「食え〜バリバリ食え、食うヤツはキバれるばってん、食わんヤツは何もでけん!」黒澤明
95歳で逝去した黒澤明が、よく口にしていた言葉でした。
健啖家の黒澤明は、1日4食だった。
好物は、牛肉、カレーライス、からすみ丼。
⚪︎大好きな牛肉は夕食の食卓には必ずあった。「肉だけでいいんだよ」と、ニンジンやポテトの付け合わせを拒否。しかし、妻の強い勧めで、クレソンだけは付けることにした。
好きがこうじて、ステーキハウスも経営。築地の古民家を改造、草庵風の部屋もある。ブームになる前から長期熟成肉を提供していた。

何事にも徹底していた。「乱」では、御殿場に4億円の城を建築し炎上させた。「隠し砦の三悪人」では、イメージ通りの雲が現れるまで数ヶ月待った。のちに黒澤の「雲待ち」と呼ばれた。
⚪︎スタジオの昼食は、ほぼいつもカレーライスだった。
⚪︎からすみ丼は、からすみをすり潰し、バターを練り込み、温かいご飯に乗せ、薬味で味わう逸品です。

バターに醤油をなじませ、ご飯にかけて食べたことから、
この発展形で(からすみ+バター+薬味)を家人が考案した
夜食のお好みは
1)揚げおむすび
2)ボイノス
3)ダッグウッドサンド
4)筍の煮物
1)①揚げおむすびは、おむすびに片栗粉と食用油をなじませて転がして焼き上げ

②食用油がこげて、きつね色になったところで、醤油で旨みをつける

娘の和子さんによると「脂っ気さえまとわせれば、父は、なんでも飲み込んでくれました」
2)ポイノスは、「飲食店の賄いで、おにぎりにチーズを忍ばせて揚げたもので、塩をふって食べた」ものを所望することもあった。
3)ダッグウッド・サンドは、昔のアメコミ「ダッグウッド」が食べていたてんこ盛りのサンドイッチに、黒澤は目を止めた。「これが作りたい!」と言って、サンドイッチの具材を買いに行かせた。



4)筍の煮物は、カツオ出汁の香りが立ち上がっているものを、大きな器に、てんこ盛りで供されるもの
「うまいものがわからないヤツは、想像力に欠ける」
「美味しいものを食べながら、機嫌が悪くなるヤツなんていないよ」
「ハングリーになれって言うけど、本当に腹が減ると、いいアイデアは浮かばないもんだぞ」
食べたもので人はできている。
夜食を摂りながら、打ち合わせに来ている助監督やスタッフに、こだわることの大切を教えてくれていた。
(→参考資料:テレビ放映「食卓の黒澤明」)
東に、こだわりの美食家、巨匠黒澤明がいる。西の巨匠スティーブン・スピルバーグはどうだろう。

ところが、がっかり。「日本人には日本料理」と言う人がいますが、スピルバーグの好みも同様「ユダヤ人には、ユダヤ伝統の料理」と言い張ります。
ユダヤ人のパンを水か牛乳でお粥状にして、卵で揚げる”モーティお爺さんのご馳走マッツアー・ブライ”。ユダヤ人の結婚式などで大勢で食べるご馳走だそうです。

食べたこともないのに、言うのも失礼ですが、美味しくなさそう。
でも、スピルバーグは言います「普通は水で混ぜるけど、僕の場合”成分無調整牛乳”(日本でもスーパーで普通に売ってるやつです)を必ず使う。それに、トリフ塩をかけて食べるので、トリフの風味が良い」
スピルバーグは遠い。

昔、ユダヤ人の仲の良い友達がいたのですが「あなたとは、結婚は無理だと思う。ユダヤ人の儀式社会にはついてこれないと思う」と、一方的にフラれたことを思い出します。
スピルバーグでは黒澤明に対抗できない。では、誰か。”お母さん子”だったリドリー・スコットなら食事に関しての繊細な思い入れがあるのでは。

「好きなものはあるけど、どこのが美味しいかと言われても困る。イタリア旅行中に出会った新鮮な魚介類、ウニやイワシとか。ロンドンとかイタリアの家族的なレストランのパスタも好きだったけど」
イギリス料理がいつまで経っても美味しくならないのは、リドリーのような人のせいだと思った。
これだけ食事に淡白でこだわりがないイギリス人を選んだことが失敗。
太った人の方が、食に対する執着があるのではと考え直した。イタリア系の太った男、フランシス・フォード・コッポラはどうか。

まず、コッポラ自身が、ワイナリーを所有。その中に、彼が経営するレストランがあります。

コッポラ好み#1は、彼のレストランで供されるイタリア、トスカーナ地方のソウルフード、”チキン・アル・マットーネ”(レンガの下の鶏肉)。
背骨を取った鶏肉をアルミフォイルに包み、レンガの重石を押し付けて焼き上げたもの。レンガの重みで肉が、均一に熱源に密着するため、皮はパリッと、中はジューシーな最高の料理に仕上がります。ちなみに、この料理は、コッポラのお母さんのレシピをもとに調理されています。

コッポラ好み#2は、友だちのマーティン・スコセッシのお母さんのレシピで調理した”スコセッシ・ママのレモン・チキン”。二人は、イタリア男だから、どうしても、料理はお母さん頼りになります。

コッポラ好み#3は、ヴルトゥレ山周辺のピザで、ルカニア地方のサラミと老舗のパラッツォ・モッツアレラ・チーズのピザ。サラミの産地やチーズの銘柄を指定するコッポラ恐るべしです。どうしても美味しいピザが食べたくなると、コッポラは南イタリアに間違いなく飛びますね。

「家庭的なレストランのパスタなら、どこでもいいよ」と言っていた人を
思い出しました。
美食家では、東の黒澤明、西のフランシス・フォード・コッポラですよと話しても、フィッシュ&チップスで満足している人には、わからないでしょうね。
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渚の夢見鳥@独自の言語化テーマと向き合う夏さま監修の<スキが溢れすぎました❤️>に、当記事を収録していただきました。感謝申し上げます。
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当記事が、官能小説家さま編纂の<私の忘備録>に収録していただきました。感謝申し上げます。
