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落ち着く方法は分かっているのに使えない?感情調整の前に育てたい気づく力 | ADHD | 大人のADHD | 発達障害 | 発達特性 | 特性 | 不注意 | 衝動性 | 多動

こんにちは、春乃ひかりです。
「深呼吸すればいいって知っているのに、癇癪のときはできない」
「休憩カードを持っているのに、限界になるまで使わない」
「お腹がすいた、疲れた、トイレに行きたい……に気づくのが遅い」

そんな姿を見て、「わかっているはずなのに、どうしてできないの?」と思ったことはありませんか?

我が家の次男は急に「トイレに行きたい」とよく言っていたので「なんでもう少し早く言わないのか」と思っていました。
でも子供だしこんなものなのかな?と思いつつも、間に合わなかった事も何度かあります。

最近は宿題をいざする時になってから「疲れた。休憩したい」休憩し終わったら「お腹すいた」とどんどん宿題が後回しになっていき、「一体いつするの?」と思う事もあります。
ここまでは譲れないという線引きをしたり、朝起きてやらせたりこちらの対処はさまざまです。

ADHDの子どもは、落ち着く方法を言葉では説明できることがあります。
息子達は2人とも通級に通っているため、自分が困った事の対処法は本当によく知っています。
でも、実際に感情が高ぶった場面、授業中、宿題中、友だちとのトラブルの場面では、その方法を使えないことがあります。

今回紹介する海外の作業療法では、ADHDの自己調整支援で「何をすればよいか」を教える前に、「今、自分の体や心に何が起きているかに気づく力」が大切だと説明されています。
これをインターセプション、つまり内受容感覚と呼びます。

1.感情調整は「気づくこと」から始まる

子どもに、
「イライラしたら深呼吸しよう」
「疲れたら休憩しよう」
「困ったら先生に言おう」

と教えることは大切です。

でも、その前に必要なステップがあります。

それは、子ども自身が
「今、イライラが始まっている」
「体が疲れてきた」
「お腹がすいて集中できない」
「トイレに行きたい」
「音がつらくなってきた」

と気づくことです。

海外のとある研究では、自己調整は戦略から始まるのではなく、まず気づくことから始まると説明されています。
自分の体のサインを検出できなければ、どんなに良い落ち着き方を知っていても、使うタイミングを逃してしまうのです。

つまり、「できない」のではなく、「気づいたときにはもう限界」なのかもしれません。

2.内受容感覚とは何か

内受容感覚とは、体の内側のサインに気づく力です。

お腹がすいた。
のどが渇いた。
暑い、寒い。
疲れた。
眠い。
トイレに行きたい。
胸がドキドキする。
胃が重い。
体に力が入っている。

こうした体の情報を受け取る力が、内受容感覚です。

この力は、感情にも深く関係しています。
たとえば、「怒り」は、顔が熱くなる、手に力が入る、心拍が速くなる、声が大きくなる、といった体の変化として表れます。
「不安」は、お腹が痛くなる、胸が苦しくなる、そわそわする、息が浅くなる、という形で出ることがあります。

体のサインに気づけると、感情が大きくなる前に対処しやすくなります。

でも、ADHDの子どもでは、このサインが遅れて届いたり、弱く感じられたり、別の意味に受け取られたりすることがあります。海外でもADHDの子どもは体内のサインが遅い、弱い、混乱している、または極端になるまで気づきにくい場合があると説明されています。

3.学校や家庭で見えやすいサイン

① 「急に爆発した」ように見える

保護者や先生から見ると、子どもが急に怒ったように見えることがあります。

さっきまで普通だったのに、急に泣く。
急に怒る。
急に机に伏せる。
急に「もう無理」と言う。

でも、本人の中では、少しずつ疲れや空腹、不安、感覚刺激がたまっていたのかもしれません。

ただ、そのサインに気づけなかった。
あるいは、気づいたときにはもう赤信号だった。

だから、深呼吸や休憩カードを使う余裕が残っていなかったのです。

② 空腹や疲れに気づくのが遅い

ADHDの子どもには、遊びや好きなことに集中している間、空腹やトイレ、暑さ寒さに気づきにくい子がいます。

「さっきトイレ行かないって言ったのに、急に限界」
「お腹すいてないと言っていたのに、夕方に大爆発」
「暑いのに上着を着たまま」
「疲れているのに止まれない」

記事でも、ADHDの子どもが身体のニーズに気づくのが遅れ、空腹が突然のイライラとして表れたり、トイレのサインに気づくのが遅れたりする例が紹介されています。

これは、わざとではありません
体からのメッセージを受け取るタイミングがずれているのです。

③ 「大丈夫」と言うのに、明らかにつらそう

子どもに「大丈夫?」と聞くと、
「大丈夫」
「平気」
「わかんない」

と答えることがあります。

でも、表情はこわばっている。
声が大きい。
体がそわそわしている。
姿勢が崩れている。
ミスが増えている。

この場合、嘘をついているのではなく、自分の状態が本当にわかっていないことがあります。
体のサインと言葉がまだつながっていないのです。

4.家庭でできる“気づく力”の育て方

① 落ち着いているときに体チェックをする

内受容感覚を育てる練習は、癇癪の最中ではなく、落ち着いているときに行います。
たとえば、夕食前や寝る前に、短く聞いてみます。

「お腹はどんな感じ?」
「のどは乾いてる?」
「体はあったかい?寒い?」
「眠さは10のうちいくつ?」
「手に力は入ってる?ゆるんでる?」
「心臓はドキドキしてる?ゆっくり?」

