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黄泉醜女

もうすぐで私は死ぬ。私は死ぬるのだ。



哀しいね、お上がほんとうにお神なら、一体どうして、あんたみたいな子を泣かせるんだろうね。あんたの涙はあんたのもんだよ、泣きたいときに泣けばいいんだ、泣いていいんだ、そうだろう、でもね、涙を仕舞いよ、顔をお上げ、そこに崩していいから、よく聞きな、済まないね、あたしゃ見たくないんだよ、さんざ見てきたんだよ、あんたみたいな子、たっくさん、泣いて欲しくなんかないんだよ、口惜しいんだよ、あたしゃあんたに何があったかなんて知らないけどね、あんたここまで、貧しかろうが、苦しかろうが、一人っきりの寂しさの中に居ても、それでも生きて来たんだろう、あんたの面見りゃ分かるよ。でもね、手前一人だけが、苦しかったなんて、自分は哀しさに満ちた悲劇な涙を流せるんだ、なんて慰めてやるんじゃないよ。人間は皆、醜いんだ。醜いなりに、分相応に生きているんだよ。なら醜く生きてやろうじゃないか。

どれだけ仕様のない世界に居ても、最後は一番醜くく生きたやつが勝っちまうのさ。泥臭くても、懸命に生きたやつが勝っちまうのさ。少なくとも、あたしゃそうして生きてきたよ。

あんたどうせ死ぬ気なんだろう、なら、泣きながら死ぬのはおよし、笑いながら死になさいな、生きるんだよ、笑って死ねるその日まで、生きるんだ。小汚くても、薄汚くても、泥まみれでも、醜くたって生きてみせるんだよ、それだけなんだよ、死ぬなんて軽々しく思うんじゃないよ、云うんじゃないよ、平気な顔して生きてやるんだよ。

ここには、色んな女がいるよ、皆傷もんさ、客を取れれば生き長らえる、取れなきゃ明日なんかない、生きるも死ぬも手前の手元にはない、母になることも、一人の男と添い遂げることも許されない、その幸せを知ることのない、哀しい女だらけさ、それでも平気な顔して、澄ました顔して、笑ってるよ、強い子たちばかりだよ。ここじゃ女の武器は、手前自身さ。あたしたちゃ、声で相手を騙し、体で騙し、ついには、そいつの寝首を掻っ切ってやるのさ。それこそ女冥利に尽きるってもんだろう。ここで生きてくって腹決めたんならね、強くおなり、負けるんじゃないよ。手前の醜さに、負けるじゃないよ。

さぁあんたにお客だよ、それで来たんだ。あぁちょっとお待ち、なんて面してんだい、あんた器量はいんだから、こうやって笑うんだよ……こうやって、うん、そうさそうさ、いい子だからさっさとお行き、いいね……。



女は死んだ。私と入れ違うようにして、その日に死んだ。あなたが生きろというから、あなたの死んだ歳を幾分も越えて、あっちの方から迎えが来る今日日まで、生きてみましたよ。なぁに、ろくなもんじゃなかった、見たくないもの沢山見ましたよ、笑っちまうでしょ、それでも生きてみて良かったって、そう思うのですよ。
私、今どんな顔してますか、そうですかい、そうならいいんです、あなたとおんなじ顔してるんだから。私に教えてくれたでしょう、こうやって笑うんでしたね……。

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