【点と線で絵地図を描いて遊ぶ「冒険地図」】【地図遊びアイディア集:No.029】
冒険が終わり、再び日常の生活へ。いえいえ、まだ冒険は終わっていません。もう一度、あの感動を蘇らせましょう。スマホに貯まった画像や旅先の入場券、観光案内のパンフレット、持って帰ってしまったコースターなどなど。一つのファイルやフォルダにしまい込みながら、思い出に十分浸りましょう。そして、冒険の情報を十二分にインプットできたら、イラストマップへと一気にアウトプットするのです。
もちろん、「絵心がなくて……」「縮尺や方位を合わせるのが難しそう」と気にする必要はまったくありません!重要なのは、冒険したときの体験や感動が残っているかどうかです。
とはいえ、本格的な絵地図を描くというのは、かなり敷居が高いかもしれません。そこで最初は、「点と線」だけで絵地図(イラストマップ)を描いてしまうという試みというか、「遊び」を紹介します。「スタートからゴールまでのルート」を一直線に引き、その線上に発見したものや体験したことを点として描きこんでいくという手法です。
遊びに必要なもの
・地図:冒険した場所の地図を広げておきます。もちろん、ネットでもOK!
・筆記用具:鉛筆・色鉛筆・水彩絵の具・マーカーなど何でもOK(私は、筆ペンによる黒白の絵地図が大好きです)
・参考資料:風景写真や入場券など、冒険の記憶を呼び覚ます資料なら、何でもOKです。
遊び方のステップ
冒険地図の描き方
①冒険のタイトルを書く
用紙の上に冒険のタイトルを太い文字で書きましょう。タイトルは、冒険の場所が良いでしょう。
②歩いた道筋を描く
右利きの人は、左下に出発点、右上に到着点を描きます。左利きの人は逆の方が描きやすいかと思います。あと、出発点と到着点が同じでも、別々に描きます。次に、出発点から到着点までフリーハンドで矢印を描いてみましょう!
③思い出深いポイントに印をつける
道筋の想い出深いポイントに、黒い大きな丸で印をつけましょう。思い出深いことに名前をつけて、思ったことや考えたことを書き添えましょう。
④余裕があれば
時間が許せば、以下のような、いろんな情報を描き込みましょう。
・時刻:冒険の年月日。さらには、出発地点の出発時刻や到着地点の到着時刻などの時刻を記入します。
・観察:見たもので記憶に残ったものを描きます。建物や街路樹・小さな動植物・食べ物・人物などです。
・天候:天気や気温・風向きなどを記入します
・金額:入場券代やお土産代などを記入します
・着色:最期に、色鉛筆や水彩絵の具で着色しましょう
⑤肝心なことは?
歩いた距離感よりも、「ここで美味しいケーキを食べた」「ここで面白い野良猫に会った」という体験や感動を優先して描き込みましょう。

冒険地図の作例


もっと楽しく遊ぶために
紙を前にすると頭の中が真っ白!「体験や感動を真っ先に!」
タイトルを書いては見たものの、残りの白紙に何を描いていけばよいのかわからない。そんなときは、思い出せる体験や感動のいくつかを、用紙の周辺に言葉やイラストとして描いてしまいましょう。あとは、引きずられるように道路や線路などのルートが描けていけるものです。
筆ペンだけの白黒の世界でもOK
特にルールはありませんが、道路や線路は薄めの色。地名や言葉、建物などは少し濃いめの色がよいかもしれません。筆ペン一本でも、味わい深い絵地図を描くことは可能です。
もっとマップを飾りましょう!
何を描こうが、つまるところ、個人の自由です。でも、もっと楽しいマップに仕上げてしまいましょう。
・文字:手書きでも、書体にこだわってみましょう
・方位:素敵なコンパスで地図らしくしましょう(北を正確に示すことは目的ではありません)
・飾り枠:壬生寺を訪ねたら、飾り枠は新撰組のだんだら模様にしたくなるなど、テーマにあった飾り枠を考えてみましょう。
・印:書道や日本画の落款と呼ばれる朱い押印です。もちろん、地図の著作権を主張するためです。
実際に描いてみよう!
こんなイラストマップを描いてみよう!4つのテーマに挑戦です。
① 自宅周辺の「マイタウンマップ」
昔、学校に提出する「連絡票」の自宅と学校の間の周辺地図。親御さんから任されて描いた記憶はありませんか? あの頃の気持ちに戻って、現在の自宅周辺と最寄り駅の間の2点間の地図を「点と線」で描いてみましょう。「抜け道」「野良猫の集会所」「お気に入りのベンチ」など、自分だけの秘密を書き込むのがコツです。
② 旅先や散歩の「トラベラーズノート」
最近人気のトラベラーズノートや旅行記。旅先で歩いたルートと印象的だった風景を絵地図にすると、最高の自分自身へのお土産になります。旅先でもらったショップカードや入場券の半券をペタッと貼るだけでも、立派なコラージュイラストマップになります!


