『オットーという男』考察|"自分のために動く"と"誰かのそばにいる"を同時に教えてくれた映画
トム・ハンクスといえば、私の中では「超大作の主役」のイメージでした。
『フォレスト・ガンプ/一期一会』『グリーンマイル』『プライベート・ライアン』……どれも映画史に残る名作ばかり。そんな彼が、町内イチの嫌われ者で、口うるさくて、頑固な偏屈おじいさんを演じる?正直、最初は「えっ、あのトム・ハンクスが?」って意外でした。
でも観終わってみて思ったんです。こういうトム・ハンクスも、すごくいい。 😊
今回は、そんな一作『オットーという男』の感想を書いていきます。
※ここから先、物語の核心(エンディング含む)に触れます。未見の方はご注意を!
あらすじ
舞台はアメリカ郊外の住宅街。主人公オットーは、半年前に最愛の妻ソーニャを亡くしたばかりの男性です。生きる希望を失い、ひとり静かに人生を終わらせようとしていた彼のもとに、向かいの家へ陽気なマリソル一家が引っ越してきます。
お節介で人懐っこいマリソルは、遠慮なくオットーの生活に踏み込んでくる。最初は迷惑がっていた彼も、彼女や近所の人たちと関わるうちに、頑なだった心が少しずつほどけていきます。
そして物語が進むにつれ、若き日のオットーと妻ソーニャの日々が回想で明かされていく。なぜ彼がこんなにも偏屈になってしまったのか、その奥にある深い愛と喪失が――。笑って泣けるヒューマンドラマです。
ちなみにこの作品、実はスウェーデンの名作『幸せなひとりぼっち』(2015)のリメイクで、原作はフレドリック・バックマンの同名小説。同じ物語を、ハリウッドがトム・ハンクスでどう料理したか――そんな見方もできる一本です。
偏屈おじいさん、オットー
オットーは、妻に先立たれてひとり暮らしの男性。
近所を毎日パトロールしてルール違反に説教し、挨拶されても仏頂面、野良猫には八つ当たり……。とにかく口うるさくて、近寄りがたい。冒頭の彼は、まさに「町内イチの嫌われ者」です。
そんなオットーの向かいに、陽気でお節介なマリソル一家が引っ越してきます。
車もまともに停められない、六角レンチを借りにくる、料理を差し入れてくる……オットーにとっては「迷惑な隣人」。でも、この一家こそが、彼の人生を少しずつ溶かしていくんです。
"死なせてもらえない"オットー
この映画、実はオットーが何度も自ら命を絶とうとするんです。
でも、そのたびに邪魔が入る。マリソルが訪ねてきたり、近所の人が助けを求めてきたり。極めつけは駅のホームで、自分のことより先に、線路に落ちた人を助けに動いてしまうんです。死のうとしていたはずなのに、気づけば誰かを助けている。
この"なかなか死ねない"展開、コメディとしてクスッと笑えるんだけど、私はちょっと違うふうにも感じました。
これって、亡くなった奥さんのソーニャが「まだこっちに来ちゃダメ」って引き留めてるみたいじゃない? って。
実際、オットーが命を絶とうとする場面では、ソーニャの面影が彼を引き留めるように現れます。彼女がまだ、オットーをこの世界につなぎとめている。そんなふうに見えて、切なくて、あたたかかったです🥲
私が号泣したシーン
正直に言うと、私は最後の最後で完全に泣きました。
オットーが亡くなったあと、彼がマリソルに宛てて残していた手紙が読み上げられるシーン。
あんなに孤独で、心を閉ざしていた彼が、マリソル一家やご近所さん、そして亡き妻ソーニャの元生徒たちと関わるなかで、少しずつ変わっていく。その積み重ねの先にあるあの手紙は、もう……反則です。
そしてとどめはエンドロールに映し出される写真の数々。
そこには、オットーが取り戻した日々と、人とのつながりが、愛そのものとして詰まっていました。気づいたら号泣でした。
孤独だった男が、最後には「地域のヒーロー」として見送られる。
この対比が、本当に効くんです。
トム・ハンクスの"新しい一面"
冒頭でも書いたとおり、私はこの役にちょっと驚きました。
でも観ているうちに、仏頂面の奥にある寂しさや優しさが、表情の少しずつの変化からにじみ出てくる。気難しくて偏屈なはずのオットーが、後半になるとどんどんチャーミングに見えてくるんです。さすがの引き出しの多さ……!
ちなみに小ネタをひとつ。
若き日のオットーを演じているのは、トム・ハンクスの実の息子トルーマン・ハンクス。 本作が俳優デビューだったそうです。父トムが、立ち方や指さしの癖まで教えたんだとか。回想シーンの初々しいオットー、ぜひ注目してみてください👨👦
この映画が伝えたかったこと
実は私、エンドロールのあたりで、こんな一文を見かけました(記憶に頼っている部分もあるのですが、劇中で示されるメッセージとして)。
Take action for yourself and be there for others.
(自分のために行動し、他の人のために寄り添う。)
これを見た瞬間、「あぁ、この映画が伝えたかったのはこれだったんだ」と腑に落ちました。
オットーの物語は、この一文そのものです。
ひとりで抱え込んで、心を閉ざしていた彼は、他者とつながることで、もう一度"自分の人生を生きる"力を取り戻した。 そして同時に、彼自身がマリソル一家やご近所さんにとって、かけがえのない"そばにいてくれる人"になっていった。
自分のために行動することと、誰かに寄り添うこと。
このふたつは、別々のものじゃない。きっと、つながっているんです。
最後に
もし今、何かに行き詰まっていたり、ひとりで抱え込んでいる人がいたら。
オットーみたいに、ほんの少しだけでいいから、誰かとのつながりに身を委ねてみてほしいなと思います。逆に、まわりに孤独そうな誰かがいたら、マリソルみたいにお節介を焼いてみるのもいいかもしれません。
「迷惑かな」なんて思わなくて大丈夫。
そのお節介が、誰かの人生を変えることだってあるんですから😊
泣いて、笑って、ちょっと背中を押される。
そんな一本を探している方に、心からおすすめしたい映画でした。
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このnoteでは、映画を「観て終わり」にせず、自分の人生に重ねて言葉にしています。スキ・フォローで次の記事もお届けします😊

