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【Field to Table】無限増殖する菊芋フィールドの今

 生駒で面倒を見ている半自然フィールドの一画に菊芋が群生している。それはもう旺盛な増えっぷりで、セイタカアワダチソウと競い合って背をぐんぐんと伸ばした。
 もちろん野生のものではなく、かつて苗代だったこの土地を畑として使い始めてから植えられたものだ。いつしかそこから人の姿が消え、チガヤとセイタカアワダチソウの海になって以来、持ち主にお声がけして土地の手入れをさせてもらっている。

 坂の上にある自宅からすれば、そこは坂の下。
 だから宮沢賢治の言葉を借りれば、まさに「下ノ畑ニ居リマス」。

下ノ畑(2025年6月)

菊芋の花

 道沿いに群生する里芋の存在は知っていたが、手入れを進めていくうちに菊芋も植っている事が判明した。登記上の持ち主は少し離れたところに住んでいるが、隣接する場所にお住まいのそのご兄弟が教えてくれたのだ。
 ただ、あまりにも勢力を広げているセイタカアワダチソウの群落に埋もれていて、初めのうちはどこにあるのかよく分からなかった。

 植物の最大の特徴は花。花が咲くまでは見分けることができないものも少なくない。セイタカアワダチソウとキクイモはいずれもキク科植物で、遠目には葉の形や全体のシルエットが似ている。

 だが、花をみれば一目瞭然だ。

セイタカアワダチソウ|2025

 海外ではゴールデンロッド(金の杖)などと呼ばれるセイタカアワダチソウは小さな黄色い花が密生する。一方、花の形状は似ているものの、キクイモは茎の先端に比較的大振りの花がいくつか咲く。

キクイモ|2025
(カマキリもコンニチハ)

 いずれも花蜜を求めてやってくるチョウや蜂などの昆虫によって受粉する。虫媒花のため、花粉症の原因にはならない。観賞用としても良い。

キクイモとらっきょうの花|2025

菊芋の葉

 いずれとも触れ合い、その性質を知れば、花が咲く秋を待たずとも、もはや適当に混在して生えていても見分けがつく。解像度を上げてみれば、それは全然別物だからだ。

セイタカアワダチソウとキクイモ(2026年8月)

 初夏〜夏にかけて、両者は競い合うようにその背を伸ばす。
 切られても根が強すぎる彼らはいくらでも出芽する。旺盛に伸びたそれらに目を奪われている間にも、次なる勢力が虎視眈々と分身を増やしている。

菊芋の根(塊茎)

 私はこの土地の面倒を見ているが、特に菊芋を育てているわけではない。放っておいても勝手に増えるし、土地に生えているものは好きにとって良いと言われてるので、ある程度は食料の足しにする。

 ただ、巷ではスーパーフードなどと持て囃されてはいるものの、ジャガイモやさつまいも、里芋の方が断然美味い。
 と言うのも、芋と名が付くものの、デンプン質ではないので、菊芋はほっくり感とは縁が無い。異論はあるだろうが、大根やゴボウのような柔らかい繊維質と言えるだろうか。
 素揚げのチップスや唐揚げ、あとはきんぴらなどにすると美味い。おやつにもなる。

 塊茎のカケラからでも増える事ができる菊芋を放置すると「これだからイモっ子は」と呆れるほど蔓延ってしまうから、手入れの一環として除去している、というニュアンスの方が強いかもしれない。

 大して耕しもせず、適当に増えている芋を掘り起こすのは、それなりに難儀する。まあ、コツコツ取り除いていれば、ある適度な範囲で制御できるだろう。

お金が登場しない超ローカル経済圏

 多すぎるので、昨年は土地の持ち主さんにもお渡しし、地元の友人たちにも幾らか食べてもらった。今年はいつもあれこれと季節の野菜をくれるご近所さんが興味を持ってくれたので、時期になったらお渡ししますよという話になっている。

 別に育てているわけではないし、そもそもこの土地の手入れ自体、仕事として請け負っているわけではない。私の仕事はこうして文章を書くことなので、記事やいずれ発行したいと思っている紙媒体は買って欲しいが、土から採れるものは、その土地の人間の腹に収まれば良いと思っている。
 それが一番健康的だし、経済活動としても無駄がない。いや、無用な労力を増大させない方法と言った方が正しいだろうか。

 だが、よその人が「だったら自分も食べてみたい。ください」と言っても、「なんでやねん」に決まっている。それはあまりにナンセンスな発想だ。
 何しろこの物々交換は、日常的に挨拶を交わすもの同士の、いわば「土の交換会」なのだから。

 そういう意味では、周囲の人があまり育てていない、主力じゃない作物は興味深い存在価値がある。

秋に向けて間引きする

 昨年ある程度は取り除いたものの、手付かずで菊芋が埋まったまま冬を越したエリアは、今年も旺盛に幅を利かせている。
 ただ、あまりに密生していると根が太らない。葉に光が当たりにくいし、土中の空間も取り合いになるからだ。菊芋の茎はセイタカアワダチソウほど強靭ではなく、下手にやると倒れてしまうので、バランスを見ながら間引きしてやることにした。

まだまだ小さいものの膨らみ始めた塊茎

 少し前から、イモっ子たちが姿を見せ始めた。
 刻んで何かに足す程度の量だが、食べてみようか。

分岐もでき始めている

 と思ったら、なんだか一つ、シロアリクイみたいな見た目のやつがいた。

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ポロ|生駒谷暮らしの研究室 いつもご覧くださりありがとうございます! 故郷の町・生駒の地誌・民俗を探究しつつ、半自然フィールド(食べられる生態園)を整備しています。 いただいたチップはこの活動費として大切に使わせていただきます!