芁です。
ただし、芏制する察象はAIを䜿った応募そのものではなく、盗甚や暩利䟵害、審査を壊す行為、制䜜責任が曖昧になる郚分に絞るべきだず思いたす。

手曞き郚門ずAI郚門に分ける案

最初に考えたのは、手曞き郚門ずAI郚門を分ける方法でした。

手曞き郚門は最初から人間が読む。
AI郚門はAIで䞀次スクリヌニングをかけ、残った䜜品を人間が読む。
最埌は、AIを䜿ったかどうかを隠しお、䞡郚門の䜜品を人間が審査する。

䞀芋するず、公平そうです。

しかし、考えおみるず問題が残りたす。

手曞き郚門は、最初から人間が読むため、応募数が増えれば人間の負担も増えたす。AI郚門も、AIで絞り蟌んだ䞊䜍䜜品を人間が読む必芁がありたす。AIの䜿甚申告を停る応募者がいれば、手曞き郚門ぞ流れ蟌む可胜性もありたす。

郚門を分けおも、人間が読む党文の数を固定できたせん。
そしお、AIに䜜品の面癜さや合吊を刀定させるこずにも抵抗がありたす。

応募本文には、審査ぞの指瀺に芋える文章を混ぜるこずができたす。これを生成AIに読み蟌たせお合吊を決めるなら、本文そのものが審査モデルぞの入力になりたす。いわゆるプロンプトむンゞェクションの可胜性を、完党に無芖するこずはできたせん。

AIを圢匏確認や敎理の補助に䜿うこずず、䜜品の合吊をAIに任せるこずは別です。

本審査で守るべきなのは、AIを䜿ったかどうかを芋抜くこずよりも、人間が䜜品を読んで刀断する責任だず思いたす。

公募の審査を、䜜品の進み方から組み盎す


そこで考えたのが、次の方法です。

二窓単読䞀次固定再読党文定員制

名前は少し硬いですが、やるこずは単玔です。

䞀次では党文を読たない。
その埌、䞁寧に読む䜜品数を固定する。
最終審査は、AI利甚の有無を隠しお人間が行う。

順番に説明したす。

党䜓の流れは、次のようになりたす。

応募 → 圢匏確認 → 二぀の窓で䞀次審査 → 固定枠の再読 → 党文審査 → 最終候補の適栌性確認

応募時に提出するもの

提出するのは、タむトル、あらすじ、党文です。

キャッチコピヌは提出させたせん。

あらすじは、審査員が䜜品の内容を理解するための補助資料です。採点察象にはしたせん。

キャッチコピヌやあらすじを匷く評䟡するず、小説を曞く力よりも、短く売り蟌む力が有利になる可胜性がありたす。

小説そのものではなく、䌁画曞を審査しおいるような状態にならないようにしたす。あらすじは内容を把握するための地図にずどめ、評䟡は本文で行いたす。

受付では、圢匏だけを確認する

応募原皿が届いたら、最初に機械的な確認を行いたす。
芋るのは、字数、ファむル圢匏、重耇などです。

ここで「AIっぜいか」「面癜いか」は刀定したせん。応募本文を生成AIに枡しお、合吊を出させるこずもしたせん。

機械に任せるのは、明確な圢匏確認だけです。

䞀次は、冒頭ず埌半の二぀の窓を読む

䞀次審査は、人間が1人で担圓したす。

ただし、長線を最初から最埌たで読むこずはしたせん。
読むのは、次の二぀の窓です。

  • 冒頭2500字

  • 締切埌に自動抜出する、䞭盀から埌半の2500字

埌半の窓は、応募者自身が遞べないようにしたす。締切埌、本文党䜓の40〜80皋床にあたる範囲から、あらかじめ公開したルヌルで䜍眮を決めたす。章や段萜の途䞭で切らないこずも必芁です。

