8/1 きっと、未来への架け橋。
私達は人波に押されながら、駅構内を表示に従って進んでいった。
大学のオープンキャンパスには多くの声が飛び交い、奥へ進むにつれて、人の匂いが濃くなる。
教壇に立つ講師の声は、涼しい室内に広く澄み通り、言葉を吐く息遣いまでもが空気に心地よく溶けていった。
在学生の座談会で、手前に座る学生は5個上とは思えないほど大人びていて、首にかかったネックレスは蛍光灯の光を受け取って煌めいている。
「ね。そうですよね」
そして、左側の先生からの問いには、声を跳ね上げて、前のめりに答えていく。
尊敬する作家さんが、2列前の観覧席で他の方の説明を聞きながら、笑いを零していた。
心臓を震わされた作品の作者が、今、目の前で生きている。
その当たり前の事実が何処か不思議で、胸に深く染み渡ってくる。
帰り道、鈍色の雲が夕焼けの炎を腕いっぱいに抱き締めていた。
そんな空を、一本の飛行機雲が裂いていく。
その白い光が、未来と唯一、繋がっている架け橋のように美しかった。
