こんなに素晴らしい...隠れた名作・傑作SF映画[2選]
こんばんは ぷらねったです
素晴らしい内容に対して知名度の低すぎる 不遇なSF映画たち
今回は「こんなに素晴らしい...隠れた名作・傑作SF映画」というテーマで そんなSF映画を紹介していきます
1.ザ・ロード (2019年) 原題:The Road
監督は ジョン・ヒルコート
とある親子の旅路を描く アメリカのポストアポカリプスSF映画です

舞台は 原因不明の大災害によって植物や動物が死滅し 文明が失われてから10年以上が経った世界
この危険で荒廃した世界において 生き残った人間の中には 他の人間を食糧と考える者もいる上に 空は塵に覆われて寒冷化が進み 多くの動植物は死滅してしまっていました
そんな中 とある男と1人の息子は海を目指し なんとか生き延びています
もはや善悪の定義が崩壊する中でも 彼らはできる限り善人であろうと努め 海を目指して歩き続けるのであった...というストーリーです

製作費は2500万ドル
本作品は コーマック・マッカーシーによる2006年の同名原作小説を基に映画化されました
ミュージックビデオやドキュメンタリー,テレビドラマ,映画など多方面で活躍する オーストラリアのジョン・ヒルコートが監督をつとめています
主演したのは『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや『グリーンブック』そして『ヒストリー・オブ・バイオレンス』,『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』など日本でも知名度の高いデヴィッド・クローネンバーグ監督作品で知られる ヴィゴ・モーテンセンです
『マッド・ガンズ』,『2067』のコディ・スミット=マクフィーや『マッドマックス 怒りのデス・ロード』,『ノイズ』のシャーリーズ・セロンも出演しています
また 音楽を担当したのはニック・ケイヴですが ジョン・ヒルコート監督は彼のミュージックビデオを手掛けたこともあります

作中では 荒廃したポストアポカリプスを舞台に とある親子の孤独なサバイバルが描かれます
今作の大きな特徴として ほぼすべての登場人物の名前が明かされないことが挙げられます
主人公の男にはかつて最愛の妻がいましたが とあるきっかけにより妻は家を去り その後消息を絶った経緯があります
そのため"父と子が生きる現在"と"妻と過ごした過去の回想"という2つの場面が交互に描かれる構成となっています
今作の内容は あくまで"過酷なポストアポカリプス世界を生き抜くこと"に焦点を当てており なぜポストアポカリプスとなってしまったのか そのきっかけとなった大災害はどういったものなのかについての描写が極端に少ない演出となっています
映画内で描かれる"親子が協力し 時にぶつかり合いながらもポストアポカリプス世界を生き延びる姿"は数多くの作品に影響を与えた可能性があり 例えば大ヒットした2013年発売のゲームであり 原作としてドラマ化もされた『The Last of Us』が後の影響先としては代表的でしょう
他にも近いところで 2018年に大ヒットしてシリーズ化された『クワイエット・プレイス』や 同じく2018年の『バード・ボックス』など 今ではポストアポカリプスを舞台にした家族のサバイバルは定番化しています

『The Last of Us』そして今作に共通する「ポストアポカリプスの過酷な世界で子どもを守り 時には厳しく接する親の姿」...
そして「親を理解しようとしながら成長してゆく子どもの姿」は SFファン以外にも刺さるテーマでしょう

そんな今作の映画化にあたっては カナダの伝説的ロックバンドである The Bandのロビー・ロバートソンのマネージャーを務めた経歴をもつプロデューサーのニック・ウェクスラーが 自費で映画化権を獲得したところから始まりました
ニック・ウェクスラーは 2005年の『プロポジション -血の誓約-』を観て"西部の荒々しく原始的な人間性を捉えたやり方"に魅力を感じ 同作品の監督であるジョン・ヒルコートに監督のオファーをします

このオファーを承諾したジョン・ヒルコートは CGを極力排除した映像を目指します
冬の荒涼としたペンシルベニア州ピッツバーグで撮影が開始され"ハリケーン・カトリーナ"で壊滅的な被害を受けたニューオーリンズの一部 そしてワシントン州のセントヘレンズ山などもロケ地として使用されました
撮影時の役作りのため 主演のヴィゴ・モーテンセンは服を着たまま寝泊まりし 断食も行なったそうです
そのため ピッツバーグの店ではホームレスと間違えられ 店から追い出されたこともあったといいます

