高校生活初めてのクラスで起こった金的事件
■ 入学式のあと、初めての教室
新しい教室は、まだ誰の色にも染まっていない空気が漂っていた。
椅子を引く音、窓の外の風の音、微妙なざわつき──全部が「初めまして」の音だった。
担任が前に立ち、「じゃあ最初は代表して、○○さん、よろしくね」と名前を呼んだ瞬間、
教室の空気が一度止まったように感じた。
椅子から立ち上がっただけで心臓の音がやけに大きくなる。
歩くたびに床が鳴るのが、全員の耳に届いてる気がして、妙に恥ずかしい。
数メートルのはずなのに、教卓までの道がやたら長く感じる。
一歩一歩、視線が集まる気配がして、背中がむずむずした。
前に立った瞬間、30人以上の目がまっすぐこちらを向いていて、
「あ、逃げられないんだ」と思う。
声を出そうとすると、喉がカラカラで息がうまく吸えない。
頭の中で用意してたはずの言葉は、全部霧みたいに消えていく。
「えっと……、はじめまして。○○です」
一拍おいて、
「中学では○○部に入ってました。高校でも、続けられたらいいなと思ってます。よろしくお願いします」
喋り終えても、心臓がバクバクしていて、
誰かの笑顔やうなずきが見えた瞬間、ようやく呼吸が戻ってきた。
緊張しながら自己紹介を終え、ほっと息をついた。
クラスメイトの軽い拍手が聞こえて、心臓のドキドキがようやく落ち着きはじめる。
「よし、終わった……」
そう思って、くるっと後ろを向いた瞬間だった。
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