正解を求めなくて大丈夫です。
「わからない」も大切な答えです。

まずは、体に注意を向ける習慣を作ります。

② 感情より先に、体の言葉を使う

「今どんな気持ち?」と聞かれると、答えにくい子がいます。
その場合は、感情名より先に体の状態を聞きます

「胸はぎゅっとしてる?」
「頭は重い?」
「足は動きたい感じ?」
「お腹は変な感じ?」
「顔は熱い?」
「体はふわふわ?ずっしり?」

体の感覚に名前をつけることで、少しずつ感情とつながっていきます。

たとえば、
「手に力が入って、顔が熱いときは、怒りが近いかも」
「お腹がぎゅっとするときは、不安かも」
というように、親子で発見していきます。

③ 定期的なチェック時間を作る

ADHDの子どもは、自分から気づくのが難しい場合があります。
だから、外側から気づくきっかけを作ります。

朝の出発前。
学校から帰ったあと。
宿題の前。
夕方。
寝る前。

このタイミングで、簡単な体チェックを入れます。

「水分」
「トイレ」
「空腹」
「疲れ」
「音・光」
「気持ち」

紙に書いて、チェック式にしてもよいです。

記事でも、ADHDの子どもには、体の内側のサインを環境の中で見えるようにするため、決まった時間のチェックイン、視覚的な合図、エネルギーや空腹へのルーティンが役立つと説明されています。

5.気づいたあとに「次の行動」へつなげる

内受容感覚の支援は、気づいて終わりではありません。
気づいたあと、何をするかまでつなげることが大切です。

① 体のサインと行動をセットにする

「のどが乾いた」なら、水を飲む。
「お腹がすいた」なら、軽食を食べる。
「眠い」なら、予定を減らす。
「音がつらい」なら、イヤーマフを使う。
「体が動きたい」なら、ジャンプや散歩をする。
「イライラが上がってきた」なら、距離を取る。

このように、サインと行動をセットで教えます。

「イライラしたら深呼吸」だけではなく、
「顔が熱い、手に力が入る、声が大きくなる。これはイライラのサイン。だから水を飲んで、静かな場所に行く」
というように具体化します。

② 学校にも伝える

家庭で見えてきたサインは、学校にも共有できるとよいです。

「空腹に気づくのが遅く、午後にイライラしやすいです」
「音が多いと、最初は我慢しますが、急に崩れます」
「疲れていても本人は“大丈夫”と言います」
「休憩カードは、限界前に声をかけると使いやすいです」
「タイマーやチェックリストがあると、自分の状態に気づきやすいです」

子どもが自分で説明できるようになるまでは、大人が橋渡しをしていきます。

6.自己理解と自己主張につながる

体のサインに気づく力が育つと、子どもは少しずつ自分に必要な支援を伝えやすくなります。

「水を飲みたい」
「少し休みたい」
「音が大きい」
「あと5分で疲れそう」
「トイレに行ってから始めたい」
「今は話すより書きたい」

これは、わがままではありません。
自分の状態を知り、必要な調整を伝える力です。

記事でも、内受容感覚を支えることで、子どもが自分のニーズを予測し、伝え、支援を求める力につながると説明されています。
将来、進学や就労を考えるときにも、この力はとても大切になります。

まとめ:自己調整の前に「気づく力」を育てよう

ADHDの子どもが、落ち着く方法を知っているのに使えないことがあります。

それは、やる気がないからではありません。
体や心のサインに気づくのが遅い。
気づいたときには限界を超えている。
感情の名前がわからない。
空腹や疲れがイライラとして出ている。
自分の状態をうまく説明できない。

そんな背景があるかもしれません。
自己調整は、「深呼吸しなさい」から始まるのではありません。
「今、自分の体に何が起きているか」に気づくことから始まります。

落ち着いているときに体チェックをする。
感情より先に体の言葉を使う。
決まった時間にチェックする。
体のサインと行動をセットにする。
学校にもサインを共有する。
子どもが自分で助けを求める力を育てる。

こうした小さな練習が、子どもの感情調整の土台になります。
子どもは、できないのではなく、まだ気づく方法を学んでいる途中なのかもしれません。
その視点を持つだけで、声かけは少しやさしく、支援は少し具体的になります。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
もしよければ、「子どもが限界まで疲れや空腹に気づかない場面」や、「体チェックで役立った声かけ」があれば、ぜひコメントで教えてください。

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