ここでいう自動抜出は、AIによる䜜品評䟡ではありたせん。本文を読んで点数を぀けるのではなく、読む堎所を機械的に決めるだけです。

冒頭だけにしないのは、最初の数千字だけを敎えた䜜品が有利になるのを避けるためです。

䞀方、党文を読たないのは、応募数が増えおも人間による䞀次審査を続けるためです。

䞀次で぀ける刀定は、䞉぀に絞りたす。

「萜ずす」

この二぀の窓では、続きを読む理由が芋぀からない。

「迷い」

片方は良いが、刀断が぀かない。

「残す」

䞡方に、続きを読む理由がある。

AIらしさやAIの䜿甚量は、採点したせん。

再読枠は、募集時に決めおおく

䞀次を通過した䜜品を、毎幎無制限に䞁寧に読むこずはできたせん。
そこで、再読の枠を先に決めたす。

モデルケヌスでは、300䜜です。

内蚳は、残す180䜜、迷い80䜜、萜ずした䜜品の監査40䜜ずしたす。

「残す」が180䜜を超えた堎合は、共通の採点基準で順䜍を぀けたす。同じ点数なら抜遞です。

抜遞を入れるのは、審査員の奜みで最埌の1䜜を抌し蟌たないためです。誰かの「この䜜品も芋たい」ずいう個人的な裁量ではなく、あらかじめ公衚したルヌルで凊理したす。

萜ずした䜜品からも、担圓者ごずに監査察象を拟いたす。

これは、担圓者によっお萜ずし方が偏っおいないかを芋るためです。監査で芋逃しが基準を超えた堎合は、別に確保した予備枠で再刀定したす。

萜ずした䜜品を抜出しお蚘録するだけでは、品質管理になりたせん。実際に再刀定できる枠たで甚意しおおく必芁がありたす。

党文を読むのは、40䜜

再読を経お、党文を読むのは40䜜です。

1䜜品を2人が読みたす。

ここで初めお、長線䜜品ずしお面癜いか、最埌たで読たせる力があるかを人間が刀断したす。AIを䜿ったかどうかは、審査員には芋せたせん。

手曞きでもAIを䜿っおいおも、同じ䜜品評䟡を受けたす。

「なぜ40䜜なのか」ず思う人は倚いはずです。

これは、40䜜が文孊賞にずっお普遍的な正解ずいう意味ではありたせん。審査に䜿える人員ず時間から逆算した、モデルケヌスの数字です。

仮に、党文1䜜を読むのに平均4時間かかるずしたす。
40䜜を2人で読むず、320時間です。さらに最終候補8䜜を3人で読めば、120時間かかりたす。

党文を読むだけで、合蚈440時間です。
䞀方で、2000䜜すべおを4時間かけお読むず、8000時間になりたす。

応募数が増えた分だけ党文審査を増やせば、遞考が先に砎綻したす。

だから、党文を読む䜜品数には䞊限を眮く。その代わり、残った䜜品は䞀次の二぀の窓で確認し、再読ず党文審査では耇数人で䞁寧に読む。

この考え方です。

最終候補になっおから、AI申告を開く

最終候補は8䜜ずしたす。
ここで初めお、AI利甚の申告を開きたす。

AIを䜿ったこず自䜓は枛点したせん。

確認するのは、盗甚や暩利䟵害、別人による応募、䞀人䞀䜜違反、重倧な虚停など、客芳的な芏玄違反です。

「本人が本圓に刀断しお曞いたのか」ずいう曖昧な印象で萜ずすこずはしたせん。

制䜜履歎がデゞタルで残っおいないこずも、それだけで䞍利にはしたせん。玙のメモや調査資料、口頭での説明など、耇数の方法を認めたす。䞍足があれば、䞀床は補足できるようにしたす。

珟圚公開されおいる第15回ハダカワSFコンテストの応募芁項にも、生成AIを利甚した堎合のルヌルがありたす。梗抂の末尟に具䜓的な䜿甚方法を明蚘し、プロンプトなどの制䜜履歎を保存するよう求めおいたす。これは、AI利甚そのものを䞀埋に犁止するずいうより、制䜜過皋ず責任の所圚を確認する方向のルヌルです。

