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要支援と要介護の違いとは?8段階の区分と使えるサービスを理学療法士が解説

今回は「要支援と要介護の違い」についてお話しします。

「親が認定調査を受けることになったけど、要支援と要介護何が違うの?」
「数字が小さい方が軽いの?重いの?」
と疑問に思っている方に向けて、現場の理学療法士の視点で整理してお伝えします。


「要支援と要介護って、何がどう違うの?」

ご家族から、よくこんな質問を受けます。

「要支援1って、どのくらいの状態?」
「要介護1と要支援2って、何が違うの?」
「数字が大きいほど重いの?」
「使えるサービスはどう違うの?」

実は、要支援と要介護は、
「どの程度の介護を必要とするか」
を国の基準で判定した結果として、8段階に分けられています。

そして、要支援か要介護かによって、
利用できるサービスや支給される金額の上限まで変わってきます。

この記事では、その違いを順を追って整理していきます。


結論:要支援は「予防」、要介護は「介護」が必要な状態

先にざっくりと。

・要支援(1・2):日常生活はおおむね自分でできるが、一部に支援が必要な状態。介護予防が目的。

・要介護(1〜5):日常生活に介護が必要な状態。状態の維持・改善と生活支援が目的。

つまり、
要支援は「これ以上悪くならないための支援」
要介護は「実際の介護が必要な状態への対応」

というのが大まかな分かれ目です。

そして数字は、「支援・介護がどのくらい必要か」を示しています。

・要支援1 → 要支援2 → 要介護1 → 要介護2 →…→ 要介護5

の順に、必要な支援・介護の量が増えていきます。

ここからは、具体的な中身を見ていきます。


認定区分は8段階に分かれている

要介護認定は、心身の状態に応じて以下の8段階に分かれています。

・自立(非該当)

・要支援1

・要支援2

・要介護1

・要介護2

・要介護3

・要介護4

・要介護5

「自立(非該当)」は介護保険サービスの対象外ですが、
市区町村が行う一般介護予防事業などは利用できます。

要支援・要介護に認定されると、
介護保険サービスが利用できるようになります。


区分判定の基準:「要介護認定等基準時間」

ここは少し専門的な話になりますが、知っておくと理解が深まります。

要介護認定は、
厚生労働省が定めた「要介護認定等基準時間」という指標で判定されます。

これは、その方の介護にどのくらいの時間がかかるかを「ものさし」として数値化したもので、以下の5分野が対象です。

・直接生活介助(入浴・排泄・食事などの介護)

・間接生活介助(洗濯・掃除などの家事援助)

・問題行動関連行為(徘徊への対応など)

・機能訓練関連行為(歩行訓練・日常生活訓練など)

・医療関連行為(点滴管理・褥瘡の処置など)

この合計時間で区分が判定されます。

・要支援1・要支援2:25分以上32分未満(またはそれに相当する状態)