③ 物語の「アドヴェンチャーマップ」
『指輪物語』の中ツ国や、『氷と炎の物語(ゲーム・オブ・スローンズ)』のように、名作冒険小説には素晴らしい地図(推理小説なら殺人現場という地図)が添えられています。もし地図のない小説や歴史本を読むなら、主人公たちの旅路を想像して自分でマップを描いてみましょう。物語への沼り方が格段に違います!


④ 空想の「宝島マップ」
現実にはない、自分だけの架空の島や街などのマップを描く遊びです。これは奥が深いので、また別の回でじっくりご紹介しますね!(仮称「空想の地図を描いて遊ぶ」)
雑学:絵地図と方位の小話
絵地図の歴史(イラストマップのヒストリー)
絵地図の歴史は古代の壁画や鳥瞰図に遡り、文字より視覚的に空間を伝える手段として発展しました。近世の名所図会を経て、近代は観光用マップとして普及しました。
この分野では、アルプスなどの山岳パノラマ地図で知られるハインリヒ・ベランや、マンハッタンや主要な欧州都市を描いたヘルマン・ボルマンの作品が歴史的転換点となりました。日本においては、江戸時代の吉田初三郎が独自の視点で地形を強調した絵地図を数多く制作し、近代観光の普及に大きく貢献しました。現代では、これら先駆者の表現を継承しつつ、デジタル技術やARと融合することで、紙の枠を超えた直感的で親しみやすい情報媒体としてさらなる進化を遂げています。
中世の地図は「上が東」だった?
本遊びで紹介している地図は、あえて方位を気にしていません。ご存じの通り、現代の地図は上が北(南半球では南)ですが、中世ヨーロッパの地図(TO図など)では、太陽が昇る聖地エルサレムがある「東(Orient)」が上でした。「オリエンテーション」という言葉の語源でもあります。というか、当時は羅針盤がなかったので、信仰上の大きな理由がある東を上にしていたわけです。
「ノースアップ」と「ヘッドアップ」について
「ノースアップ」と「ヘッドアップ」は、地図やナビゲーション画面を表示する際の設定方式です。
ノースアップは、画面の上方向を常に「真北」に固定して表示する方式です。自分がどちらを向いて進んでいても地図自体は回転せず、常に方角が一定に保たれるのが特徴です。
一方、ヘッドアップは、自分の「進行方向(頭部や車首・鼻先)」を常に画面の上に移動させて表示する方式です。カーナビでデフォルト的に設定されている方式ですし、本遊びで採用している方式でもあります。自分の向きに合わせて地図の側が回転し、進行方向が常に上に来るよう制御されます。なお、「ノースアップ」との対比や語呂の良さから「ノーズアップ(Nose UP=鼻先が上)」と呼ばれることもあります。
参考図書
『ぱらのま』第7巻 Line.26「MAP」
点と直線の地図に慣れたら、軽い気分で正統な絵地図作りに挑戦してみましょう。主人公は、栃木と上野原の絵地図に挑戦しています。
村松昭『楽しい絵地図づくり』
紹介されている絵地図を見るだけでも、また絵地図を作っていく過程を見ているだけでも楽しくなります。さらに自分でも簡単に絵地図づくりが楽しめそうに思える本です。
mini_minor『myトラベルノート - “忘れたくない"をかたちにする -』
「トラベラーズノートはカッコよい!」と心底思える本で、冒険の主人公は「私」であるということを痛切に感じる本です。
安野光雅『旅の絵本』
絵地図のような風景の中に様々な物語や遊び心が隠されている絵本。主人公である一人の旅人が見ている街並みや田園の風景が右から左へと続きます。眺めていて飽きません。
みなさんもぜひ、冒険に出かけるたびに、自分だけの冒険地図を描き、一冊の「マイ冒険アトラス(私設冒険地図帳)」を完成させるべく、イラストマップに挑戦してみませんか?
本記事は、「地図で思いっきり遊ぶためのアイディア集」の29個目のアイディアです。