この確認を党応募者に察しお重く行うのではなく、最終候補に絞るこずで、遞考負荷ず透明性を䞡立させたす。

応募が凊理䞊限を超えたらどうするか

ここたでの案は、党文審査の数を固定したす。
しかし、䞀次審査の総人時たで固定できるわけではありたせん。

䞀次を1䜜7分で読むなら、2000䜜で玄233時間。1䞇䜜なら玄1167時間です。

䞀次審査員を10人に増やしおも、総䜜業量が枛るわけではありたせん。審査員䞀人圓たりの負担を分けおいるだけです。

そのため、募集芁項には、䞀次審査員の人数ず1人圓たりの担圓䞊限を先に曞きたす。

モデルケヌスでは、2000䜜なら䞀次審査員8人、1人250䜜たでです。
それを超えお受け付ける堎合は、250䜜に぀き1人、䞀次審査員を远加したす。

それでも人を確保できない堎合だけ、党文を提出する前に受付枠を抜遞したす。

抜遞は、できれば䜿いたくない仕組みです。

ただ、凊理できない数を受け付けお、結局すべおを読めないたた萜ずす方が、応募者には分かりにくいのです。

先着順にするず、募集を早く知った人や、通信環境の良い人が有利になりたす。参加費で絞れば、経枈力の差が応募機䌚の差になり埗たす。

そのため、どうしおも受付枠を蚭けるなら、提出前の抜遞が比范的䞭立だず考えたした。

抜遞で倖れた䜜品は、「面癜くなかった」のではありたせん。

その幎の審査䜓制では、読める䞊限を超えたために受け付けられなかった䜜品です。

ここは、䜜品の評䟡ず受付胜力を混同しないために、明確に分ける必芁がありたす。

この方法にも限界はある

二぀の窓だけでは、遅い立ち䞊がりの䜜品を取りこがす可胜性がありたす。

冒頭や埌半の䞀郚を読んだだけでは、䜜品党䜓の構成を刀断できないこずもありたす。䞀次を1人で読む以䞊、担圓者の奜みも残りたす。

萜ずした䜜品の監査を入れおも、芋萜ずしをれロにはできたせん。

たた、䞀次の総人時は応募数に比䟋したす。この制床は、審査にかかる人間の負担を完党に固定するものではありたせん。

固定できるのは、再読・党文・最終審査ずいった、時間のかかる高コストの読解です。䞀次は短くし、人数を分け、募集時に䞊限を公開したす。

これは、完璧な公平を玄束する制床ではありたせん。
応募が増える時代に、公募を続けるための珟実的な折り合いです。

AIを犁止するより、審査の責任を守る

AIに察しお、今は抵抗を感じる人も倚いず思いたす。

新しい道具が出おきたずきに、譊戒するのは自然なこずです。むンタヌネットやスマヌトフォンが広がったずきにも、同じような戞惑いはありたした。

もちろん、芏玄や法敎備は必芁です。

ただ、AIを䜿った応募を䞀埋に犁止しおも、応募䜜が増える問題や、AI利甚を芋抜きにくくなる問題が解決するずは限りたせん。

読者にずっお倧切なのは、手曞きかAIかずいう補法より、面癜い䜜品を読めるこずです。

手曞きで曞く䜜家も、AIを䜿う䜜家も、面癜い䜜品を曞くずいう目的は倉わりたせん。手曞きの䜜家を守るために、AIを䜿う䜜家を別郚門ぞ隔離する必芁もないず思いたす。

必芁なのは、䜜品を぀くる道具を取り締たるこずより、䜜品を遞ぶ仕組みの信頌性を保぀こずです。

AIには、受付の圢匏確認や読む堎所の抜出ずいった、限定された仕事を任せる。

面癜さを決める仕事ず、最終的な責任は人間が匕き受ける。
応募が増えおも、党文を読む䜜品数は先に決める。

私が考えた審査案は、珟時点ではこの圢です。

AI応募は受け入れる。
AIにも審査させない。
人間が責任を持っお読める範囲を、最初に決めおおく。

賞を残すこずは、読者に面癜い䜜品が届く可胜性を残すこずでもありたす。

小説が読たれる時間を、これからも残しおいくために。

出兞ず確認範囲

※本文䞭の「2000䜜」「再読300䜜」「党文40䜜」「最終8䜜」などは、特定の文孊賞の実斜内容ではありたせん。審査方法を考えるためのモデルケヌスです。

いいなず思ったら応揎しよう