数センチの災い
長靴を脱ぐと足の裏に痛みを感じた。
見てみると少し赤くなっていたが、特に何か刺さっている訳ではなさそうだった。
すぐ治るだろうと高を括っていたが、次の日には赤い擦り傷の中央が白くなり、ぷっくり膨れて山になった。
三日目には足の裏に第二の心臓があるように痛んだ。
しかも、運が悪いことに痛みが最高潮の日に仕事でイベントがあった。
外部の初対面の人と会うので痛がることもできず、死んだ目をして何とか皆に遅れないように歩いた。
尖った石が刃のようだ。
大した距離もない道が途方もなく長く感じた。
こんな数センチの傷に悩まされるなんて馬鹿みたいだなと思ったが、良いこともあった。
やたらのろのろと歩くので足元にいるカエルやミミズに親しみを感じた。
植え込みに目をやれば、桔梗の花や鬼灯が見頃のようだった。
お盆も近く傷を早く治したかったので重い腰を上げて病院に行った。
ただの水脹れだったらしい。
医者に水を抜いてもらうと、痛みがすぐ楽になり拍子抜けした。
旅行前日には普通に歩ける様になった。
東京から盛岡に来た両親と肉を堪能し、喜び勇んでカラオケに繰り出した。
歩けるって素晴らしい。
何てことない一日だったが、私にとっては良いお盆の幕開けだった。
台風の影響で旅行計画も大幅に狂いそうだが、今ならそれすら楽しめそうな気がした。
子どものように走り、くるくる回る私を若干呆れた顔で親が見ていた。
