【気になる地名を訪ねて遊ぶ「千反田える」】【地図遊びアイディア集:No.028】
冒険に突き動かされる要因には数多くありますが、地名もその一つ!行ってみたくなる地名はあるものです。まずは、私の体験から。
・蛇崩:午前中に、三軒茶屋の客先へ訪問するにあたり、ファミレスで朝食を済ませておこうと、訪問先の周辺の地図を眺めていました。駅の近くのファミレスだと混雑するので、落ち着いて時間をつぶせる店はないかと、郊外の店を探していると、「蛇崩 」という地名が目に入りました。普通、「蛇」がつく地名は、鉄砲水が発生しやすい山間部に比較的多い地名なのですが、ここは平野部。「おそらく蛇のように曲がりくねった道なのではないだろうか?」と思い、実際に行ってみることにしました。密生した木々のトンネルを通り抜けるような、かなり細い道でしたが、よく整備されており、しかもファミレスの横を抜けて、延々と続いているのです。実際に歩いていると、実に楽しい遊歩道であることが分かり、面白い発見にその日は一日中わくわくしたものです。あとで詳しく調べてみると、「蛇崩川緑道」という名称が付けられていました。

・乙姫岩:また、あるときに木曽川の「2万5千分の1の地図」を眺めていると、川の中に「乙姫岩」という地名をみつけました。眺めていた地図周辺のガイドブックは何冊も所有しているのですが、この「乙姫岩」という、いかにも観光スポットになりそうな地名のことについて触れている本は1冊もありません。「岩」といっている以上、きっと「奇岩の類」なのでしょう。もしかすると名前倒れなのではないかと危惧しつつも、出かけてみることにしましたた。実際に見ると、まさに奇岩でした。川の周辺は侵食で砂州になっているのに、この岩群だけ、なぜか群島のように急流の川の真ん中に鎮座しているのです。案内板の説明を読むと、「浦島太郎伝説」のことが書かれており、まさしく穴場の観光スポットでした。「百聞は一見にしかず」と口にしたくなるようなスポットでした。

この遊びで重要なことは、純粋に地名という言葉が冒険のきっかけになっていることです。ビジュアルや写真が動機にはなっていないということが重要です。さらに、素晴らしいことには、こういう冒険は、のちのちまでよーく覚えているということです。だから、すぐに調べて、分かった気になって、その場で満足するのではなく、「気になったら、まずは出かけてみる」という心構えが重要となります。
遊びの準備
・地図:「Google Map」でも「2万5千分の1の地図」でもよい
遊び方のステップ
①地図を広げて眺める
②気になる地名をリストアップする
③特に気になる地名を選び、その場所が実際にはどうなっているのかを想像する
④とりあえず、行ってみる
⑤想像と実際との差を比べてみる
実際に遊んでみよう「まずは、地元で」
この遊び。まずは地元の地図を開いて遊びたいものです。
家内は木曽の山奥の出身で、結婚と同時に千葉市の美浜区で私と暮らし始めます。山の中で育ったせいか、家内は周辺の地名にひどく感銘を受けていました。真砂・磯辺といった海岸を示す地名です。美浜区自体が埋立地なので、まさにテラフォーミング系の地名(後で詳説)です。さらには、どこで知ったのか、家内が京成線に「海神」という駅があることを知り、せっつかれて出かけたものです。もちろん、海神らしさを示す具体的なモノは何も見つけられなかったのですが、ローマ神話の海神「ネプチューン」と名付けられたマンションが多いのに、二人で納得したものです。極めつけは、海神駅の接近メロディーです。アニメ『海のトリトン』の主題歌『GO! GO! トリトン』が流れていて、ひどく感動したものです。
なお、トリトンはギリシャ神話の海の神様です。トリトンの父親がポセイドンになります。アニメでは、敵対関係なので、ちょっとあせりますね。
「海神」という地名は、wikiによれば日本武尊伝説に由来しているそうです。日本武尊 が当地へ賊徒平定に来た時、海上に光り輝く船があり、近づくと柱に神鏡が懸かっていた。それを浜に持ち帰り祀った場所なのだそうです。「海神」の地名は、かつては「わたつみ」と読んでいたそうです。

