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「#4 詩のかけらが物語になるとき」詩人・千代原礼苑


自作詩からできた短編小説、読み上げています。


1、引きこもり生活

私が、学校を卒業して、働くこともできずに、家で引きこもり生活をするようになって、どのくらい経っただろう。

今でも、学校や、学校の先生、仲間が出てくる夢をたまにみる。
夢を見ると、もう私の居場所はないんだなぁって、少し寂しくなって、学生時代が恋しくなる。

学生時代には、居場所があったし、沢山の仲間や先生に囲まれて、色々なことを学んで、今思い返せば、幸せな時間だった。

それに比べて、こんな生活、どうにか終わらせたい。

2、からくり時計の王子様

私の家には、からくり時計がある。

お昼の12時と、夜の12時に、毎日決まって動き出し、時計の中から白馬に乗った王子様が出てくる。

時間だけが過ぎていく。

今日も、もうすぐ、あと数分でお昼の12時になる。

そして、12時に時計の針が重なった。

しかし、何も起こることなく、時計の針は進んでいった。

あれ?壊れたかな?

3、出てこない王子様

私は、このからくり時計が好きだ。

白馬に乗った王子様が出てくる時、私はいつも、なんだか安心を感じていた。

それなのに、今日は、出てきてくれなかった。
もう古い時計だから、壊れてしまってもおかしくない。

毎日決まって出てきた王子様が、出てきてくれなかった。
それだけで、私の心は闇に吸い込まれそうになった。

4、安心の正体

からくり時計から出てくる白馬に乗った王子様。

それを見て、私はなぜ、あんなにも安心を感じていたのか。

私は、誰かに救ってほしいのかもしれない。
ただ引きこもっている生活を変えたい想いは、今、膨れ上がっている。

私は誰にも相談できず、今まで1人で抱えてきた。

しかし、それはもう、おしまいにしよう。

5、1本の連絡から始まる一歩

1人で悩んでいたって仕方がない。
何も変えられない。
それはもう分かっている。

私は、夜中、ひたすら相談先を調べてから、眠りについた。

朝がきて、日が昇り、しばらく経った頃、勇気を出すことにした。
昨夜調べた相談先を確認して、一本の電話をかけた。

家で引きこもりになってしまったこと、働いたり、実家を出て独立したりしたいこと。

そんな願望を込めて、勢いよく電話をかけた。

しかし、担当者とつながることができず、留守電を入れて、折り返し電話がくるのを待つことになった。

少し不安になり、そわそわし始めた。

時計を見ると、もうお昼の12時になる。

針が重なった瞬間、昨日現れなかった白馬の王子様が、時計の中から、ゆっくりしっかり出てきた。

壊れてなかったんだ!

私は喜びに包まれ、前に進んでいけるという自信が持てた。

私は、ガラガラと窓を開けて、外の空気を思いっきり吸った。

私の時間は、ここから動き始める。