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clear_crab2658
我が家のメカニック、長男の膝に屈する
昨日、電話のおもちゃが動かなくなった。季節外れのお願いでサンタを困らせた、あの電話である。
ようやく、次男も興味を持ち始め、兄弟で無差別にダイヤルし、知る限りの親戚、友人とのエア電話を楽しんでいた最中である。
「電池切れかな〜」
我が家のメカニックである私に助けを求めてきたた長男。どれどれ。ランプが光ったまま動かなくなっている。電池切れではなさそうだ。全てのボタンを押し、受話器を上げ下げしても、機械音は微塵もしなかった。
「これは壊れちゃったかな」
兄弟で受け継いでもらう予定だったが、ここで終わりか。これまで、長男の力強いダイヤルプッシュ、突然の大声、受話器を支点とした雑な持ち運びにもよく耐えてくれた。次男には悪いが、他にもおもちゃは沢山あるし、電話とはおさらばしよう。
「貸して!」
突然、長男が電話を取り上げた。メカニックの潔すぎる判断に、待て待てと思ったのだろうか。そしておもむろに己の膝を電話に打ち込んだ。
バシ!バシ!バコ!
その数、3度。なんと、機械音が流れはじめた。その一連の所作、まさに今は無きあのテレビチョップではないか。なぜ、打撃で直ると思ったのか。呆気にとられる私をよそに受話器に耳を当てる長男。
『プルルル…ガチャ!好きな動物は何かな?』
「ゾウと犬!」
次男の分も回答してあげる長男。優しく、逞しく育っている。この様子だと、人に膝を打ち込むことは無さそうだ。そして、次男が犬好きだと初めて知った。