気になる地名の探し方
地名の成り立ちについては地名学という学問で詳細に分類され、研究されつくされていますが、ここでは大雑把に個人的な分類を示してみます。気になる地名を探す際の参考になるかと思います。
テラ系(大地の記録)
その場所の特異性から名づけられた地名です。
・赤坂:関東の赤土が露出している坂
・富士見坂:富士山が見える坂
・舞浜:自然ではなく、人工による埋立地の地名です。なので、この地名は、テラ系というよりもテラフォーミング系と呼ぶ方がふさわしいでしょう。
ファンタジー系(神話の投影)
・天空橋:海老取川にかかる歩行者専用の橋です。近くに羽田空港があり、京急の天空橋駅があります。シン・ゴジラが第二形態で遡行した際に、間違いなく破壊されたことでしょう。ちなみに、海老取川は、南から北へ流れています。

・霊岸島:対岸の佃島も気になるけど、なんか名前が凄そうですよね。行ってみると、そんなたいした島ではないのですが、島の端っこに「霊岸島水位観測所」なる一風変わった施設があり、一見の価値ありです。あとで、アニメ「3月のライオン」の聖地でもあることを知りました。

・ブラームスの小径:2024年05月22日の東京新聞の片山由美子さんの「私の東京物語(第5話)」に紹介記事があり、とっても気になって家内と歩いてきました。小径の先には、モーツアルト通りが続いていました。

・鬼越:京成線をはじめ、JR以外の私鉄は気になる地名(駅名)の宝庫です。

気になってはいますが、まだ行ったことがない地名です。
・るるどの洞窟:東京カテドラル聖マリア大聖堂の敷地内にある洞窟です。

ブランド系(新たな物語による覚醒)
最初は、テラ系・ファンタジー系であった地名が、物語や歌詞などで二次使用されることにより、さらに大いなる意味が付与された地名です。ある意味、聖地になりやすい地名です。
・神田川:「南こうせつとかぐや姫」のフォークソング『神田川』
・無縁坂:ドラマ『ひまわりの詩』主題歌『無縁坂』。さだまさしさん作詞・作曲
・言問橋:清水由貴子さんの『言問橋』/クラフトの「言問橋」。墨田川にかかる橋です。
・桜坂:福山雅治さんの『桜坂』
・池上線:西島三重子さんの『池上線 』
・乃木坂:昔は、近くに青山墓地があることから幽霊坂と称していました。「幽霊坂46」というグループが実在していたとか。
・城の崎:志賀直哉の短編小説『城の崎にて』。小説を読んで気になって仕方がありません。まだ行ったことはありません。
・北ウイング:中森明菜さんの『北ウイング』。これも地名と考えます。
なぜ、この遊びは満足度が高いのか?
映画やアニメのヴィジュアルが先にあると、現地に行ったときに「あぁ、あの絵の通りだね」と答え合わせで終わってしまい、実は、自分の思考や想像が一つも含まれていません。だからこそです。映像なしの「言葉(歌詞や小説)」の音感や意味背景は重要です。それだけを頼りに妄想はいくらでも膨らみます。そして、実際に現地に立ったときの「想像とのギャップ(失望、もしくは、それを上回る感動)」。これこそが、最高の体験(一生の記憶)になるというわけです。
タイトルの「千反田える」について
千反田える(ちたんだえる)さんは、米澤穂信さんの小説・〈古典部〉シリーズの登場人物で、古典部の部長。アニメ『氷菓』のヒロインです。「わたし、気になります」 が口癖で、好奇心旺盛のためか、アニメでは目が大きく描かれています。
ちなみに、五反田という地名は有名ですが、一から九反田までは全国に地名として実在するそうです。また、十反田は一町田となるため、十反田以上の地名は存在しないようです。
時間のない方へ
ここまで実際の画像は掲載しませんでした。理由は今まで述べた通りで、ぜひとも妄想を膨らませてから出かけてほしいからです。でも、時間のない方のためにネタバレです。一部だけ画像を掲載しておきます。
・乙姫岩

・霊岸島水位観測所

・ブラームスの小径

最後に、皆さんのおすすめの「気になる地名」があれば、ぜひ教えてください。コメント欄でシェアしていただけると励みになります。
本記事は、「地図で思いっきり遊ぶためのアイディア集」の28個目のアイディアです。
