フィルムカメラと山陰東京旅 | NikonFM2
2024年に引き続き、2025年も寝台特急サンライズ出雲に乗車することを主題として山陰地方と東京を観光してきた。前回は9月のシルバーウイークに該当する3連休を利用して旅行したのだが、あまりに暑かった。今回は学習して11月にした。少し寒かったが汗でベタベタになることはなく正解だったようだ。その代わりに11月は近鉄のしまかぜとサンライズが重なったので財政は火の車だが。
旅程は1日目は新大阪から「スーパーはくと」で倉吉まで行き、倉吉で観光。その後夕方の「スーパーまつかぜ」で出雲市まで移動し、駅前の温泉に入ってサンライズ出雲に乗車するという流れだった。二日目は東京から横須賀に移動し、記念艦三笠を見学して品川に戻りニコンミュージアムに行って東京に戻る行程を計画した。今回は1日目をまとめて、次回に2日目とする。
今回の機材はNikonFM2にレンズはAi Nikkor 50mm f/1.4SとAi 135mm f/3.5の2本を持ってきたが、50mmしか使わなかった。フィルムはFUJIFILMの今は無きX-Tra400とKodak Ektar100、Gold200の3本を使った。前回はD780も持ってきていたが、寝台特急の写真は去年に十分撮ったし、どうしても撮りたければ押さえで持っているPENTAX17で撮ればいいだろうと思い持ってこなかった。フィルムであるがHP5+を増感するのでおそらく写ると思う。デジタルもあると便利ではあるが、荷物が増えるし重いので今回はフィルムカメラだけにした。フィルムカメラも最近ではNikonのF2がメインになっているが、鉄道旅には重すぎるのでFM2にした。FM2が私が初めて買ったカメラで50mmの単焦点もセットで買ったものなので原点回帰のような組み合わせになった。
さて、1日目は7時半の「スーパーはくと」に乗りたかったので7時ごろには新大阪に着くように家を出る。乗り継ぎがうまく行ったので早めに新大阪に到着し、飲み物やお菓子を駅の売店で調達する。早めにホームに降りて行き交う電車を眺める。大阪駅から茨木の貨物駅の辺りまでは大量に線路が敷かれているので見ていて非常に面白い。快速列車や普通電車。ときどき特急が通り過ぎてゆく。
10分程度ホーム上で時間をつぶすと乗車予定の電車がやってきた。今回は1両増結されて増2号車だった。コナンのラッピングがなされた車両で、車内のサンシェードもコナンの絵柄になっていた。京都発なのでいくらか既に乗客がおり、指定された座席に着席する。すぐに床下からディーゼルエンジンが唸りを上げて列車は進み始める。

新大阪を出ると淀川を渡りすぐに大阪駅に到着する。大阪駅でどっと人が乗ってきてほとんど満席となった。行き先は影が薄いと言われがちな鳥取や島根であるが、そんな評判をひっくり返すような乗車率であった。
途中の神戸でもそれほど動きはなく、満員のまま山陽本線を進む。明石までは海岸線のすぐ際を走り、加古川を渡ると一気に車窓は山陽の雰囲気が出てくる。しばらく姫路の平野を走り、竜野を越えるといよいよ山越えだ。カーブを曲がると車輪の軋む音が床下から聞こえてくる。
上郡まで来ると第三セクターの智頭急行線に入線し、中国山地をまっすぐ横断する。戦後になって作られた路線で山陽と山陰を高速で結ぶことを目的としていたので非常に線形はよく踏切もない。山はトンネルで貫き川はそのまま高い橋で越えていく。それなりの距離はあるが、かなり飛ばしているのであっと言う間にJR線に復帰する。因美線に入線してからは再び小半径のカーブをゆっくり進むようになる。

新大阪から3時間半程度乗車し倉吉に到着。肌寒い気温であったが日が照っておりちょうどよかった。大きな荷物は駅のロッカーに預けて倉吉の散策に出かける。時刻は既に11時を回っているのでひとまず昼食にすることにした。駅から北側に歩いて15分ほどの位置においしそうなラーメン屋を見つけていたので、そこに行くことにした。

