【元教員が伝えたい】幼児期に“できなくていいこと”
「もうひらがな読める?」
「数字はどこまで書ける?」
「英語、始めた?」
幼児期の子どもを育てていると、
こんな言葉に出会うことがあります。
そのたびに、少し焦ってしまう。
でも――
本当に、今できなくてはいけないのでしょうか。
元小学校教員として10年間、
たくさんの子どもたちを見てきました。
そして今は、3児の母(1・3・5歳)でもあります。
その立場から、はっきり伝えたいことがあります。
幼児期に「できなくていいこと」は、
実はたくさんあります。
① ひらがなの読み書き
入学前に完璧である必要はありません。
すべて読めなくても大丈夫。
すべて書けなくても大丈夫。
小学校では、ゼロから丁寧に教えます。
ただ一つ、目安としてあるとすれば——
自分の名前がひらがなで読めること。
そして、できれば
自分の名前がひらがなで書けること。
自分の名前は、子どもにとって特別な言葉です。
持ち物の確認や、入学後の生活でも役に立ちます。
けれど、それ以上の先取りは必要ありません。
それよりも大切なのは、
・人の話を聞こうとする姿勢
・やってみようとする気持ち
・安心して学べる心の状態
読み書きは、あとからいくらでも伸びます。
② 「座っていられる力」
「小学校では45分座るから、今から練習を」
そう言われることもあります。
でも、私は必須だとは思っていません。
子どもは、自分がやりたいことには自然と集中します。
お絵描きが好きな子は、何分でも座っていられる。
動画も、ゲームも、好きなことなら続けられる。
大切なのは、
長時間座れることではなく、
夢中になれるものがあること。
低学年では、体を動かしながら学ぶ活動も多くあります。
ずっと座っていることが前提ではありません。
「勉強のために座らせる」よりも、
集中できる何かを持っていることのほうが、
ずっと価値があります。
③ 計算の先取り
足し算ができなくても大丈夫。
数の感覚は、生活の中で十分育ちます。
・お風呂あがりに10まで数える
・電子レンジの残り10秒を一緒に数える
・おやつを分ける
・階段をのぼりながら数える
「勉強」としてではなく、
親と一緒に楽しむ中で身についていきます。
数は、問題集の中だけにあるものではありません。
④ 英語を話すこと
英語を早く始めることよりも、
私はもっと大切なことがあると思っています。
それは、
何を伝えたいか。
どんな言葉も、
「伝えたい思い」があってこそ意味があります。
そのためには、まず母語である日本語で
・考える
・感じる
・言葉にする
ことができる土台が必要です。
思考の土台があってこそ、
他の言語も伸びていきます。
⑤ きれいにできること
塗り絵がはみ出す。
字が曲がる。
うまく話せない。
それでいいのです。
幼児期は“完成度”より“挑戦”。
うまくできることより、
「やってみたい」
と思えることのほうが価値があります。
⑥ 比べて勝つこと
「あの子はもうできるのに」
この言葉は、子どもの心を小さくします。
幼児期は、競争の時期ではありません。
自分のペースで伸びる時期です。
では、何を大切にする?
できなくていいことがある一方で、
育てたいものがあります。
・安心できる環境
・話を聞いてもらえる経験
・思いきり遊ぶ時間
・夢中になれる体験
・失敗しても大丈夫な空気
これが「学ぶ土台」になります。
土台がある子は、
あとからぐんと伸びます。
焦らなくて大丈夫。
幼児期は、
“準備期間”ではなく“今そのもの”。
子どもが子どもらしく過ごせた時間は、
必ず未来の力になります。
ここでは、
家庭で育つ「学ぶ土台」について綴っています。
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