また 映画内では自動販売機のシーンがありますが 原作小説ではこの場面でコカ・コーラが登場するそうです
このシーンの撮影に際して ジョン・ヒルコート監督は「コカ・コーラ社が映画への使用を断るのではないか」という心配をしたため 様々なブランドのソフトドリンクを使った複数のパターンで撮影が行われました
しかしこれは杞憂に終わり 主演のヴィゴ・モーテンセンがコカ・コーラ社の社長に直接電話をかけたことで コカ・コーラの缶を登場させる許可が得られたのだといいます

なお 理由は不明ですが 主演のヴィゴ・モーテンセンは今作以後 デヴィッド・クローネンバーグ監督による2011年の『危険なメソッド』まで俳優業を2年間休止しています
ポストアポカリプスで生きる親子 そして道中の様々な苦難を描く 本作品
SFファン以外にもおすすめしたい 傑作ポストアポカリプスSF映画となっています
2.チャイナ・シンドローム (1979年) 原題:The China Syndrome
監督は ジェームズ・ブリッジス
原発のメルトダウンをテーマにした アメリカのスリラー映画です
SFとは言えないかもしれませんが かなりそこに近いテーマだと思うので紹介させていただきます

舞台はアメリカ
ロサンゼルス郊外のベンタナ原子力発電所を取材していたTVキャスターのキンバリー・ウェルズと撮影クルーの一行は 偶然起きたタービンの停止と 原子炉の緊急停止事故の現場に立ち会うことになります
この際の現場の様子をカメラマンが隠し撮りしていましたが 上層部からの圧力により この映像はお蔵入りとなってしまいました
事故の調査後に運転を再開した発電所では ジャック・ゴデルという技師が原子力発電所の欠陥を発見し 再稼働の延期を求めます
この事を知ったTVキャスターのキンバリーは ジャックの協力を得て 事件の真相を世間に公表しようとする...というストーリーです

製作費は 590万ドル
本作品では『地球爆破作戦』の脚本で知られる ジェームズ・ブリッジスが監督をつとめました
主演は『バーバレラ』のジェーン・フォンダ,『グレートレース』のジャック・レモン,『アントマン』シリーズのマイケル・ダグラスとなっています

作中では 原子力発電所における事故をテーマにした物語が描かれます
原発事故のスクープを放送しようとするテレビ局の撮影クルー側と それを隠ぺいしようとする権力者側の姿...その両サイドの思惑を映しだす映画です

映画的と言えるような派手な演出は避けられており 淡々としながらも緊張感のある雰囲気で物語は展開されてゆきます
そうなれば必然的に注目ポイントとなってくる俳優陣の演技については TVキャスター役のジェーン・フォンダ,原子力発電所につとめる技師役のジャック・レモン,カメラマン役のマイケル・ダグラスらの演技が素晴らしく 会話や表情によって説得力が生まれています

ところで タイトルの『チャイナ・シンドローム』は 原子力技術者の間で使われていた言葉であり「もしアメリカの原子力発電所がメルトダウンを起こして地面を貫いてしまったら 中国まで到達するのではないか」という意味を込めたブラックジョークです
しかし 実際のアメリカの裏側は中国ではなくインド洋付近で メルトダウンした核燃料が地球の裏側に到達することはないとされています

そんな今作は 潤沢とはいえない製作費590万ドルでありながら 興行収入は5170万ドルという大成功を収めましたが これには様々な時代背景が影響していたようです
1979年3月の劇場公開後 今作に対しては「全くの作り話」,「業界全体に対する人格攻撃である」など 主に原子力産業の関係者から大きな批判の声が挙がりました
しかし 関係者の声が記載された記事が公開されてから12日後 ペンシルベニア州ドーフィン郡において スリーマイル島原子力発電所事故が発生...
当時から 結果的にこの事故のタイミングが興行的成功に役立ったという見方もあったようですが スタジオは事故を利用しているように見られないよう 一部の劇場からの映画公開を取りやめるなど 対策を講じたそうです

また こういった興行的な成功だけでなく アカデミー賞では主演男優賞,主演女優賞,美術賞,脚本賞にノミネートされ カンヌ国際映画祭ではパルムドールにノミネートされています

そんな実績に似合わず そこまで知名度が高くないと感じる 本作品
シリアスで見ごたえ十分の 傑作映画となっています
あとがき
今回は「こんなに素晴らしい...隠れた名作SF映画」というテーマでのSF映画紹介でした
それぞれ時代の異なる映画ですが 観たことはありましたでしょうか
今回の2作品はシリアスな内容であり 共に映画的な誇張が少ない点も共通しています
だからといって退屈な訳でもなく 映画としておもしろい内容になっているので ぜひ観ていただきたいです
最後までご覧いただき ありがとうございました
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