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【エッセイ】悲しみの中に

題:悲しみの中に

小さい頃の話。おばあちゃんの家で犬を飼っていて名前はたろう。
シーズーだ。
たろうはおばあちゃんが名付けた。
おばあちゃんの家に行った時だけ会える。
たろうの好きなところはおばあちゃんがにゃお、と泣き真似をすると全力で吠えるところ。猫を目の敵にしてるんだ。
たろうは自分より小さそうな弱そうなものには強気だった。
あとシュークリームを食べていたらその包み紙を咥えてダッシュしてこっそり包み紙を食べていたこともある。
私たちはたろうがきてからずっとたろうと一緒だった。
そしてたろうが死ぬなんてあまり考えたことがなかった。

あるときたろうが死んだと聞いた。

お母さんがおばあちゃんから連絡をもらったようだ。
母と姉とお風呂に入っている時、母が何かを言い出しずらそうにしていた。
「あのね、言わなきゃいけないことがある。。。」
「たろうのこと。たろうがね、、、、死んじゃったんだ。。」
すごく言い出しずらそうだった。私たちは悲しんだ。
悲しかった。
けれども今よく覚えているのはお母さんの言い出しずらそうな様子。
子供にショックを与えないようにいつ伝えようか、どう伝えようか迷っている感じがした。
子どもにもそれくらい分かる。

だから今でも覚えている。
あの日のお風呂。
いつもと違う様子の母。

人は悲しい出来事の周辺の優しさを必死に覚えていることがある。
悲しいことがあったときに気付く。
周りの人たちの優しさに。


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