駅前の細い通りを抜けて北側の新しい道へ抜ける。廃業したパチンコ屋や大阪では見たことがない石破氏のポスターなどがあった。ちょっと写真が前過ぎる気がするが。
予想通りラーメン屋には15分ほどで到着。既に数組待っていたものの、案外すんなりと席に付けた。牛骨ラーメンで有名な「いのよし」さんで定番の醤油ラーメンをいただいた。最近はどことも油っこいラーメンであるが、あっさりしていて私にはちょうどよかった。それでいてしっかりとした牛骨のだしが出ており非常に満足だ。

ささっと食べて再び駅に戻る。駅からはバスに乗って倉吉市街へ。バス乗り場には少し早めに着けたので少しベンチで休憩。ほどなくしてバスがやってきて乗車する。Yahoo!の乗り換え案内で時刻等を確認していたのだが、案内されている時刻よりも早めに出発したことが少し引っかかったが、別の便なのだろうとあまり気にはしなかった。これが後で問題になるとはこの時は思いもしなかった。
駅から市街までは少し離れているが、バスに乗るとすぐに到着。バス停から路地の位置を確認していたので、まずは見てみたかった白壁の土蔵群を見に行く。

倉吉と言えばこの場所でポスターにもよく使われている。蔵の外壁の下半分は焼杉の板張りで上半分が漆喰になっている。焼杉は表面を焼いてやることで耐久性が向上するようだ。

人が少ないうちに写真を撮れたので周囲を散策することに。この辺りが地区の端の方に位置するので一度東側の端に行ってから通り抜けるようにして西側の端まで歩くことにした。
東端まで来ると折り返す。初めの広場まで戻って今度は西側へ。少し大きめの通りを渡ると観光客は減って自由に写真を撮りやすくなる。古い町並みに青松。江戸時代のような様子もありつつ、戦前期独特の和と洋が入り混じった独特の雰囲気で写真を撮るにはうってつけである。


ここでフィルムを使い切ったので入れ替える。ここからはEktar100。プロ用のフィルムであるが、使うのは今回が初めてで作例をみているとFUJIFILMに近い寒色よりの色味であるのでちょうどいいだろうと思って入れてみた。結果は予想通りで漆喰の白が美しく、木の茶色も落ち着ていて満足の写りだった。色の見た目はフジに近くても優しい雰囲気はやはりKodakだった。



こちら側の通りも端まで来たので、もう一つ隣の通りを歩いて引き返す。



途中の団子屋さんで小さな団子と抹茶をいただいてしばし休憩。団子の甘味と抹茶の苦みが相性良く昔から定番の取り合わせであることがよくわかる。初めは空いていたのだが、客が入ると客が客を呼ぶようで一気に満杯になり外にまではみ出すように。ちょうどいいタイミングだったようでニッコリである。


団子屋を出てもうしばらく散策。日が傾いてきたので一気に冷えてきた。
調べておいたバスの時間が迫っているのでバス停に戻る。あっさりとバス停には着いたものの、時間になっても一向にバスがやってこない。これはおかしいぞとバス停の時刻表を見てみるとYahoo!の乗り換え案内で出ていた時刻よりも10分以上遅い時間が記されていた。駅に戻るまでに一度バスを降りてスーパーで晩ごはんを買う必要があるのでかなりギリギリな時間だ。
スーパーを出たらもう悠長に歩いている余裕はないので駅まで走る。1km程度走って駅のロッカーを開け、財布から乗車券を取り出して改札を通ってホームへ下りる。幸い乗車予定の特急は少し遅れていたので駅で一息付けた。今度からは乗換案内だけでなく、バス会社が公開している時刻表を見なければならない。

しばらくして2両編成の気動車で運転されている「スーパーまつかぜ」がやってきた。走行性能に予算全振りでデザイン面はコスト削減されたので羊羹をスパッと切ったような顔で突起物はワイパーのみ。非常にあっさりしたデザインで走る食パンである。しかし、その代わりに加速はすごく良くてカーブの多い山陰本線も斜体を傾けて高速で駆け抜ける。景色は飛ぶように流れてゆく。

