自分の時間
昔々、あるところに、「自分の時間を削って、他人のために形のある贈り物を作る」ことが生きがいの時計職人がいました。
彼は町の人々のために、精巧なからくり人形や美しい家具を作り、みんなに喜ばれていました。しかし、彼が何かを作るたびに、彼の家の壁にある大きな時計の針は、普通よりも少しだけ早く進むのでした。
ある日、一人の若者が職人に尋ねました。
「あなたは自分の時間を削ってまで、なぜ見返りも求めず他人に尽くすのですか? このままでは、あなたの人生は人より早く終わってしまいますよ」
職人は微笑んで、若者を工房の奥へ案内しました。そこには、職人がこれまで人々に贈ってきたものと同じ設計図や、失敗作の山がありました。
「私はね、時間を『消費』しているのではない。贈り物という形に変えて、他人の時間の中に『保存』しているのだよ」
職人は続けました。
「私が死んでも、私が作った人形で遊ぶ子供の時間は輝くだろう。私が作った椅子で休む老人の時間は穏やかになるだろう。私の時間は減るが、彼らの中に私の時間が生き続ける。それは、ただ自分一人で長生きするよりも、ずっと豊かなことだと思わないかい?」
若者は黙り込みました。職人の壁の時計は、今もチクタクと少し早いリズムで刻まれています。
*
さて、もしあなたの手元に「自分の寿命を削って、誰かを幸せにする魔法の道具」があったとしたら、あなたは何を作りますか?
カッコいいとはこういうことさ。
