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叫んでも届かないのは「無視」じゃない。子どもの脳に言葉を届ける、潜入のコツ。

「遊ぶ前に、トイレに行っておこうね」
「机の上に大事な物があるから、気をつけて遊んでね」

遊び始める直前、
大切なことを伝えているのに、
返事もなければ目線もこっちを向かない。

そのままにしたら、
トイレに間に合わなかったり、
大事なものにおもちゃがあたって床に落ちたり…

そうならないために結局、
最後は声を荒らげて無理やり振り向かせる…

そんな毎日に、
疲れ果てている方は多いのではないでしょうか。

でも、安心してください。

それはお子さんがあなたを軽視しているわけでも、
わがままなわけでもありません。

今回は、
子どもの「脳」と言葉の不思議な関係と、
無理なく声を届けるための「潜入手順」についてお話しします。

1. 親の声は、ただの「空気の振動」になっている

私たちはつい、
「声をかければ、言葉も届いているはずだ」
と期待してしまいます。

だからこそ、
反応がないといらだちを覚え、
その裏で

「私の存在が尊重されていない」
「無視されている」

と感じて、怒りが湧いてくるのです。

しかし、

子どもの脳は、
遊びに没入している時、
外部の音をシャットアウトしています。

例えるなら、
銀行の「ATM」は動いているけれど、
「窓口」はすでに閉まっている状態です。

機械的にできることは受け付けても、
相談や手続きが必要な
「窓口案件」は一切受け付けてもらえません。

親の声掛けは、
まさにその窓口案件。

脳の受付が閉まっている以上、
親の声は言葉として処理される前に、
入り口ではじき返されてしまっているのです。

2. 「怒り」でこじ開ける代償

何度も叫んで、
ようやく子どもが気づくことがあります。

それは言葉が脳に届いたからではなく、
親の「怒りのエネルギー」という衝撃波によって、
無理やり世界から引き戻されただけです。

これには大きな代償が伴います。

  • 親: 膨大なエネルギーを使い、ストレスが溜まる

  • 子ども: 萎縮し、心を閉ざしてしまう危険性がある

恐怖で意識をこじ開けても、
そこに「心」の通い合いはありません。

また、
肝心の「トイレに行く意味」や
「物を大切にする心」も育まれません。

これでは、お互いに疲弊するだけの悪循環です。

3. 子どもの世界への「正しい潜入手順」

では、
どうすれば脳に言葉を届けることができるのでしょうか。

大切なのは、
外側から叫ぶのをやめて、
こちらから子どもの世界へ「潜入」することです。

① 同じテンションになる

自分もその遊びの熱量に飛び込んでみましょう。

大人の落ち着いたトーンで正論を言うのではなく、
ワクワクしている子どもの波長に合わせるのです。

② 物理的に目の前へ行く

「聞こえるはずだ」という思い込みを
一度捨ててみてください。

自分が今いる場所から動かずに
声をかけるのではなく、
子どもの視界に入る位置(目の前)まで移動する。

まずはその「ひと手間」を惜しまないことが、
脳の扉を開く鍵になります。

4. 遊びの「設定」を味方につける魔法のセリフ

子どもの世界に潜入したら、
指示命令ではなく、
遊びの「登場人物」になりきって言葉を届けてみましょう。

戦いごっこの場合(作戦を伝える)

「戦っている時にトイレに行きたくなったら、
敵にやられてしまうかもしれない!
今のうちにトイレに行っておこう!」

おままごとの場合(魔法や役になりきる)

「今からこれに魔法をかけます。
すると、〇〇ちゃんの大切なぬいぐるみに変わります!」

こう伝えることで、
言葉は「遊びを邪魔するノイズ」から、
「遊びを有利に進めるためのヒント」へと変わります。

おわりに:聞こえる関係を、こちらから作る

どんな声掛けも耳に入らないほどの集中力。

それは、
今この瞬間を全力で生きている、
お子さんの素晴らしい才能でもあります。

「無視された」と悲しくなる必要はありません。

お子さんはただ、
自分の世界を全力で冒険しているだけなのです。

ほんの少しだけこちらから歩み寄り、
その世界に潜り込んで声をかけてみる。

その優しさが、
怒りに頼らない温かな関係を築く第一歩になります。

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