ほどなくして列車は出雲市駅に到着。列車を見送って温泉に行く。温泉は何とも便利なことに駅のすぐ横にあってサンライズ乗りの行きつけとなっている。昨年は大阪から出雲行きの夜行バスに乗り合わせた別の客を温泉で見かけてそのままサンライズに乗っていたことには驚いた。大阪から出雲へ行き、そして東京まで全く同じ旅程を組んでいたのだから面白かった。
温泉自体は十分に広く、ナトリウム系の茶色い泉質が気に入っている。外湯が少し面白くて小さな一人用の浴槽がいくつか並べられている。珍しい!と喜んでいたのだが、友人によると去年は全く気にせずに浸かっていたようで、私の記憶の適当さには驚きだ。
あまりゆっくりしていると今年もサンライズ号の入線を見過ごすのである程度にして風呂から上がる。温泉らしい微妙な風量のドライヤーで髪を乾かしてそそくさと退出。ロッカーの荷物を回収し、ホームへ上がる。何とか入線には間に合い、少しして到着の放送がかかる。遠くから明るい前照灯が近づいてきて、徐々にその巨体が明らかになる。近鉄でも二階建ての車両はあるがサンライズは編成の全てが二階建て。先頭車からなかなかに巨大で存在感は圧倒的だ。先頭車や方向幕を撮って列車に乗り込む。前回は2階席だったが、今回は1階。窓の高さはホームとほぼ同じで洞穴感がたまらない。
荷物を解いて検札を受けたら友人の部屋へ。友人の部屋は車端部の平屋席なので私の部屋よりも幾分か広い。倉吉のスーパーで買っておいた弁当を広げ、駅で買ったハイボール缶をプシュッと言わせて夕飯とした。11月の後半なので既に辺りは暗く、松江を過ぎることには完全に夜景になっていた。
しかし、ここで問題に気付く。倉吉のスーパーでは特急の発車時刻まで余裕がなく、慌てて買い物をしたので割り箸をもらい忘れてしまった。痛恨のミスで弁当を前にしてどうするよ…と困ってしまった。ちょっと考えてみると今回はなんとなくシルコットを持ってきたことを思い出した。また運がいいことに焼き鳥を食べたいなと思って買っておいたので串があるではないか。箸には少々細くて食べづらいのと先に酒のつまみを食べてしまうことになるが、まあ仕方ないだろう。手でそのまま食べることだけは回避できたので良かったことにしよう。

途中の新見で反対から来る「やくも号」との交換待ちでしばらく停車する。止まっている間にホームへ出て先頭車を撮ったりホーム上は少しうろついたり。他の乗鉄も同じように束の間の停車を楽しんでいたが、運転士は半ば呆れたような様子だった。昨年は9月だったので涼しくて気持ちがいいくらいの気温だったが、今年は11月だったので非常に寒い。少しすると反対側から「やくも号」がやってきた。蜘蛛の子散らしたように一斉に車内に戻る。すぐにサンライズの扉は閉まり発車する。伯備線も残り半分。意外とサンライズ出雲で一番楽しい区間は伯備線で川と山が交互にやってきて、対岸の国道を走る車と並走する。谷間の集落では窓から漏れる光や信号や街灯の光が車窓を流れて旅情を誘う。

岡山に到着することには既に多くの列車は運航が終わり、岡山駅の周囲にはたくさんの特急車両が眠りに就いていた。ここからはこれまでのゆっくりとした走行からは打って変わり、山陽本線の強固な路盤の上を快速で通過していく。少しだけ車内を探索したら歯を磨き、今回はこれで寝てしまうことにした。
1日目は新大阪から「スーパーはくと号」で倉吉へ向かい、旧市街散策後「スーパーまつかぜ号」で出雲へ。そして乗車中の「サンライズ出雲・瀬戸号」。山陰はたくさんの特急列車が走っており、普段は自動車で旅行をする私も十分に楽しめた。車で行くよりも山陰は鉄道の方が速くて便利かもしれない。
明日の二日目は東京周辺散策。少し足を延ばして横須賀まで記念艦三笠を見に行くことにしている。二日目の様子はまた来週に報告する。今回はここまで。今週も皆様にとって良き週末となりますように。
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