・要介護1:32分以上50分未満

・要介護2:50分以上70分未満

・要介護3:70分以上90分未満

・要介護4:90分以上110分未満

・要介護5:110分以上

なお、要支援1と要支援2は基準時間としては同じ枠ですが、
「状態の安定性」や「認知機能の低下の有無」
などによって振り分けられます。

ここに認知症の症状や主治医意見書の内容も加味して、
最終的な区分が決まります。


各区分の状態の目安

ここから、それぞれの区分でどのような状態の方が該当するのか、現場で見ている目安をお伝えします。

ただし、これはあくまで一般的な目安です。実際の判定は個別の状況によって変わります。


要支援1

日常生活はほぼ自分でできるが、一部に支援が必要な状態です。

立ち上がりや歩行に少しふらつきがあったり、掃除など複雑な家事に手助けが必要だったりすることがあります。

「最近、ちょっと足腰が弱ってきたな」と感じ始めるくらいの段階です。

介護予防サービスを使うことで、状態の維持・改善が十分に期待できます。


要支援2

要支援1よりも身体機能の低下が見られ、生活の一部により支援が必要な状態です。

立ち上がりや片足での立位保持に不安定さが出てきたり、
買い物・服薬管理などにサポートが必要になったりします。

ただし、適切な支援を受ければ、要介護への進行を防げる可能性が高い段階でもあります。


要介護1

要支援2の状態に加えて、認知機能の低下や思考力・理解力の低下が見られたり、状態が不安定で今後変化する可能性が高いと判断された場合に該当します。

身の回りの動作の一部に介助が必要になり、立ち上がりや歩行が不安定になることもあります。

要支援2と要介護1の境目は、
「直接的な介助がどのくらい必要か」
「認知機能の低下があるか」
「状態が安定しているか」
で分かれます。


要介護2

食事や排泄を含む日常生活全般に、部分的な介助が必要な状態です。

立ち上がりや歩行が自力では難しくなることもあり、認知機能のさらなる低下が見られる場合もあります。

家族の介護負担が明確に増えてくる段階です。


要介護3

自力での立ち上がり・歩行が困難で、日常生活のほぼ全般に介助が必要な状態です。

排泄・入浴・着替えなどに全面的な介助を要することが多く、
認知症の症状によって日常生活に支障が出ているケースも見られます。

施設入所を検討するご家族が増えてくるのも、このあたりからです。


要介護4

要介護3よりさらに介護の必要量が増え、日常生活のほぼ全てに介助が必要な状態です。

立ち上がりや移動には介助が必須で、認知機能の低下も顕著に見られることが多くなります。

家族だけでの在宅介護はかなりの負担になるため、
施設サービスや訪問サービスの併用が検討されます。


要介護5

日常生活全般に全面的な介護が必要です。

意思の伝達も困難なケースが多く、医療的な処置を継続的に必要とする方もいます。

最も介護量が多い区分で、24時間の介護体制が必要になることが一般的です。


要支援と要介護で使えるサービスの違い

区分によって、利用できるサービスの種類と量が変わります。


要支援が利用できる主なサービス

要支援の方が利用するのは、主に「介護予防」を目的としたサービスです。

・介護予防訪問看護

・介護予防訪問リハビリテーション

・介護予防通所リハビリテーション(デイケア)

・介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)

・介護予防福祉用具貸与

・住宅改修

加えて、市区町村が運営する「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」の通所型・訪問型サービスも利用できます。

要支援の方が利用するデイサービスや訪問介護は、この総合事業に組み込まれています。


要介護が利用できる主なサービス

要介護の方は、介護給付として全国一律の介護保険サービスを利用できます。

・訪問介護(ホームヘルプ)

・訪問看護

・訪問リハビリテーション

・通所介護(デイサービス)

・通所リハビリテーション(デイケア)

・短期入所生活介護(ショートステイ)

・福祉用具貸与・購入

・住宅改修

・特定施設入居者生活介護

・施設サービス(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院)

要介護3以上になると、特別養護老人ホームへの入所も検討対象になります。

レンタルの内容や、利用できるサービスの内容も介護度で変わるので、
そのあたりのお話はまた今度。


支給限度額の違い

介護保険には、1ヶ月あたりに使えるサービス量の上限(支給限度額)が区分ごとに定められています。

・要支援1:50,320円

・要支援2:105,310円

・要介護1:167,650円

・要介護2:197,050円

・要介護3:270,480円

・要介護4:309,380円

・要介護5:362,170円

この金額の範囲内であれば、1割(所得に応じて2割または3割)の自己負担でサービスを利用できます。

限度額を超えてサービスを利用すると、超えた分は全額自己負担となります。

「要介護度が上がるほど、使えるサービスの量が増える」という構造になっています。


ケアプランを作る人も違う

これは意外と知られていない違いです。

・要支援:地域包括支援センターが介護予防ケアプランを作成

・要介護:居宅介護支援事業所のケアマネジャーがケアプランを作成

要支援の段階では地域包括支援センターが窓口となり、要介護になるとケアマネジャーが担当に変わるのが一般的です。

そのため、要支援から要介護に切り替わるタイミングで、相談先が変わることがあります。


「区分は変わる」ことを知っておく

要介護認定は、一度受けたら終わりではありません。

・新規申請の場合:原則6ヶ月(最大12ヶ月)の有効期間

・更新申請の場合:原則12ヶ月(最大48ヶ月)

有効期間が切れる前に更新申請をして、改めて状態に応じた区分が判定されます。

また、心身の状態が大きく変わった場合は、有効期間の途中でも「区分変更申請」が可能です。

「最近、急に弱ってきた気がする」
「介護がかなり大変になってきた」
と感じたら、早めにケアマネジャーや地域包括支援センターに相談することをおすすめします。


現場で感じること

理学療法士として現場で関わっていて感じるのは、
「要支援の段階でどう過ごすか」が、その後の生活を大きく左右するということです。

要支援1・2の段階で、

・運動習慣を続ける

・人との関わりを保つ

・できることは自分でやる

・必要なサービスは早めに使う

このあたりを意識できている方は、長く要支援のまま過ごせるケースが多い印象です。

逆に、「まだ大丈夫」と何もしない期間が続くと、
思った以上に早く要介護に進んでしまうことがあります。

要支援というのは、
「予防のための時間が残されている貴重な段階」だと捉えてほしいなと、現場では感じています。

突然の病気などでいきなり要介護がついたりもするので、あくまで目安ですけどね。


まとめ

要支援と要介護の違いを整理すると、

・状態:要支援は一部支援が必要、要介護は介護が必要

・目的:要支援は「予防」、要介護は「介護+機能維持」

・区分:自立を含めて全8段階。数字が大きいほど介護量が多い

・判定基準:要介護認定等基準時間(介護にかかる手間の時間)

・使えるサービス:要支援は介護予防サービス+総合事業、要介護は介護給付の全サービス

・支給限度額:要支援1は50,320円、要介護5は362,170円と、区分が重くなるほど大きい

・ケアプラン:要支援は地域包括支援センター、要介護は居宅介護支援事業所

数字や区分だけ見ると複雑に感じますが、ベースにあるのは「その人の状態に応じて、必要な支援を必要なだけ届ける仕組み」です。

「うちの親はどの区分なんだろう」と気になったときは、お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談するのが第一歩になります。

少しでも参考になれば嬉しいです。

なお、実際の認定区分や利用できるサービスの詳細、料金などは、お住まいの市区町村や担当のケアマネジャーに必ず確認してください。地域によって運用が異なる部分もあります。


このnoteでは、理学療法士としての経験をもとに、AI活用・リハビリ・介護予防に関する情報を発信しています。

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