あなたの普通と、私の普通
高知県香南市で美容室をしている、美容師の橋口です。
今日も、髪の手入れの話ではありません。
お店で、こう言われることがあります。
「普通の長さで、前髪を切ってください」
「普通の明るさの茶色に染めてください」
「パーマは普通の強さで」
言う方は、はっきり伝えたつもりでおっしゃっています。ところが私たちにとっては、これがいちばん難しい注文です。
普通とは、何のことでしょうか。
自分なりに考えてみて、今のところこう思っています。
普通とは、たぶん「多数派」のことです。
りんごをひとつ置いて、100人に何色ですかと聞いたら、90人以上は赤と答えると思います。だから「りんごは普通、赤」。そういうことなんだろうと。
ただ、髪の話になると、そうはいきません。
ものの感じ方は、人によって本当に違います。ある方の「普通の茶色」は、別の方には明るすぎる。ある方の「普通の長さ」は、別の方には短すぎる。
だから私たちは、その人の普通が分かるまで、言葉で確認します。写真を見ていただいたり、実物のチャートをお見せしたりして、その人の普通を探しにいきます。
これは、お店の中だけの話ではありませんでした。
人と関わるときも同じです。自分の普通を相手に当てはめてしまうと、なんでそんなことを言うんだろう、なんでそう考えるんだろう、と思ってしまう。そこから不信感が生まれたり、変わった人だと思ってしまったり。イライラしたり、悲しくなったり、怒りが湧いてきたり。
でも、その悲しみや怒りは、たいてい誤解です。
相手の普通が、自分の普通と違っただけのことなので。
今、私がやっているのはこういうことです。
「なんでそんなふうに思うんだろう」を、まず横に置く。
そのうえで、「ああ、この人にとっての普通は、それなんだな」と、いったん受け取ってみる。
この癖がついてくると、無駄な悲しみや怒りは、起こりにくくなってくる気がします。
お試しあれ。
