窓辺から
窓辺シリーズのデジタルアルバム第2弾を、七夕にリリースします。

ライブアルバム『Through the Window』
2020年、パンデミックの最中に「もう一度世界と繋がりたい」という強い想いから始めた配信ライブシリーズ『Through the Window』。世界中の皆さんの温かいサポートとドネーションによって、全7回を開催することができました。今振り返れば、それは私自身が「歌を通じてすべての境界線を取り払い、世界の人々の心と繋がり、そして繋げていくのだ」と深く決意した、かけがえのない時間でした。本作は、あの特別なライブの中から、ギタリスト・渥美幸裕さんと共演した2回分のステージを1枚に凝縮したデジタルアルバムです。
ライナーノーツと歌に込めた想い
1.ワイハ節 (津軽民謡 作詞 渥美幸裕・松田美緒)
三味線の小山豊さんのアルバムObiのために新しい歌詞をつけた曲。日本語は渥美さんとの共作、ポルトガル語はサウダージを込めて私が書きました。「ワイハ」とは、津軽で驚いた時に使う言葉だそうです。
2.To To To (マルティニーク民謡)
ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)はギリシャのレフカダ島で生まれ、アイルランドで育ち、パリやニューヨーク、ニューオリンズを経て、マルティニーク諸島に2年滞在、その後ついに日本の松江に到着しました。彼は日本に来る前にクレオールの世界にどっぷり浸かり、クレオールの人々の物語を集めました。この歌も、ハーンが川で洗濯する女の人たちの歌っていた歌を採譜したものです。ト、ト、トとは、戸を叩く音。「トントントン」「誰?」「君の恋人だよ、扉を開けておくれ」
3.Phaedra (Mikis Theodrakis) - Lua (Princezito)
ギリシャ悲劇をベースにした映画『フェドラ』の主題歌(ミキス・テオドラキス作曲)。「私の星、私の月、春の若枝よ」と愛する人を讃え、宿命の破滅へと向かう愛を綴った切なく美しい名曲です。
続くカーボヴェルデの「月」は、クレオールの女性たちが刻んできた伝統リズム「バトゥック」の曲。「月はあらゆる人種を照らしてきた、今は私の燃える体を照らして」と情熱的に歌い上げます。
4.Morna di Luss 「光のモルナ」 (Lucio Vieira)
カーボヴェルデの素晴らしいベーシストであり、大切な友人であるルシオ・ヴィエイラが書き下ろしてくれたモルナ(カーボヴェルデの伝統音楽)です。孤独な人生をひとつの航海に例えた曲で、クレオール語の甘く美しい響きが、聴く人の心をそっと溶かしていくような優しさに満ちています。
5.有馬山(大弐三位) - Ai Deus, Se Sab' ora Meu Amigo(Martin Codax)
有馬温泉の「御所別墅(ごしょべっしょ)」さんで開催した、3回目の配信ライブでの即興演奏です。紫式部の娘・大弐三位が遺した、有馬山を舞台にした恋歌「有馬山 猪名の笹原 風吹けば…」の即興から始まり、そこに13世紀ガリシアの吟遊詩人マルティン・コダシュのカンティーガを重ね合わせました。心の移ろいを風に託した、東西ふたつの中世の恋歌です。
6.Para estar en mí (Florencia Ruiz)
アルゼンチンの唯一無二のアーティストであり、大好きな友人でもあるフロレンシア・ルイスが、3回目の配信ライブのために贈ってくれた新曲です。愛と自由の間で揺れ動く心を綴った深遠な詩と、マントラのように展開していく曲調は、まさにフロールらしさに満ちています。
7.朝草切り歌
大分県日田市上津江の民謡。アルバム「おおいたのうた」に録音しました。現地の女性歌手から直接歌を受け継ぎ、普遍的な愛の歌としての意味を込めて、現在は世界中で歌い続けています。もともとは、朝早いうちに馬の餌となる草を切りに行く男女が、互いに呼びかけ合って歌った(掛け合いの)歌です。
8.Las Golondrinas「つばめ」(Jaime Davalos/Eduardo Falu)
大学時代、ペルーのカルミーナ・カンナヴィーノとルーチョ・ゴンサレスのデュオアルバムの中で出会い、愛聴していた歌です。2004年、カーボヴェルデのホテルで歌っていた頃、同僚のアルゼンチン人歌手に歌詞を書き留めてもらい歌い始め、のちにウーゴ・ファトルーソと録音したり、世界中で歌い続けてきました。「つばめ」とは「移民」の象徴。国外へと旅立つ人々へ向けて、「もし人生に迷ったなら、もう一度海を渡って戻っておいで」と優しく呼びかける歌です。
9.愛の歌 (Peter Olah/Mio Matsuda)
リスボンに留学する前、「世界を見ておきたい」と大学卒業後にヨーロッパ10カ国を電車とバスで旅しました。その途中で立ち寄ったハンガリーのブダペストで、あるロマの音楽家一家と暮らし、素晴らしい音楽を教わったのです。この曲は、ジャズベーシストのペーター・オラーの美しいベースソロに、朝焼けの空を見上げながら綴った詩を載せて歌っています。
10.Through the Window ( Yukihiro Atsumi/Mio Matsuda)
この「窓辺」シリーズのために渥美幸裕さんが書き下ろしてくれた曲に、ポルトガル語の詩を載せました。林正樹さんもピアノで参加してくれています。パンデミックの最中も、そして今も、私たちの心は時空を越えて旅をすることができます。歌は、心を遠くへ運ぶ翼。物理的には離れてしまっている世界中の人たちと、歌を通じて抱擁を交わしたい、そんな祈りのような想いを込めた歌です。
クレジット
【撮影会場】
建仁寺 両足院/京都 2020年7月5日
有馬山叢 御所別墅 /兵庫 2020年8月26日
【録音・ミックス・マスタリング 】 森崇 (BOSCO MUSIC)
【動画配信】
STREAMRIVER 古木洋平 : director
牛久保賢二 永井芳憲 藤生恭平
【ヘアメイク協力】 高橋誠二(シアンメイキャップルーム)
