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夢を見た(卒業した話)

卒業をした。最後の用事として訪れたのは、長く使っていた部室だった。壁に取り付けられた、2メートル四方はあろうかという巨大なコルクボード。その上には、過去の活動で使った紙や工作物、衣服、雑貨、写真など、年月の重みを感じさせるものがぎっしりと貼られていた。

僕は一人でその整理をしていた。誰に頼まれたわけでもない。自分の中で、「これを片付けなければ卒業できない」と、どこかで思っていた。手には大きなゴミ袋と養生テープ。貼られたものを一つひとつ丁寧に剥がし、折れないように包み、仕分けて袋に入れていった。

部室には、同じ部活だった友人が3人ほどいた。彼らは特に作業を手伝うでもなく、壁際やソファに座りながら、僕に話しかけたり、お互いに雑談をしたりしていた。笑い声が時おり上がり、春の光が窓から差し込んで、埃がふわふわと舞っていた。僕は作業をしながら、その会話にときどき相槌を打ったり、自分からも言葉を挟んだりしていた。会話の内容は他愛のないことで、最近見た映画の話や、好きだった先輩の近況などだった。

ふと、貼られていたメモの一枚を手に取ると、昔書いた落書きが裏に残っていた。「○○はバカ」などと走り書きされた黒マジックの文字。誰が書いたのか、もう思い出せないが、それを見た瞬間、誰かの笑い声と「これ書いたのお前だろ」という冗談めいた声が脳裏に蘇った。こういう、くだらないものほどなぜか印象に残る。

一時間ほど作業を続けていると、卒業して何年も経つOBたちが数人ずつ顔を出し始めた。懐かしい顔ぶれが揃い始め、「久しぶり」「変わってないな」といった声が飛び交い、部室はだんだん同窓会のような空気になっていった。笑い声は増し、誰かが缶ジュースを差し入れに持ってきたりして、部屋の温度が少しずつ上がっていくようだった。

片付けに使っていた袋がいっぱいになり、追加の袋を取りにロッカーを開けると、奥から古びたパーカーが出てきた。誰かが着ていたものだろうか。袖には部のロゴが刺繍されていた。ふと思いついて、それをそっと畳み、袋の中ではなく、自分のリュックにしまった。何となく、これは捨てるべきじゃないと思った。

けれど、コルクボードの整理をしているのは相変わらず僕一人だった。それでも、僕は疎外されている感覚はなかった。むしろ、みんなが自然に僕のそばを通り、声をかけ、笑ってくれた。会話の輪にも加われていた。僕の手は黙々と動き続けていたが、心はどこか満ちていた。

ようやくコルクボードの片付けが終わり、最後の一枚を剥がして荷物をまとめて部屋を見渡したとき、ちょうど引き渡しの時間になった。僕は、その場にいた管理組合の人らしき人物に収拾を頼んだ。彼は椅子から立ち上がり、場を見渡して落ち着いた声で言った。

「皆様、そろそろお時間です。現在支配人が不在にしておりますので、代わりまして私がご挨拶いたします。本日はまことにありがとうございました。お気をつけてお帰りください」

一同がそれにうなずき、帰り支度をはじめたそのとき、戸が開いた。

そこに立っていたのは、我が家の三毛猫「和ちゃん」だった。彼女がこの施設の支配人だった。背筋を伸ばし、誇らしげな顔をしていた。彼女はゆっくりと部屋に入り、全員の視線を一身に浴びながら、部屋の中央まで進み出た。誰も驚かなかった。まるで、最初からそういう段取りだったかのように。

支配人は黙って、僕の足元に座った。

そのあたりで目が覚めた。

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皮肉屋ジョー🎭世の中まぜるな危険 牛乳を買います